万全な事前準備を! 新入社員受け入れ時のチェック項目とは

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公開日:2018.4.13

新入社員を受け入れる時期に近づくにつれ、人事担当者は様々な準備に追われ多忙となります。受け入れ体制が不十分だと、新入社員は企業に対する不満を抱きやすくなり、早期退職につながる場合もあるため、入念な事前準備が不可欠です。本記事では新入社員受け入れの時期にするべき人事担当者の業務について、チェック項目を作成しました。

受け入れ準備の意義

新入社員は、新たな環境で働くことに期待と不安の両方を抱いています。新入社員を受け入れる体制が十分に整っていない場合、環境や人間関係、制度などに対する不満を募らせて、会社になじむ前に離職を選択してしまう可能性もあります。新入社員の受け入れ体制の整備は、新入社員が今後の社会人生活を送る上で常識ある行動を自ら納得して取ることができるように教育すること、職場に早く馴染み、1人前の社員として活動できるようにすることを目的としています。以下では、具体的に新入社員を受け入れる体制づくりに必要な準備の内容について紹介していきます。

 

新入社員の居場所の準備

まず必要な準備として、新入社員が入社後に働く環境の整備が考えられます。事務用品や名札と言った業務で使用するものだけでなく、座る席やロッカー等、新入社員を迎え入れるスペースを確保しておかなくてはなりません。職場によって必要なものは異なりますが、以下に代表的な例を挙げます。

  • 制服
  • 社員証
  • 名札
  • 社章
  • 事務用品
  • デスクとイス
  • ロッカー
  • PC
  • タイムカード

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新入社員の入社手続きの補助

入社するにあたり、新入社員は多くの書類を企業や行政機関に提出しなくてはなりません。新しい環境への不安もある中で、これらの書類を期日通りに間違えずに提出することは新入社員にとって時に大きな負担となり得ます。企業から入社までに必要な手続きについて、新入社員に懇切丁寧にアナウンスしていくことが必要です。入社手続きに必要な書類には、以下のものがあります。

企業から新入社員へ送る書類

  • 内定通知書
    採用を通達する書類です。
  • 誓約書
    入社を誓約する書類です。新入社員が企業への入社に同意したことを示すため、サインや印をして返送してもらいます。この際、返送用の封筒を同封すると新入社員に親切です。
  • 労働条件通知書
    労働者を新たに雇入れる際、労働条件を書面で通知する義務が労働基準法によって定められています。そのため、多くの企業では採用が決定した新入社員に労働条件通知書を送付しています。この書類には、以下の事項を必ず記載しなければなりません。
    1.労働契約の期間
    2.就業に関する事項
    3.就業場所
    4.従事する業務に関する事項
    5.始業及び終業の時刻
    6.所定労働時間を越える労働の有無
    7.休憩時間、休日、休暇に関する事項
    8.賃金に関する事項
    9.退職に関する事項
    以上に加えて、昇給に関する事項など、より細かな労働条件の規則を盛り込むこともできます。
  • 雇用契約書
    上記の労働条件通知書とよく似た書類に、雇用契約書があります。労働条件通知書が労基法上の義務から交付されるのに対し、こちらの雇用契約書は民法および労働契約法に則って使用者と労働者の間の合意確認として取り交わされるもので、作成が義務として定められているわけではありません。企業側で保管する用と社員側で保管する用に同じ書類が2部必要です。

社員から企業へ提出する書類

  • 住民票記載事項証明書
    本人の住所の確認に必要となる場合があります。
  • 年金手帳
    厚生年金の加入のために必要です。写しを用いる場合もありますが、原本を会社へ預ける場合が多いです。
  • 給与振り込み先についての書類
    給与の振り込み先である口座の確認をするための書類です。
  • 身元保証書
    入社後に社員が企業に損害を与え、それが社員1人で賠償しきれない場合に保証人が連帯して賠償責任を負うことを約束する書類です。
  • 健康診断書
    労働安全衛生法第66条により、企業には社員に健康診断を受けさせる義務が定められています。入社後に実施するのが通常ですが、場合によっては入社前に受けさせて診断書を提出させることもあります。この際、健康診断書は入社するまでの3か月の間に作成されたものでなくてはなりません。
  • 通勤手当支給申請書
    通勤にかかる交通費への手当を申請する書類です。
  • 資格免許証、合格証明書類
    学歴や所有する資格が事前に申請された通りであるかを確認する書類です。
  • マイナンバー
    雇用保険、厚生年金、健康保険加入など、会社が社員に関して行政との間で行う手続きに必要です。

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企業が新入社員のために行う手続き

以上は新入社員と企業との間で交わされる書類でしたが、これらに加えて、企業は行政機関での手続きも行わなくてはなりません。

  • 健康保険資格取得手続き
    社員が業務以外で怪我や病気をした際の治療費や通院費の一部を企業が負担する保険です。社員に扶養家族がいない場合は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」のみを提出します。扶養家族がいる場合はこれに加えて「健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者資格取得等届」を提出しなくてはなりません。
  • 雇用保険資格取得手続き
    社員が業務中に怪我や病気をした時、または社員が失業した時のための保険です。「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。
  • 給与・住民税に関する申告

所得税を社員の給与から徴収して企業が代わりに納税するために必要な手続きです。

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新入社員を教育するための準備

新入社員が他の社員と同様に働けるよう、また、社会人としての常識を身につけるよう新人育成を行う体制を整えることも、新入社員を迎え入れるまでに行わなくてはならない準備です。職場での教育のことを「OJT(On-the-Job Training)」と言います。これに対して、社外教育のことは「Off-JT」と言い、ビジネスマナー研修などは社外で行われるセミナーに参加するなどOff-JTで行うこともできます。以下では前者のOJTの実施方法について紹介します。

実施前に確認しておくこと

まず、社員の育成には目標が必要です。どの程度まで習熟することを目標としているか、ゴールが明確化されることで、教育の計画が立てやすくなります。

次に新入社員を育成する計画を立てる際、担当者の選任をする必要があります。担当者は、コミュニケーションの取りやすさという観点からはあまり年の離れていない先輩が望ましいですが、専門的な知識や技術が必要な職種の場合はベテランに担当させるほうが良いケースもあります。予め新入社員の持っている資格や能力を担当者に知らせておくことも重要で、そうすることで適切なレベルでの教育が可能になります。教育担当者が事前に教育の計画について熟知し、場面や社員の成長に合わせて適切な教育を施せるよう、予め研修を受けていることが望ましいです。また、教育担当者以外の社員も新入社員に関心を持ち、それぞれの立場から適切なコミュニケーションを取ることで、新入社員が職場によりなじめているという実感を持たせることができます。

実施する際の手順

OJTを行う際は、「実際にやってみせる」「説明する」「やらせてみる」「確認し追加指導する」の4段階が基本的なステップになると言われています。業務時間中に実践経験を積めるのがOJTの特徴でもあるので、単に説明するだけでなく、実際にやらせてみることで即戦力の育成を図ることができると同時に、その様子を観察することで社員の成長の度合いを測ることができ、個々の社員の実力に合った教育をすることが可能になります。

また、コミュニケーションを密接に取りながら教育できるのもOJTのメリットです。一方的に教えるだけでなく、新入社員が積極的に学習できるようにすることが大切です。ただし、新入社員の積極性を引き出すためには、新入社員が抱えている不安や疑問を解消することが必要です。そのため、新入社員が困ったと感じたことをヒアリングする時間や、新入社員が質問できるタイミングを用意しておくことによって、新入社員が積極性を持てるような雰囲気を作ることが重要になります。

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まとめ

新入社員は企業に新たな風を送り込んでくれる大切な仕事仲間です。暖かく迎えるような職場の雰囲気づくりが大切です。新しい仲間が気持ちのよいスタートを切られるよう、また、スムーズで効率的な新人教育を行えるよう、念入りな準備が必要です。

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