【2020年10月施行】中小企業成長促進法について解説

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公開日:2020.12.24 最終更新日:2024.2.6

2020年10月に中小企業の事業承継を促進するための中小企業成長促進法が施行されました。事業継承時の経営者保証解除や経営革新計画の支援強化などが盛り込まれており、企業が事業承継をする際のハードルが下げられています。事業継承のみではなく、コロナ禍での事業継続や雇用維持を後押しする側面もありますので、確認してみてください。今回は、中小企業成長促進法を構成する5つの法律の種類と改正内容、中小企業が受けられるメリットについて解説していきます。

中小企業成長促進法とは

中小企業成長促進法は、正式名称を「中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律」といいます。この法律を構成するのは、経営承継円滑化法、経営強化法、地域未来法、産業競争力強化法、中小機構法の5つの改正法です。中小企業の成長を促進すること、また、新型コロナウイルス感染拡大の影響下での事業継続と雇用維持を支えることを目的として、今回、既存の法律が見直されました。

改正のポイント

経営者保証の解除支援

今回の法改正により、事業継承時の経営者保証の解除ができる枠が拡充されました。この背景として、経営者保証が中小企業の廃業リスク要因の一つとなっているといわれていることが挙げられます。中小企業が民間金融機関から融資を受ける際、経営者個人が保証を行うことも多いです(経営者保証)。しかし、万が一融資を返済できなくなった場合に保証人である経営者が被る生活への影響はあまりにも大きく、経営者保証をしなければならないということは経営者にとって大きな心理的負担となります。そのため、中小企業の事業継承において、後継者候補となる人が経営者保証を忌避して事業継承を拒否するという例も少なくありませんでした。
そこで、2020年4月、一定の要件を満たす企業については、事業継承時に経営者保証を解除できる制度が創設されました(事業承継特別保証)。そして今回、経営承継円滑化法の改正により、2020年4月の事業承継特別保証制度を適用できない融資についても、経済産業大臣の認定を受けられれば事業継承時に経営者保証を解除できるようになりました(経営承継借換関連保証)。さらに、経営者保証がなくてもM&A資金の調達ができるようにするための保証制度も拡充されています(経営承継準備関連保証)。

みなし中小企業者特例

今回の法改正により、中小企業が規模拡大し中小企業の要件を満たさなくなっても、場合によっては一定期間のうちは中小企業とみなされ、中小企業を対象とした支援を継続して受けられるようになりました。
中小企業は、中小企業信用保険法の特例、日本公庫による海外展開支援など特別な支援を受けられます。ただし、こうした支援を受けるためには、例えば製造業などの場合、資本金または出資の総額が3億円以下、または従業員数300人以下、などの条件を満たす必要があります。 以前の法律では、中小企業の要件を満たさなくなると一部の支援を受けられなくなるということがあり、中小企業の成長を阻むことにも繋がっていました。 しかし今回の地域未来法の改正により、ある企業が中小企業の要件を満たさなくなってからも、都道府県知事が承認する地域経済牽引事業計画の実施中の5年以内は中小企業を対象とした支援を受けられるようになったのです。

海外展開支援

今回の法改正により、中小企業の海外展開の支援が強化されました。これまで、中小企業の海外展開の支援策としては海外子会社への融資を促進するための2つの制度がありましたが(海外展開・事業再編資金、スタンドバイ・クレジット)、これらの制度には、「為替リスクがある」、「海外金融機関との交渉が必要」、「借入期間がおおむね1年程度と短い」、といったデメリットがありました。そこで、こうしたデメリット部分を補完して中小企業の海外展開をより手厚く支援するために新たな融資の枠組みができたのです。経営強化法の改正により、一定の条件を満たす企業に対して日本公庫が海外子会社に直接貸付を行うことができるようになりました(クロスボーダーローン制度)。

計画制度の整理

今回の法改正により、中小企業者を対象とした計画認定制度が中小企業の目線で整理・統合されました。地域未来法や経営強化法の改正により作られた新たなスキームでは、中小企業の成長段階を踏まえて以下の3つの計画にまとめられています。

  • 経営力向上計画
    中小企業の基礎体力をつける段階が想定されています。人材、財務その他データといった経営資源を有効活用することで、労働生産性など経営力の向上を図るための計画の認定を受けることができます。
  • 経営革新計画
    新分野進出を目指す段階が想定されています。新商品や新サービス、新たな生産や提供の方式といった新規の事業活動に取り組むための計画の認定を受けることができます。
  • 地域経済牽引事業計画
    地域全体の活力向上を目指す段階が想定されています。地域の観光資源や特産品などを活用し、その地域に経済的効果をもたらすような事業の計画の認定を受けることができます。

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中小企業が受けられるメリット

ここまで改正のポイントを4つ紹介してきましたが、改めて中小企業にとってのメリットをまとめると以下のとおりです。

  • 事業継承がしやすくなった
    経営者保証の解除支援が強化されたことにより、経営者の後継者となる人にとって「経営者保証を引き継がなければならない」という心理的負担が軽減されました。
  • 地域中小企業が事業規模を拡大しやすくなった
    みなし中小企業者特例により、地域経済牽引事業計画の実施を前提として、一定の支援を受けながら中堅企業へと規模拡大できる可能性が広がりました。
  • 海外展開がしやすくなった
    海外展開支援の一つとしてクロスボーダーローン制度ができたことにより、海外子会社が活用できる資金調達手段が増えました。
  • 各種計画の承認による支援を受けやすくなった
    計画制度が中小企業目線で整理・簡素化されたため、経営力向上計画などの各種計画の承認申請をして支援を受けるためのハードルが下がったといえるでしょう。

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まとめ

今回は、中小企業成長促進法の施行によって以前と変わった点や、中小企業が受けられるメリットを紹介してきました。これまで手を出せなかった事業継承や事業規模拡大のチャンスができたといえるでしょう。今回の法改正を機に、各種新設制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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