「くるみんマーク」とは? 雇用環境を整備することで企業イメージを向上!

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公開日:2018.3.12

厚生労働省による子育てサポート企業の認定証である「くるみんマーク」は、いくつかの基準を満たした上で申請を行うことで認定を受けることができます。くるみんマークの取得によって、企業イメージの向上のみならず、割増償却を受けることも可能となります。今回はそんなくるみんマークについて、認定に必要な基準やメリットについて解説します。

くるみんマークとそのメリット

くるみんマークとは

くるみんマークとは、社員の子育てを積極的に支援する企業が厚生労働大臣の認定を受けて使用できるマークです。平成29年の12月末時点で2,848社がくるみんマークを使用するための認定を受けています。

平成27年4月1日からは、くるみんマークに加えて、プラチナくるみん認定制度が開始されました。こちらは、くるみん認定を既に受けている企業の継続的な取組を促進するためのマークで、取得にはさらなる目標数値の達成が求められます。プラチナくるみん認定企業はまだ数が少なく、平成29年12月末時点で181社となっています。

くるみんマークのメリット

くるみん認定、プラチナくるみん認定を受けると、マークを商品や広告、求人広告などに利用することができます。このマークによって、子育てサポートに積極的に取り組んでいることを社内外にアピールすることができるでしょう。特に人手不足に直面している企業には、優秀な人材獲得に大きな効果があると考えられます。

また、単にイメージアップを図れるだけではなく、税制優遇措置(くるみん税制)や公共調達による加点評価という、より実際的な見返りも受けられます。企業が保育施設や更衣室、授乳コーナーなど「次世代育成支援対策資産」として指定されているものを導入し、その後くるみん認定やプラチナくるみん認定を受けた場合は、その資産について割増償却ができます。これは平成30年度末までにくるみん認定を受けた企業に対する優遇措置で、後に詳述する一般事業主行動計画に当該資産の導入を記載した上で、行動計画の期間内に実行しなければなりません。各省が総合評価落札方式もしくは企画競争により公共調達を実施する場合は、ワークライフバランス等を推進する企業を積極的に評価するという国の指針のもと、くるみん認定、プラチナくるみん認定によって加点を受けることができます。

 

くるみん認定を取得するには

一般事業主行動計画の策定

くるみん認定を受けるには、一般事業主行動計画を策定し、その行動計画に定められた目標を達成するなどの認定基準を満たした上で、くるみん認定の申請を行う必要があります。

一般事業主行動計画とは、企業が子育て中の労働者の仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備や、子育てをしていない労働者も含めて多様な働き方を可能にする整備を行うために策定する計画です。計画には計画期間と目標、その目標を達成するための対策の内容と実施時期を明記しなければなりません。これは次世代育成支援対策推進法によって規定されており、101人以上を雇用している企業には、この一般事業主行動計画の策定と届出、社外への公表、社内への周知が義務付けられています。

計画策定のために、まずは仕事と家庭の両立に障害となっていることが何であるかを従業員から聞き取るなど、社内の労働環境で改善すべき事項を把握しましょう。その後、くるみん認定の認定基準を踏まえながら、問題解決のための行動計画を策定します。なお、新たな制度を導入するという目標を設定する場合は、関係法令で定められているよりもその制度の水準が上回るようにしましょう。関係法令で定めている最低基準の制度導入を目標に設定すると、その目標を達成したとしても、くるみん認定の認定基準は満たしません。

くるみん認定の認定基準

一般事業主行動計画期間の終了後は、各都道府県の労働局に設置されている雇用環境・均等部(室)へくるみん認定の申請を行うことになります。全部で10の認定基準が設けられています。

  • 行動計画に関連する基準
  1. 行動計画の策定
  2. 2~5年の計画期間
  3. 目標の達成
  4. 計画の公表および労働者への周知

なお、雇用環境の整備について、国が定めた行動計画策定指針に示された項目のうち1項目以上が策定されていなければなりません。また、設定した目標を達成したことを証明するための客観的な証明を提出する必要があります。

  • 育児休業に関する基準
  1. 配偶者が出産をした男性労働者の育児休業取得率が7%以上であること
  2. 出産した女性労働者の育児休業取得率が75%であること

行動計画の計画期間において、この二つを満たしていることが求められます。なお5.に関して、男性労働者で育児休業等を取得した労働者が1人以上いて、社内独自の育児休業制度を持っている場合は、異なる基準を適用することができます。この場合、育児休業等を取得した男性労働者に企業独自の育児休暇制度を利用した男性労働者も加えて、その割合が、期間内に配偶者が出産をしたすべての男性労働者に対して15%以上であれば認定基準を満たすことになります。

  • その他の基準
  1. 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者が働きやすい制度を導入しているかどうか
  2. 「フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること」と「月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと」が同時に満たされること
  3. 所定外労働削減や有給休暇の取得促進、テレワークなどの、多様な働き方を促進する措置を、具体的な目標とともに行なっていること
  4. 重大な法令違反事実がないこと

プラチナくるみんの認定基準

プラチナくるみんの認定を受けるには、事前にくるみん認定を受けていることに加え、さらに厳しい特例認定基準を満たす必要があります。具体的には、男性労働者の育児休業率の基準が15%、もしくはくるみん認定における場合のような特定の場合には30%と、くるみん認定よりも高く設定されています。また、女性労働者が出産を行なっても仕事が続けられていることを数値で示す必要があり、育児を行う女性労働者のキャリア形成の支援のための取り組みを求められています。

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まとめ

くるみんマークの取得は簡単ではありませんが、このマーク取得のための取り組みを1つの契機として、社員の子育てをサポートする体制を企業全体で作り出すことができれば、長期的にもその企業に大きなメリットとなるはずです。くるみん認定と、その先にあるプラチナくるみんの認定も視野に入れて、社員が子育てと仕事を両立できる企業になることを目指してみてはいかがでしょうか。

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