イクボスとは? 企業に与える効果を解説!

カテゴリ:総務のおいしい話 投稿日: 2019.4.10 tag: , ,

イクボスとは、部下や同僚のワークライフバランスを考慮し、その人のキャリアを応援しながら、組織の業績に結果を出し、自らのワークライフバランスも維持できるような上司のことを指します。NPO法人ファザーリングジャパンにより設立されたイクボスプロジェクトでは、イクボス10ケ条やイクボス宣言などの活動が行われており、認知度が高まってきています。今回は、イクボスプロジェクトの活動内容やイクボスを育成する効果、企業がイクボスを育成するために必要な取り組みについて解説していきます。

イクボスとは

概要

イクボスの「イク」は、イクメンなどのイクと同じで、子育ての育が基になっています。「ボス」は英語のbossで、上司のことです。つまりイクボスとは、子育てに理解ある上司、子育てしやすい環境を整える上司のことで、自身の仕事と私生活のバランスだけでなく、共に働く部下や同僚の仕事と私生活も考慮して彼らのキャリアと人生を応援しながら、かつ組織としての業績や結果も出せるような経営者や管理職の人々を指します。ボスと言うと男性がイメージされるかもしれませんが、当然、女性も対象になります。

イクボスプロジェクト

イクボスの認知度向上と浸透を呼び掛けるNPO法人ファーザリングジャパンなどが主導する一連の活動を、イクボスプロジェクトと呼びます。厚生労働省の奨励もあって近年注目を集めているこの活動の主な内容には、イクボス宣言、イクボス検定、イクボス企業同盟、その他公式メディアの運営などがあります。

  • イクボス宣言
    イクボス宣言とは、自治体や企業が、従業員や職員が仕事と私生活を両立して子育てできる環境にすると公式に宣言することです。特別な申請書や認定基準などはなく、基本的には団体の行った取り組みに基づき宣言を公開します。こうした表明に対して、ファーザリングジャパンは後述のポータルサイト「イクボスドットコム」などで取り上げ、厚生労働省は動画を募集して「日本総イクボス宣言プロジェクト!!」の宣言動画集で掲載したりイクボスアワードを実施したりするなど、更なるイクボスの広がりに一役買っています。
  • イクボス検定
    イクボスプロジェクトの公式サイトで受けることができる模擬試験です。同サイトでは参考になる関連書籍も紹介されています。
  • イクボス企業同盟
    イクボスのロールモデルや養成ノウハウなどについて企業間で協力して高め合い、社内の意識改革を促進し新時代の理想の上司を育成するための同盟です。ファーザリングジャパンを中心として、情報共有と勉強会やメッセージ発信などが活動内容になります。イクボス中小企業同盟も存在し、こちらは低コストで優秀な人材採用を可能にした事例、ワークライフバランスを通じた社員のモチベーションアップの成功方法などの共有に重きを置いた、中小企業による同盟になっています。
  • 公式メディア
    ファーザリングジャパンは、法人としての公式サイトやイクボスプロジェクトの公式サイトに加えて、イクボスについての情報発信やイクボス宣言、インタビューの掲載などを行うポータルサイト「イクボスドットコム」を運営しています。近年ではYouTubeで「イクボスドットコム公式チャンネル」が開設され、各団体のイクボス宣言やイクボス企業同盟関連情報、各種映像などを公開しています。他にもラジオ番組「イクボスTODAY」や、各種媒体における連載などがあります。

参加企業例

イクボス企業同盟の加盟企業は200社以上に及び、以下のような大手企業も名を連ねています。

  • (株)みずほファイナンシャルグループ
  • 全日本空輸(株)
  • ソニー(株)
  • 花王(株)
  • イオン(株)
  • 資生堂(株)
  • 三井住友銀行(株)
  • 第一生命保険(株)
  • アサヒビール(株)

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イクボス10ヶ条

イクボスに重要な10要素はイクボス10ヶ条と呼ばれ、この過半を満たすことがイクボスの証となっています。

  1. 理解
    現代の子育て事情について理解があり、部下や同僚が育児に時間を割くことにも理解を示すこと。
  2. ダイバーシティ
    仕事よりも育児を優先することがある部下や同僚に対して冷遇や差別などせず、ダイバーシティのある経営を行っていること。
  3. 知識
    育児のための社内制度や法律について知識があること。
  4. 組織浸透
    自分の管轄下の組織全体に、育児に時間を割くよう積極的に推奨して、育児への意識の浸透を図っていること。
  5. 配慮
    転勤や単身赴任など、従業員の家族や育児に大きく関わる人事については、最大限の配慮をしていること。
  6. 業務
    育児休業などの取得者が出ても組織業務が滞りなく進められるよう、情報共有のネットワーク作り、チームの育成、モバイル化、クラウド化といった手段を可能な限り講じていること。
  7. 時間捻出
    部下や同僚が育児に時間を割きやすくなるよう、会議の縮小、書類の削減、意思決定の迅速化、裁量型体制の採用などを進め、業務の効率化・迅速化を図っていること。
  8. 提言
    自分の上司や人事部などに対し、部下や同僚の育児に配慮した経営を行うように提言していること。
  9. 有言実行
    イクボスのいる企業や組織は業績も向上するということを実際に示し、社会に普及するよう努めていること。
  10. 隗より始めよ
    イクボスである自分自身がワークライフバランスを重視し、人生を楽しんでいること。

   

イクボスの効果

仕事能力が向上

様々な対応を次々に求められる育児は総合的な能力が必要な活動であり、育児や地域活動への積極的な参加によって身につくものは、仕事にも活かされます。それは視野の広さ、時間配分の効率化、段取りの良さ、対話力、運営力、観察力など多岐に渡り、加えて、新たな人脈拡大に繋がる、思わぬ得意分野が見つかるといった可能性もあります。また、家庭が安定していれば、より集中して仕事に打ち込めることも期待できます。

組織力が高まる

私生活が尊重されれば仕事に対する部下のモチベーションが上がり、そうした対応をする上司には信頼が集まります。また、いつ誰かが休んでも円滑に業務が進むように情報共有がより徹底され、チームワークも向上します。こうした柔軟な組織形態は多様な価値観に開かれ、優秀な女性や若手社員が集まりやすいので、業績にも好影響が見込めます。

職場環境へのメリット

従業員が個々の私生活を充実させていれば、鬱や労災に関わる病気の罹患率を下げられる他、企業としても、ブラック企業脱却やサービス残業削減のきっかけなどにできます。こうした職場環境の改善は、離職率を下げることにも繋がります。

   

イクボスの育成

次に、組織内でイクボスを育て上げるために必要なことを説明していきます。既にイクボスの育成に取り組み始めている企業も多く、各地でセミナーや研修が行われているので、以下の基本的事項を踏まえた上でこうしたイベントを利用するとより効果的でしょう。

組織内での理念の共有

子育ての尊さや大変さへの理解を促した上で、ワークライフバランスの重要性や、子育てや介護を抱えた従業員への支援の必要性についての認識を共通のものにします。そのためには、従業員はお互いの状況を配慮して協力し合うべきだと組織内の意識改革を行うことが不可欠です。また、女性管理職の採用数を増やしていくことで、より育児などについての理解ある職場に変わることが期待できます。

育児休業制度の周知と業務の効率化

男性従業員の育児休業取得率を上げることが重要であり、性別にかかわらず休業を理由に不利な扱いを受けるようなことがあってはいけません。育児休業の取得は法律で定められた当然の権利という意識を醸成し、また、誰がいつ休業しても業務を回せるよう情報共有のネットワークや意志決定システムの強化をしておくと共に、職場にいなくても働ける在宅勤務やリモートワークの環境を整えて、休業者とその周囲、そしてイクボスが被る負担を軽減することが大切になります。

政府施策の利用

イクボスや育児休業、組織内の制度改革については、政府でも様々な助成や支援を行っています。上記で紹介してきた施策を今すぐ実現しようすると負担が重く、混乱や反発を招きかねないというような場合は、これらを利用して小さなことから着手していくと良いでしょう。

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まとめ

現在はワークライフバランスの重要性についての認識が広がりつつあり、イクボスという言葉も、こうした過渡期だからこそ登場したのだと言えます。今後ますます促進されていくであろうこうした動きについて、今のうちから押さえておくことが重要です。

 

企業風土を活性化させるには

目まぐるしく変化するビジネスシーンの中で、組織である企業は常にその形を変えて活性化させる必要があります。そのためには、企業の独自の風習である企業風土を改革させる取り組みを行うことが求められます。

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