ダイバーシティの自主的推進! 企業のポジティブアクションの効果とは

カテゴリ:クローズアップ 投稿日: 2018.6.3 tag: , , ,

少子高齢化が進み、労働力の確保が喫緊の課題とされている中、雇用における男女格差を解消しようとする動きが強まっています。官民が連携する「女性の活躍推進委員会」は、格差是正のためのポジティブアクションに各企業が自主的に取り組むよう呼びかけています。今回の記事では、このポジティブアクションについて、企業側のメリットや取組み例をご紹介します。

ポジティブアクションとは

ポジティブアクションとは、固定的な性別による役割分担の意識を見直し、意欲の高い女性を積極的に登用する企業の自主的な取組みのことです。アメリカなどでは、社会構造的な人種や性別による差別を解消するために、アファーマティブアクションと呼ばれる積極的格差是正措置が行われています。

ポジティブアクションは、日本の文脈におけるその1つの形とも言え、男女共同参画社会の実現のために厚生労働省などが中心となって呼びかけています。企業は採用や昇進における男女間の不平等を解消することで優秀な女性の人材を確保し、彼女らの活躍を通して業績の向上へ繋げることが期待されます。この取組みに参加し、具体的な女性の登用目標を数値として掲げている企業も存在します。

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企業におけるポジティブアクションの取組み

企業側のメリット

ポジティブアクションの導入は、社会における女性の活躍を助けるだけでなく、企業に対しても多くのメリットをもたらすと考えられています。以下、いくつかの例を挙げてみましょう。

  • 女性労働者の労働意欲が向上する
  • 女性の活躍が周囲の男性に刺激をもたらし、生産性が向上する
  • 優れた労働者を幅広く確保できる
  • 人材的な多様性が新たな価値を創造し、商品開発などに活かされる
  • 職場のコミュニケーションの質が向上する
  • 人を大事するというイメージが獲得でき、企業の外的評価が向上する

取組みの進め方

ポジティブアクションの取組みを進めるには、以下のプロセスを踏みます。

1.ヒアリングやアンケートを実施して、男女の従業員の活躍状況やデータの比較を行い、現状の分析と問題点の発見を行う。
2.その結果を基に定量的な目標値を定めるなどして、具体的な取組計画を策定する。
3.この計画に基づいて取組みの実施を進めながら、適宜現状の評価、修正を行なっていく。

ポジティブアクションの手法

ポジティブアクションの計画を策定する際には、多様な手法を選択することができます。各企業がそれぞれの現状と目標に合わせて適切な手法を選ぶことが大切です。ここでは、代表的な3つの手法を紹介します。

  • 指導的地位につく女性の人数枠を設定する方式
    性別を基準に一定の人数などを割り当てるクォーター制などがこれに該当します。
  • ゴール・アンド・タイムテーブル方式
    指導的地位につく女性の数値に関して、数値の目標とそれを達成するまでの期間を示して、実現のために努力をします。
  • 基盤整備を推進する方式
    各種研修の実施やワークライフバランスの向上など、女性の参画の拡大を図るために基盤を整備します。

具体的な取組み

ポジティブアクションの具体的な取組みの例としては、以下のものが挙げられます。

  • 女性の採用拡大
    職場ごとに女性の従業員の比率の数値目標を設定して採用計画を立て、性差にとらわれない公正な選考のためにマニュアルを作成する。
  • 女性の登用
    昇進や昇格の基準、人事の評価基準を作り、それを労働者全員が周知する。女性のキャリア形成のためのメンター制度などを設ける。
  • 女性の継続就業
    出産や育児などに関するパンフレットを作成し、育児休業制度などのサポート体制を整備する。

採用における注意点

原則として、新たな雇用の募集や採用を行う際にあからさまに男女どちらかの性別を優遇する措置を取ることは、男女雇用機会均等法により禁止されています。しかし、ある職域区分において女性の比率が著しく低い場合などには、女性を積極的に採用する旨を表記することは認められています。その際には、その職種の女性の従業員の割合が4割を下回っていることが条件となっています。

 

ポジティブアクションの阻害要因と対処法

ポジティブアクション導入後、その取組みを順調に進めるのは決ずしも容易ではないかもしれません。その一般的な理由と対処法として、以下のようなものが考えられます。

  • 従業員の意識改革
    ポジティブアクションの導入にあたって最も高い障壁となるのが、旧来の性別による役割分担の意識です。そのため、取組みの意義に対する男性・女性従業員双方の理解が不可欠となります。
    男性従業員には、企業の業績の向上に女性社員の活躍が必要であることを理解してもらわなければなりません。そのためには、外部講師による研修や、女性活躍の目標値やプロセスの周知が有効です。
    女性従業員に対しては、経験の蓄積とスキル獲得を促進・奨励するための、業務経験の機会の増加と細やかなサポートが必要です。
  • 女性従業員の職域拡大
    上記の点と関連して、従来男性に偏重していた職域に女性従業員を増やす際にも、元々配属されていた男性従業員たちの理解を得ることが重要です。また、女性従業員自身が経験不足などを理由に現状維持を望み、新たな職種へのチャレンジを拒むというケースも考えられます。
    そうした場合、マニュアル作成による業務の標準化や、外部研修の充実化、自己申告制度の導入などを行い、女性従業員を後押しする環境を整える必要があります。
  • 女性従業員の継続就業
    現在の日本の企業風土では、育児や介護により女性の継続就業が難しくなる傾向があり、これでは、企業はせっかく育ててきた人材を途中で手放してしまうことになります。男女が共にライフステージの変遷に対応した柔軟な働き方を実現できるためには、仕事と家庭の両立の重要性を社員に対して周知徹底することはもちろん、職場復帰プログラムの充実化、代替要員によるサポート体制などが重要になります。

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実際の事例

現在、多くの企業がポジティブアクションの取組みを始めています。

DHLジャパン株式会社は経営陣の強力なサポートの下、人事部内にプロジェクト推進室を設置し、ポジティブアクションの取組みを全社的に展開しました。若手女性従業員のコミュニティを結成して、取組みの情報発信や様々な企画を通じた成長機会を提供し、結果としてコミュニティのメンバーから3名もの女性管理職が誕生しました。この他にも社内の意識改革や、女性従業員の継続就業支援を行うなど、企業一丸となった取組みにより大きな成果を上げたことが認められ、平成28年には厚生労働大臣優良賞を受賞しました。

 

まとめ

優秀な人材を積極的に確保していくためにも、管理職や経営者は男性のみという古い固定観念を捨て去る必要があります。長年の慣習を変えることは難しく感じるかもしれませんが、ポジティブアクションの実践は、企業や男性従業員にとっても多くのメリットがあります。これを機に、自社に出来る取組みを検討してみてはいかがでしょうか。

 

人事評価制度を構築するために

少子高齢化により、ますます労働人口が減少していく昨今。企業は人材確保のため、さらなる苦労を強いられると予想されます。限られた人材で最大限のパフォーマンスを発揮するためには、社員の能力開発や企業の生産性向上が必要です。そこで、社員それぞれの強み・弱みを明らかにし、課題点を洗い出す「人事評価」は強力なツールであり、これからより必要性が増してくるだろうと考えられています。

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