年末調整控除申告の電子化が始まります! 早めの準備を心がけましょう

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公開日:2020.4.3

2020年10月以降の年末調整から、一部の控除申告を電子化してデータで提出することが可能になります。年末調整の手続きが電子化されることで、申告書の作成が簡素化され手間が減るほか、紙媒体での保管が不要となるメリットもあります。今回は、年末調整控除申告の電子化の概要やメリット、電子化に向けて行うべき準備について解説していきます。

年末調整とは

年末調整は、正確な所得税を算出するために行うものです。多くの給与所得者は、個人事業主と異なり年間の収入が一定しているため、所得税は想定した1年分の給与額に応じて毎月天引きで徴収されます。あくまでも想定した給与額のため、実際納めるべき所得税と差異が生じます。年末調整を用いて差額分を算出し、不足分を還付あるいは徴収します。

 

年末調整控除申告とは

年末調整控除申告とは、給与所得者が年末調整の際に納税の控除対象項目を申告することをいいます。これらの項目を申告することによって、納税額を軽減することができます。年末調整時には生命保険や社会保険などが、調整後は寄付金や医療費などが控除の対象となります。

旧制度の概要

旧制度の申告方法は、従業員が保険会社や金融機関などから発行される控除証明書を紙媒体で受け取り、その記載内容に基づいて申告書を作成して勤務先に提出する、というものでした。

新制度の変更点

従業員は、保険会社や金融機関などから電子データ化された控除証明書を受け取ります。ソフトウェアを用いて、当該データを自動入力・自動計算することが可能です。計算後のデータを勤務先に提供するのみで手続きが完了するため、複雑な計算を行う必要は一切ありません。

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年末調整控除申告の電子化の概要

2020年10月以降に提出する生命保険・地震保険・住宅借入金などの控除の証明書は、電子データ化することが可能です。年末調整に関するデータを電子化することによって、より手続きを簡便化することが目的です。電子化導入に向けて、国税庁は専用ソフトを無償提供します。

 

電子化するメリット

電子化は、雇用主・従業員、双方にメリットが発生します。大幅なコスト削減と事務手続きの簡素化を図ることが可能なため、特に雇用主側のメリットが大きいといえるでしょう。

雇用主側のメリット

書面の記載内容や控除額の確認、給与システムへの入力、税額の計算などが自動化されるため、事務コストを削減することができます。また、電子化されることによって紙媒体の保管が不要となるため、保管コストの削減も可能です。従業員の記載ミスを防げるため、個人に問い合わせをしなくて済むようになります。

従業員側のメリット

書類の記入や控除額の計算など、手書きの作業が不要になります。また、一度作成したデータは翌年以降も利用できるため、翌年度以降の手続きの手間がより軽減されます。

 

電子化に向けて行うべき準備

電子化にあたって、雇用主・従業員はそれぞれ準備を行わなくてはなりません。電子データ導入後にトラブルが発生するのを避けるために、準備は念入りに行う必要があります。

雇用主側の準備

  • どのような方法を用いて電子化を実施するか検討する
    まずは、従業員が使用するソフトウェアをどこの会社が提供しているものにするか、電子化後、手続きの事務手順をどのように進めるかなどを綿密に検討しなければなりません。
  • 従業員へ周知する
    次に、電子化を導入するにあたって、事前に従業員に周知します。従業員からの同意は法令上必要ありませんが、従業員自身も手続きなどの事前準備が必要なため、なるべく早く周知することを推奨します。また、電子化後の事務手続き手順の説明も必須事項です。従業員からデータ取得方法について問い合わせがあった場合は、マイナポータル連携を用いることを伝えます。
  • 給与システムを改修する
    次に、従業員から提供を受けたデータを現在利用中の給与システムなどにインポートします。その際に算出方法のシステムの改修を行い、また、2020年以降の所得金額調整控除も雇用主側が計算するため、それに伴う改修も必要となります。
  • 税務署へ届出を提出する
    最後に、雇用主側は税務署に届出を行います。従業員から年末調整に関する事項を電子データによって提供してもらうには、企業側は事前に所轄税務署長に必要書類を提出しなければなりません。承認を受けることによって、初めて電子化の導入が可能になります。

従業員側の準備

  • 専用ソフトウェアを取得する
    年末調整申告書データを作成するためのソフトウェアを取得します。
  • マイナポータル連携をしない場合は、控除証明書データを取得する
    マイナポータル連携をしない従業員は、保険会社や金融機関などの各会社・機関の取得方法に従って、控除証明書データを取得する必要があります。

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まとめ

2020年10月以降から年末調整に関するすべての作業が電子化可能になります。紙媒体の申告書の配布や回収作業、給与計算システムに入力する作業などが不要となり、雇用主側の負担が軽減されます。従業員もデバイスや場所を選ばず年末調整申告書などを提出できるようになるというメリットも発生します。雇用主側は、余裕を持って電子化に向けた準備に取り組みましょう。

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