危険予知訓練(KYT)とは?危険予知訓練(KYT)を実施手順と共に解説

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公開日:2024.1.24

危険予知訓練とは、従業員自身が職場に潜む危険性や有害性などの危険要因を発見し、起こりうる現象を解決する能力を高める訓練のことを指します。危険予知訓練を実施するための手順として、4ラウンド法が挙げられます。最初に、職場にどのような危険が潜んでいるか意見を出し合い現状を把握します。続いて出し合った意見の中から、特に危険なポイントをチェックし本質追求を行います。その後、チェックしたポイントをどうしたら解決できるか話し合い対策を樹立し、最後に行動目標の設定を行います。

   

危険予知訓練を実施しよう

危険予知訓練とは

危険予知訓練とは職場や仕事中に潜む危険な現象や事故を引き起こす恐れのあるリスクに対する感受性を高めて、解決していく能力を向上させるために実施する訓練のことです。具体的には職場や仕事の状況を描いたイラストシートを活用して、チームで話し合いながら危険のポイントや具体的な対策を考えます。なお、危険予知訓練は、危険のK・予知のY・トレーニングのTを取って、KYTとも呼ばれるので覚えておきましょう。

危険予知訓練の始まり

危険予知訓練は昭和48年に中央労働災害防止協会により実施されたゼロ災害運動の際に採用された、危険予知活動が起源とされています。危険への感性を高めて事故を予防する効果が大きいという観点から、労働災害だけでなく交通事故防止策としても広く活用されるようになりました。厚生労働省が発行している「交通労働災害防止のためのガイドライン」では、継続した危険予知訓練を行うことが事故防止に有効であることが明記されています。現在ではさまざまな企業で危険予知訓練が取り入れられており、事故や危険を回避するために役立てられるようになりました。

危険予知訓練が必要とされる場面

危険予知訓練が必要とされるのはどういった場面でしょうか。製造業や建設業などの作業中に潜む危険を具体例として以下にまとめました。

  • プレス機の操作中の事故
  • フォークリフトの接触事故
  • 高所作業中の転落
  • トラック運転中の事故
  • 積み込み作業時の転倒

業務を進める際に上記のような危険が伴うのであれば、危険予知訓練の実施が望ましいです。従業員が作業中に怪我をするリスクがあったり、事故が発生する可能性があったりする場合には、事前に危険予知訓練を行って対策を考えましょう。


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危険予知訓練で期待できる効果

労働災害を防止できる

危険予知訓練を行う一番の目的は職場での労働災害を未然に防止することです。労働災害の発生件数は減少傾向にありますが、依然として被災者が発生しています。厚生労働省による「令和3年労働災害発生状況」によると、死亡者数は長期的には減少傾向にありますが、休業4日以上の死傷者数は減少幅の鈍化や増加の傾向が伺える結果が出ていました。危険予知訓練を実施すれば職場内に潜んでいる危険や普段の作業に気付かないリスクを見える化できます。これまで気付かなかったリスクを危険予知訓練で顕在化できれば、労働災害を予防することができるのです。

職場の5Sが徹底される

職場の5Sの徹底にも危険予知訓練は効果があります。職場における5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの頭文字を取った言葉です。危険予知訓練で顕在化する職場のリスクには、出したままの工具や汚い状態で放置されている設備なども含まれます。そうした危険につながる要因を排除する過程で、職場の整理整頓や清掃作業を進められるのです。また、ベテランの従業員が若手社員に対して危険なポイントの見つけ方や整理整頓の重要性についても指導できるので、5Sのしつけもスムーズに行えます。

危険を回避する行動を習慣化できる

危険予知訓練によって職場の危険要因を潜在意識にインプットすることで、危険を回避する行動の習慣化が可能です。危険予知訓練では行動目標を決めたうえで、危険に対する感受性と問題解決能力を向上させるための取り組みを行います。また、行動目標に掲げた安全確認を行う際には、指差し唱和を実施することも危険予知訓練のポイントです。指差し唱和とは指を指して声を出して安全を確認する行為であり、行動目標の習慣化につなげられます。

    

4ラウンド法における危険予知訓練の実施手順

R1:事実をつかむ

まずは、職場に潜む危険やリスクを明確にしましょう。具体的には危険予知訓練用のイラストシートを用意して、どういった危険が潜んでいるかを5人程度のチームで話し合います。危険要因によって実際に引き起こされる現象を想定して、チーム全体で意見を共有することが大切です。例えば、脚立を使った高所作業では転落の恐れがあるなど、イラストシートに含まれるすべての危険要因を洗い出します。なお、イラストシートではなく実際の現場で同様の工程を行うことも可能です。

R2:本質を追究する

次に、R1においてチームで発見した危険要因のなかから、関心が高く重要な項目に対してペンで印をつけましょう。印をつけた項目において、特に危険なポイントには赤ペンでアンダーラインを引きます。なお、該当の箇所については指差し唱和を全員で行ってください。「脚立を使った高所作業は転落する恐れがある、ヨシ!」といったように、全員の意識を揃えることが大切です。

R3:対策を考える

続いて、危険要因を解決するための具体的な対策案を出し合いましょう。チーム全体でどうしたら危険を回避できるか話し合い、解決策を模索します。高所作業の例であれば「必ず複数人で作業を行い、脚立を支えるようにする」など、誰もが安全と思える対策を考えることが重要です。

R4:行動計画を決める

最後のステップとして行動目標を設定しましょう。印をつけて対策を考えた箇所を重点実施項目として設定して、職場で実践していくためにチーム全体で指差し唱和によって確認してください。「高所作業は必ず複数人で行い、必ず脚立を支える、ヨシ!」といったように、明確な行動目標を定めます。

     

まとめ

安全に作業を行っていると思える職場にも、改めて確認してみると危険やリスクが潜んでいるものです。危険やリスクを黙認して仕事を進めていると、思わぬ事故に発生してしまう可能性もあります。従業員の安全を確保して働きやすい職場環境を確保するためにも、危険予知訓練を実施してみてはいかがでしょうか。

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