効果的な人材育成へ、従業員のスキル管理で人材を「見える化」

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公開日:2018.3.23

人材を見える化し効率的にマネジメントを行うためには、従業員個々の能力を把握し、その情報をうまく活用できるように管理することが重要です。スキル管理の活用は、従業員のスキルを可視化して管理することで、人材の適正な配属、さらには効果的で高度な人材育成が可能となります。本記事では、スキル管理によって得られる効果を解説し、スキルマップの作成など具体的な管理の手法や、いくつかの便利なスキル管理ツールを紹介します。

スキル管理の効果

各従業員の能力を把握し、情報として管理することは、企業の人的資源を有効に活用するための効果的方法です。スキル管理は、工場における機械操作ができるかどうかといった技術的なものに限らず、オフィスでの電話対応の質や、上長として部下を統率する力など、オフィスワーク中心の業務においても活用することができます。

スキル管理を行うことで得られるメリットには以下のことが考えられます。

社内の人材発掘と適正な配属

従業員の中には、現在配属されている部署では発揮されることのない優れたスキルを持つ人材がいる可能性があります。こうした隠れた人材を、そのスキルにマッチした他の部署に配属し直すことで、企業にとってより大きなメリットを生み出すことができます。適切な部署に従業員を配属することは、従業員のモチベーション向上に繋がるため、企業だけでなく従業員にとっても良い効果を生みます。

そのための前提として、まずは従業員がどのようなスキルを持ち合わせているのかを把握できる仕組みが必要です。そうしたスキル管理システムが整った環境では、例えば新しいプロジェクトの立ち上げに際しても、素早く適切な人材を配属することも可能となるでしょう。さらに、企業内の人材を把握することで自社に欠けているスキルを特定し、今後どのような能力を持った人材を新たに採用するのか、どのような人材を育成していくかといった、中長期的な計画を立てる際にも役立ちます。

職場における従業員教育の効率化

各従業員のスキルを把握することは、職場における教育の効率化にも寄与します。

  • 職場教育の環境整備
    職場に教育を行える人材がいて、教育を行える現状にあるかを把握するために、スキル管理が必要とされます。
  • 必要なスキルの把握
    各従業員によって能力にばらつきがあったとしても、スキル管理によってどのような教育が必要であるかを見極めることができます。
  • 教育効果の視覚化
    従業員のスキルを定期的に再評価し現況を把握することで、職場での教育の成果が視覚化されます。どれだけ成長したかを確かめられれば、教える側と教わる側の双方の職場教育に対するモチベーションを高められますし、思うような成果が出ていない場合にも教育方法の見直しを検討することができます。

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スキル管理の方法例

それでは次に、スキル管理の具体的な方法を紹介していきましょう。

スキルマップの作成

スキルマップとは、各従業員の持つスキルを表にしてまとめたものです。縦を従業員名、横を各スキルとし、各従業員の各スキルに対する習熟度を数値などで表すことでまとめることで、従業員のスキルを一目で確認できる一覧表となります。エクセルなどを用いて簡単に作成することができます。

スキルマップの作成には、スキル体系の作成、スキル評価方法の決定、実用に向けての準備の3点を考慮する必要があります。以下、それぞれ説明しましょう。

  • スキル体系の作成
    まず、従業員に見出すスキルの内容を明確に分類する必要があります。どの従業員を対象とし、何をスキルとみなし、スキルの種類をどれだけ細分化するのかを決定することで、初めて適切なスキル評価が可能となります。これらの項目を設定するには、まず自社が必要とする人材像を明確にしておかなければなりません。必要な人材像が定まることで、そうした人材を目指すために必要なスキルが絞られます。将来的な企業の人材育成を考える上では、スキルは現状必要とされていないものであっても、将来的に必要とされる可能性があれば盛り込んでおくのがベターでしょう。
    また、各種資格はスキルを測る上でわかりやすい1つの指標となります。スキル項目に設定されないものであっても従業員の持つ資格もまとめておけば、従業員の能力を新たに発掘することに繋がるかもしれません。
  • スキル評価方法の決定
    次に、従業員のスキルを誰がどのようにして評価するかを決定する必要があります。評価の方法は、主観的な評価方法と、客観的な評価方法の2通りに大別されます。主観的な評価方法では、従業員本人が行う自己評価や上長による評価、さらには同僚や部下、あるいは他部署の第三者による評価などが考えられます。客観的な方法としては、業務を何回遂行したかなど数字で評価する方法と、試験を受けさせ、その結果で評価する方法があります。
    主観的な評価をする場合には、評価基準をできる限り明確に設定することで評価の正当性を確保する必要があります。評者によって評価の厳しさにある程度の差が生じるのは避けられないとは言え、基準が曖昧では正確な評価は不可能です。また、いくつかの評価方法を組み合わせることは、評者の立場による評価のずれを調整する意味でも有効です。
    評価基準として、具体的には「1.研修を受けた」「2.指導のもと実施できる」「3.独りで実施できる」「4.指導できる」といった、習熟度に応じたレベル分けが考えられます。何割のクレームには対応可能かというような数字を基準に盛り込むことで、評価のブレを小さくすることができます。

    また、評価を更新する頻度も決めておく必要があります。従業員の成長とともに従業員の持つ様々なスキルもレベルアップしていきます。正しい采配をするためには、定期的に情報をアップデートする必要があります。しかし、スキルの評価にも時間的・経済的なコストが発生するため、バランスを考えて適正な更新頻度を決めなくてはなりません。

  • 実用に向けての準備
    スキル管理を実際に導入するためには、スキルマップの内容を決めるほかにも準備が必要です。まず、職場でスキルマップを導入すること、その目的と期待される効果、さらには評価基準について、従業員に周知することが大切です。また、他者から評価されることに対してプレッシャーを感じる従業員もいることが予想されるため、従業員へのメンタル面でのケアについても考慮する必要があります。

スキル管理ツールの導入

効率的なスキル管理の方法として、企業向けに開発されたスキル管理ツールの導入も検討してみるべきでしょう。優れたインターフェイスは、エクセルで作成したスキルマップよりも可視性と操作性に長け、また、導入の手間がかからない、情報漏洩へのセキュリティが高いという点でも有利です。スキル管理ツールを用いて、現状の従業員のスキルについて記録することはもちろん、個々の従業員の成長の記録や研修の履修状況、プロジェクトごとの人材配属状況などを同時に管理することで、スキル管理情報をより有効活用することができます。さらに、各部署で共通のツールを利用することでフォーマットの統一もされるため、部署を超えた管理が可能です。

スキル管理ツールの具体名をいくつか挙げるならば、「COCOREPO」や「SKILL NOTE」、「カオナビ」などがあります。導入は比較的簡単ですので、実験的にいくつかのツールを導入し比較することで、自社に合ったツールを探すと良いでしょう。

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まとめ

スキル管理は自社の持つ人材の力を視覚化し、効率的な人材配属、人材教育に役立ちます。適材適所の配属を行い、不足したスキルを補う採用や教育の実施は、企業のためだけでなく、従業員にとっても労働意欲を促進するなどのメリットがあります。スキル管理を適切に導入・運営すれば、企業と従業員の双方にとってよりよい会社作りが可能になるものと期待されます。

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