固定資産税の納付時期、手続きについて解説

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公開日:2018.1.4

毎年1月1日時点で保有している固定資産に対して課税される固定資産税ですが、納付に際しては、送付される納税通知書に応じ、年4期に分割して行う必要があります。また納付が困難な場合、一定の条件を満たしていれば納税の猶予や減免を受けることができる制度が存在します。今回は固定資産税の納付について、納付時期、猶予減免制度について解説します。

固定資産税とは

固定資産税は、固定資産、すなわち土地・家屋・償却資産の所有者に課せられる市町村税です。このうち償却資産とは、個人または法人の所有する土地・家屋以外の事業に使うことができる資産で、建築物や機械、船、飛行機などがそれに当たります。
毎年1月1日が課税の基準日になっており、その時点で所有する固定資産が対象となります。1月2日以降に土地を譲渡するなどしたとしても、1月1日時点でその固定資産を所有していた人が全額納税する義務を負います。
土地の税額は、土地の評価額から求められた課税標準額に税率をかけあわせることにより求められます。それに対し家屋および償却資産の税額は、課税台帳に登録されている価格に税率をかけあわせることにより求められます。標準税率は1.4%となっており、多くの自治体がこの税率を採用しています。なお、土地や家屋の評価額は3年に1度変更されます。

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固定資産税の納付時期・手続き

納付時期

固定資産税の納付時期は年4回に分かれており、具体的な期間は各市町村が決めて良いことになっています。納税通知書が届くのでその記載に従って納付することになります。
東京都23区を例にとると、納付通知書は毎年6月1日に発送され、平成29年度の納付時期は次のようになっています。

第1期:平成29年6月1日から6月30日まで
第2期:平成29年9月1日から10月2日まで
第3期:平成29年12月1日から12月27日まで
第4期:平成30年2月1日から2月28日まで

手続き

固定資産税に関する手続きが必要となるのは、主に、家屋を新築または増築した場合、家屋を取り壊した場合、償却資産を所有している場合、家屋の用途を変えた場合の4つです。以下ではそのそれぞれについて、東京都23区を例に解説していきます。

  • 家屋を新築または増築した場合
    家屋を新築または増築したときには、家屋の評価額などを決めるために家屋調査をする必要があります。このため、建物が完成した日、あるいは建物の構造や床面積等に変更があった日から1ヶ月以内に、登記所への申請を行う必要があります。登記所での表題登記または登記変更がなされると、その旨について登記所から都の税事務所へ連絡が行きます。その後、専門の担当者が家屋の評価に来るので、各種建築書類などを準備して待ちましょう。
  • 家屋を取り壊した場合
    家屋を取り壊した場合、翌年度から当該家屋の固定資産税が課税されなくなります。そのため、取り壊してから1ヶ月以内に所有者または登記名義人は、建物の滅失の登記を申請する必要があります。また、取り壊したのが住宅である場合、住宅用地に関する特別措置が適用されなくなり、翌年度の土地の固定資産税が上昇する可能性があります。
  • 償却資産を所有している場合
    1月1日時点で所有している償却資産に関しては、1月31日までにその資産が所在する市区町村の税事務所に申告する必要があります。申告方式には、一般方式と電算処理方式があります。一般方式は、前年中に増減した分の償却資産を申告し、税事務所が税額を決定する方式です。他方の電算処理方式では、申告者が自身で全ての償却資産に対して評価額を計算して申告を行います。いずれも、たとえ前年度と償却資産の増減がなくても、毎年の申告が義務となっています。
  • 家屋の用途を変えた場合
    住宅用地には、土地の固定資産税が安くなる特別措置が適用されています。そのため、例えば住宅に利用していた家屋をお店として利用するようにした場合などは、この特別措置の対象から外れることになりますので、その変更から1ヶ月以内に登記所へ登記の変更を申請する必要があります。この場合も、登記所から税事務所へ通知がなされます。なお、お店から住宅になった場合などにも同様です。

 

猶予・減免制度について

固定資産税を期限内に納付しないと、延滞金が発生します。しかし、ある一定の理由によって固定資産税を支払うことが難しいとき、納税の猶予や減免をしてもらうことができる制度があります。ここでも東京23区を例にとって確認していきましょう。

徴収猶予

固定資産税を納税できないとき、担保を提供し以下の条件を満たすことによって、原則1年の猶予が認められます。また、その際は分割納付も可能です。徴収猶予を実際に受けるには、徴収猶予申請書・猶予を必要とする理由を証明できる書類・担保提供書などを用意して申請する必要があります。

  • 財産が災害を受けたり、盗難にあったりしたとき
  • 納税者や、生計を同じくする親族が病気になったとき、または負傷したとき
  • 事業を廃止または休止したとき
  • 事業に著しい損失を受けたとき
  • 上記に類する事実があったとき
  • 法定納期限後1年過ぎてから課税されたとき

減免制度

災害等による被害を固定資産が受けた場合に、固定資産税を減免することができます。これは、減免申請書と「り災証明書」を税事務所に提出することによって適用されます。以下で示すように、土地・家屋・償却資産ではそれぞれ減免を受けることができる基準が異なるので注意が必要です。

  • 土地
    崖崩れや地滑りなどによって、土地の効用を妨げられた部分の面積の割合が全体の20%以上である場合。
  • 家屋
    損壊、焼失または流失した部分の床面積が、延床面積の20%以上ある場合、または床上浸水した場合。
  • 償却資産
    損害を受けた償却資産が償却資産全体の20%以上である場合。

 

まとめ

今回は固定資産税の納付時期、手続きについて解説しました。納付時期が4回に分かれていたり、住宅用地は特例措置がなされていたりとイレギュラーな点も多いので、改めて他の税金との違いを整理しておくと良いでしょう。

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