無用なトラブルを防ぐ雇用契約書の交わし方

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公開日:2017.6.2

雇用契約書は労働条件についての合意を証明する書類として重要であるにもかかわらず、整備できていない場合があります。

そして、雇用契約書の不備はしばしば労使トラブルの深刻化につながります。労使関係を悪化させないための社員とのコミュニケーションが最も重要ですが、労使トラブルリスクも考えた上で、是非しっかりとした雇用契約書を取り交わしてください。

 

労働条件明示の義務

労働基準法等には、賃金や労働時間などの労働条件について労働者に明示する義務があると定めています。とくに下記のものは「書面で」明示しなければならないとされています。

労働契約の期間 /有期労働契約を結ぶ場合、更新の有無及び更新の基準/就業の場所・従事する業務の内容/始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項/賃金の決定、計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項/退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

 

「労働条件通知書」と「雇用契約書」の違い

「労働条件の明示」は一方的な交付でも構わないため、「労働条件通知書」などの書面を会社が労働者に渡すだけでも明示はできますが、労働契約法において「労働契約は合意により成立する」旨規定されてあるため、お互いが条件について合意したことを「契約書」という形式で残したほうがよいでしょう。

「労働条件通知書」とは、一般に労基法第15条による一方的な明示書面を指すことが多いものの明確な定義はなく、労働条件通知書に本人合意を示す署名欄を付け加えることで雇用契約書と同様の意味合いとする場合もあります。

 

従業員の署名と契約日

契約書は、契約当事者本人の署名、もしくは記名押印により締結に至ります。印鑑は必ずしも契約成立の要件ではなく署名だけでも結構です。重要なのが「合意の年月日」です。合意日が裁判など労使紛争上重要なポイントとなりますので忘れずに記入してください。

 

残業については特に慎重に

時間外・休日労働などについては、特に注意して記載・説明し、「残業を固定的に支給するなら何時間分の残業を含むのか」「残業の申請方法やどう許可されるのか」など説明しましょう。

 

 

 

その他の注意事項

・有期契約の社員には、契約期間と更新の有無、更新の判断基準も明記の上、伝えましょう。

・業種により特別の秘密保持義務がある場合など、会社独自のルールがあるときは契約時に説明をしましょう。

下記チェック項目に該当しない場合はご注意ください。

入社時に雇用契約書を取り交わしている

契約内容の変更時に雇用契約書を再度取り交わしている

契約書を口頭でも説明し、納得してもらっている

日付と署名欄の記入をしてもらっている

出向、転勤などの可能性について説明している

雇用契約期間について説明している

契約更新について、契約の都度説明している

残業の可能性や定額残業制度など説明している

会社における独特な職務ルールを説明している

パート・アルバイトも雇用契約書を取り交わしている

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