総務担当者が業務効率化させるためのポイントとは

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公開日:2021.10.18

総務の仕事は業務範囲が広く、全体を把握している人材が少ないため属人的な業務になりやすい傾向にあります。総務が業務効率化を目指すためには、業務の見える化とIT化が必須です。課題を整理した上で適切な措置を行いましょう。今回は、総務の抱える課題、業務効率化のポイント、効率化につながるツールを紹介します。

総務が抱えやすい課題

業務が属人化しやすい

総務業務は、いわゆる「バックオフィス」と呼ばれる企業活動の裏側を支えている仕事です。大規模な企業の場合は、人事、労務、総務などの部署に分かれていることが多いですが、中小規模の企業では、これらの業務を一手に引き受ける部署として扱われることも少なくありません。このような企業では、総務の仕事は多岐に渡るため、多くの場合、業務ごとに担当を決めています。そのため、担当者が急な休暇や退職などで不在になると、その業務について誰もわからなくなってしまう、という属人化の問題が起こりやすいのです。

業務範囲が広がりやすい

総務業務には、備品管理や文書作成、電話応対などの庶務や、従業員の福利厚生に関する業務、経営陣の補佐、ICTなどのインフラ整備、社内報などの従業員に向けた告知や広報活動、社内イベントなどの企画・運営などがあります。企業にもよりますが、ここからここまで、と明確に分けられる仕事ではありません。

また、中小企業など従業員数の少ない企業では、人事や労務の業務も併せて行う場合があります。そのため、総務スタッフ一人が抱える業務量や業務範囲は非常に大きくなることが考えられるでしょう。

定量的な評価が難しい

営業や企画の業務は、売上や受注件数のように、目に見える結果を得ることができます。仕事に対して定量的な評価ができるため、部署単位で今後の目標をたてたり、個々の従業員も目標を立てたりしやすいといえるでしょう。
一方で、総務業務では、多くの場合、仕事の成果や結果を数値によって表すことができないため、定量的な評価は難しくなります。そのため、自分の仕事がどれだけ企業の役に立っているかわかりにくくなり、総務スタッフのモチベーション低下に繋がる場合もあるでしょう。また、企業の設備投資においても、利益に直結しない総務部門に関しては後回しにされる傾向があります。

ミスが許されない

総務業務は、在庫管理や情報管理、書類作成など、細かい数字や個人情報を広く扱うため、慎重かつ正確に業務をこなす能力が要求されます。また、経営陣のスケジュール調整や重要書類の作成、企業の窓口となる電話応対など、企業活動のさまざまな場面で重要な仕事を担うのも総務部門です。総務のミスは、企業や従業員に大きな影響を与えるため、総務部門の責任は非常に大きくなります。

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総務の業務を効率化するポイント

業務の見える化を行う

総務の業務を効率化するためには、まず、部署内の業務全体を「見える化」することが大切です。部署内で行っている業務を一覧にして、誰が、今、どの業務を行っているか明確にしましょう。そのうえで、現在の進捗状況など細かな情報を管理・共有していきます。このようにすることで、業務の優先度やアサインメントの工夫などが行いやすくなるでしょう。また、管理職だけではなく、部署内の従業員全員が全体の業務を把握することで、業務の属人化防止にもつながります。

ITツールを活用する

業務の幅が広がれば、処理作業や管理において、アナログ作業には限界が来ます。このようなとき、タスク管理や業務の自動化に特化したITツールの活用がおすすめです。現在、多くの総務業務向けのITツールが開発されており、気軽に導入できるものも増えています。これらのITツールを上手に活用すれば、総務業務の効率性を高めることができるでしょう。ただし、ITツールには多くの種類や特徴があり、職場や業務内容によって適したものを選ぶ必要があります。導入の際にはよく検討しましょう。

アウトソーシングを活用する

総務業務のなかには、文書の管理や物品の管理、伝票の入力、人材募集に関する事務的手続きなど、ある程度切り分けることのできるルーチンワークがあります。このような業務は思い切って外部サービスに委託してしまうのも一つの方法です。外部サービスは、その分野に特化した専門企業が行っているため、社内で行うよりも正確で迅速な作業が期待できます。特定の作業をまるごとアウトソースすることで、重要な業務に優先的に取り組むこともできるでしょう。

  

業務効率化につながるツール

勤怠管理ツール

勤怠管理を手書きで行なったり、タイムカードを利用したりしている場合、給与計算時に労働時間を表計算ソフトなどにまとめる手間がかかってしまいます。また、給与計算は複雑で、労働の時間帯や休日かどうか、有給休暇の有無など間違えやすいポイントが多くあります。
勤怠管理ツールを導入し、労働時間をデータとして管理できれば、給与計算システムと簡単に連携ができたり、労働時間・休暇の管理が明確化できたりなどメリットがあります。また、在宅勤務や外回り時にもPCやスマホから打刻ができるため、従業員がストレスなく使用できることもメリットと言えるでしょう。

体調管理ツール

somu-lier toolは、コロナ禍において重要な従業員の健康管理や陽性者の経過観察、テレワークでの出退勤管理ができる無料のツールです。テレワークでも、従業員の体調を毎日簡単に管理することができ、万が一陽性者が確認された際には、接触履歴を元に感染リスクの高い社員へアラートを通知することが可能です。従業員が安心して健康に仕事に臨めるよう、ぜひ導入してみてください。

ビジネスチャットツール

社内における情報共有や交流手段には、回覧資料や掲示板、文書、メールなど、さまざまな方法があります。これらを一括で行えるのが、チャットツールです。最近では、ビジネス向けに開発されたチャットツールを利用する企業が増えており、企業における基本的なITツールの一つとなっています。
ビジネスチャットツールには、グループチャット機能や文書や資料の共有、管理者によるアカウント管理、強固なセキュリティ、ログや履歴の管理など、ビジネスでの利用に適した機能が付いています。メールでの連絡に比べ会話形式で連絡できるため簡便であること、電話と違い会話のログが残ること、スマートフォンなどを使用してどこからでも連絡できることなどがメリットです。

日程調整ツール

日程調整ツールとは、顧客や取引先との打ち合わせなどのスケジュールを調整・管理できるツールです。カレンダーから予定が空いている日時を抽出し、相手に都合の良い日を選んでもらったり、候補日を指定して相手に決めてもらったりすることができます。
この日程調整ツールは、総務業務においても活用できます。例えば、採用活動を行う際は、求職者との連絡や面接の日程調整が必要です。新卒採用など多くの求職者がいる場合には、連絡の行き違いや重複が発生しやすく、大きな業務負担になっています。そのような場合に便利なのが、日程調整ツールです。グループウェアなど、組織内の情報共有に特化したソフトウェアを使うと良いでしょう。あらかじめ面接可能な日程を求職者にURLを知らせて共有したうえで、求職者に面接希望日時を入力してもらえば、企業側はほとんど手間をかけることなく面接日時を決めることができます。

名刺管理ツール

名刺管理といえば、ITツールが広まるまでは名刺ファイルに保管して、それぞれの担当者が管理するもの、というイメージでした。しかし、現在の名刺管理ツールでは、名刺をデータとして保存し、社内で一元管理できます。また、名刺データとその名刺を受け取った担当者のデータを紐づけて保存するなど、大きく進化しています。特に近年では、画像認識の技術を取り入れ、名刺をスマホカメラで撮影するだけで、企業名、担当者名、部署名を読み込み、テキストデータに変換する機能などもあり、とても便利です。
名刺データと担当者の関係性を可視化できることにより、ほかの部署からのアプローチもしやすくなり、ビジネスチャンスが広がるでしょう。

ペーパーレス化ツール

紙ベースの業務は、現在も多くの企業で行われています。書類を管理していくためには、増え続ける資料の保管方法や、必要な情報を検索する手間、廃棄する際の情報漏えいの危険性など、多くの問題に対処しなければなりません。また、総務で扱うことの多い稟議書や契約書など、原本のやり取りが必要な書類も少なくありません。郵送や返送などの手間は決して少なくないコストになっているでしょう。これらの問題をクリアするのが、ペーパーレス化ツールです。
ペーパーレス化ツールでは、紙の資料をスキャニングして種類ごとに振り分け、クラウドに保存できます。これにより、従業員はデジタル機器とインターネット環境さえあれば必要な情報にアクセスできるようになり、出張先やテレワークの業務がスムーズに行えるでしょう。もちろん、アクセス権の設定もできるため、機密事項漏洩への対策もされています。また、電子契約ツールでは、契約書などの作成から押印まで、すべてペーパーレスで、オンラインのやり取りで行えます。

ソフトウェアロボット

ソフトウェアロボットとは、RPAとも呼ばれ、人間が行う大量の単純作業、反復作業などを行わせることができます。パターンが決まっていて予測できる業務を行わせることができるため、担当者の業務負担や人件費などのコストを軽減するだけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながります。従業員は、細かいルーチンワークなどをソフトウェアロボットに任せて、付加価値の高い仕事に集中することが可能です。

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まとめ

総務部門は目立たない存在と思われがちですが、社内のさまざまな部署に関連し、従業員の労働環境にも深くかかわっている重要な部署といえるでしょう。また、専門的かつ精度が要求される業務が多いため、経験豊富な従業員しかこなせない業務が発生しやすく、属人化につながっていました。総務業務を効率化するためには、業務の属人化を防ぎ、誰もが取り組める風通しの良い総務部門の構築が必要です。

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