働き方改革の処方箋~日本マイクロソフトが実践するOffice 365の活用事例~

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公開日:2019.4.16

ご存知の通り、2019年4月より、働き方改革関連法が順次施行されていきます。しかし、肝心の実務面での取り組みには未だ不明点も多く、企業側は何をするべきか判然としないことも多いかと思われます。そこで今回は、早期から労働生産性やコスト効率、風土などに課題を感じていた日本マイクロソフト株式会社が、Office 365を用いて働き方改革を行なった事例を交えながら、働き方改革関連法実施に向けて企業が行うべき取り組みについてまとめていきます。

働き方改革関連法とは

概要

働き方改革関連法とは、労働基準法をはじめとする一連の労働法の法改正の総称です。厚生労働省は、働く人が個々の事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現するため、総合的に長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を進めるとしています。

厚生労働省の掲げる2軸

法改正の中心軸は以下の2つとされています。

  • 労働時間法制の見直し
    働き過ぎを防ぎ健康に気を配ることで、ワークライフバランスを実現します。関係する法制度は、労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法の改正で、施行開始は原則2019年4月です。
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
    同一企業内での正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を改善し、どのような雇用形態を選択しても納得感を得られるようにすることを目指します。関係する法制度は、パートタイム労働性、労働契約法、労働者派遣法で、施行開始は原則2020年4月です。

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改正の重要ポイントまとめ

法改正に伴い新たに見直された内容のなかでも重要なポイントは、下記の9項目に分けられます。本記事では詳述しませんが、この他にも、非正規雇用労働者に待遇理由などを求められた場合の説明義務化、行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備などがあります。

有給5日取得の義務化

  • 概要
    年10日以上の有給取得権利がある労働者に対しては、年次有給休暇について希望を聞いた上で、企業で時季を指定して年5日は取得させることが義務になります。
  • 罰則
    上記に違反した場合、企業には30万円以下の罰金が科せられます。

残業規制の上限規制

  • 概要
    原則として、残業の上限は月45時間、年360時間とされます(一部の職業には5年の猶予、または適用外)。臨時での特別な事情があり労使合意があったとしても、年720時間、複数月の平均が80時間、月100時間を超えることはできなくなります。
  • 罰則
    上記に違反した場合、企業には半年以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられます。

同一労働の同一賃金化

  • 概要
    正規雇用労働者と非正規雇用労働者で、同一の業務内容で賃金に差別を設けることを禁じ、雇用形態に関わらず、同一の成果には同一の報酬を支払うことになります。なお、派遣労働者についても、派遣先の労働者との均等・均衡待遇、もしくは、同種の業務内容の平均的な賃金以上が支払われることなど一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することが義務化されました。

勤務インターバルの促進

  • 概要
    労働者の疲弊を避けるため、勤務終了から翌日の出社までに一定の休息時間を設定することが努力義務とされます。例えば、残業などで終業が延びた場合、翌日の始業を後ろ倒しにするなどの措置が該当します。

月60時間を超える残業の割増賃金率の50%固定

  • 概要
    月60時間を超える残業の割増賃金率は、従来、大企業で50%、中小企業で25%でしたが、一律で50%になります。なお、60時間以下の残業は一律25%のままです。
  • 罰則
    上記に違反した場合、企業には半年以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられます。

労働時間把握の義務化

  • 概要
    今までは一部対象外がありましたが、全労働者の労働時間の状況を客観的な方法などで把握することが義務になります。また、一定時間を超える残業を行った労働者の申出があった場合、医師の面接指導を施すことも義務です。

産業医・保険機能の強化

  • 概要
    上項に関連して、企業から産業医への情報共有を拡充することが義務付けられ、同時に産業医と衛生委員会の関係性も強化されることになります。これに伴い、労働者の健康相談を充実させると共に、健康状況についての情報の取扱いに関しても規則を作成する必要があります。

高度プロフェッショナル制度の開始

  • 概要
    高度な専門知識を要する職種に就き、年収が1,075万円以上の労働者について、本人の同意があれば、労働時間規制や割増賃金の対象から外すことができる制度が新設されます。なお、同制度が適用される者に対して、年間104日の休日を確実に取得するなどの健康措置を設けることが条件となっています。

フレックスタイム制の清算期間延長

  • 概要
    従来、労働の清算期間は1ヶ月とされていましたが、新たに2ヵ月や3ヶ月にできるようになります。そのため、月毎に割増賃金や欠勤を清算するのでなく、1ヶ月を超えた期間の合計で均して計算できるようになりました。
  • 罰則
    1ヶ月以上で清算する際に届出をしていない場合、企業には30万円以下の罰金が科せられます。

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日本マイクロソフト株式会社の変働き方改革

今でこそ働き方改革の先駆者と目される日本マイクロソフト株式会社は、過去数年、地道な試行錯誤を重ねていました。2007年には在宅勤務制度を導入しましたが、当時の在宅勤務制度は主に育児や介護といった事由がある社員のみが活用するという限定的な傾向になっていました。働き方改革において大きなターニングポイントとなったのは、2011年2月の東京都内のオフィス統合・本社移転でした。これを機に、経営方針の一つとして、全社規模で働き方改革を推進する取り組みを開始しました。その結果、5 年間で事業生産性が26%向上しました。働き方改革関連法の改正された今、こうした日本マイクロソフト株式会社の成功から学べることがあります。

いつでもどこでも仕事できる

ひとつの場に従業員が集まって仕事を行うことは非効率的ですが、オフィスにとらわれない働き方の導入は、管理職などにとって心理的な抵抗がありました。しかし、経営幹部からの号令や、実際にオンライン会議を活用してテレワークでも成果を出せることを経験するなどして、徐々に浸透していきました。現在は、Office 365も活用し、社外のどこでもクラウド上でつながり、PCがなくてもモバイル端末などから仕事ができる他、会議は会議室からでもオンラインからでも参加できるようになっています。副次的に旅費や離職率も低減できたと言います。

会議のための残業の削減

働き方改革以前は、会議のたびに大量の資料を集め、データを整理して形にするために、多くの時間を割く必要がありました。それにもかかわらず、実際の会議ではその大部分がほぼ使用されないことが珍しくなく、更にその場で意志決定できないといった問題も生じていました。そこで、対話型データ視覚化ツールPower BI Proを活用し、会議中にその場で最新データのみを参照、分析できるようにし、Microsoft Teamsを通じて現場に聞くことで、迅速かつ無駄のない会議運営、そしてペーパーレス化を実現できるようになりました。

メールの負担軽減

業務やシステムの改善もさることながら、日々大量のメールをやり取りすることに時間をとられ、生産性が低下しているということも問題になっていました。この状況を是正すべく、MyAnalyticsを活用して実際にメールがどの程度読まれているのを視覚化したところ、いかにメールが読まれていないかが周知され、コミュニケーションの在り方を見直す機会になりました。Office 365や
Microsoft Teams を活用してオンラインと対面を組み合わせることでコミュニケーションが円滑になり、生産性向上につながったと言います。

 

施行を前に何をすべきか

法改正の内容を理解する

まずは、何を変えず何を変えなければいけないのかを把握することが重要です。特に、自社に関係あることについては熟知しておくべきです。上で述べた9項目のうち特に注意が必要なのは、罰則などもある、残業の上限、同一労働同一賃金、割増賃金率の固定、労働時間の把握などです。加えて、フレックスタイム制高度プロフェッショナル制度も、ワークライフバランスが注目を浴びる現在、対応が必要になる可能性が高いので、できる限り対処しておきましょう。

ポイントに応じた対策を行う

  • 残業の削減
    まず、残業が多い企業は、違反となるほど労働者に残業させているか否か確認しておきましょう。過剰である場合、残業を可能な限り抑える方策を考えます。業務量そのものを削減するか、オンラインチャットや高性能グループウェアの導入などにより、業務の効率化と時間捻出を図りましょう。
  • 労働時間の把握と同一労働同一賃金への対応
    どちらも義務化されるため、何らかの手段を講じる必要があります。前者は、労働時間管理機能のあるシステムを導入したり、裁量労働者にも労働時間を申告させたりするなど、各企業にあった方法で共有していきます。後者についても労働の実態を詳らかにしていき、新たに業務形態が明らかになった労働者、不当に賃金の低かった労働者などに対し適した処遇を与えましょう。
  • 高度プロフェッショナル制度への準備
    導入を考えている企業は、労使間の合意形成、労働環境の調整、高度プロフェッショナル制度についての規定の作成、労働者の健康管理方法などについて、今のうちから整理しておく必要があります。

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まとめ

働き方改革関連法の改正に伴い、企業は大幅な変更と対応を迫られることになります。罰則を科される可能性もあるため、施行されてから対応を始めるのでは手遅れです。早いうちから新体制を整えておくことが重要と言えます。

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