社会保険料計算の基礎、「標準報酬月額」について解説

カテゴリ:コラム 投稿日: 2017.12.13 tag: , ,

健康保険や厚生年金保険などの社会保険料は、それぞれの保険料率を、基礎となる「標準報酬月額」に掛けることで算出されます。この標準報酬月額には、計算の元となる報酬の範囲が多岐にわたり、さらに複数の決定方法があるなど、複雑な点が多くあります。今回はそんな標準報酬月額について、計算方法や決定する方法を詳しく解説します。

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険における保険料額や保険給付額の計算の基盤として、報酬額の等級ごとに設定された額のことです。毎月の給料や交通費なども含めた、被保険者が受け取る報酬の月額がどの等級に該当するかによって決定します。

報酬の定義

標準報酬月額を決定する最大の要素である報酬には、いったいどういうものが含まれているのでしょうか。

ここでの報酬とは、健康保険や厚生年金保険の被保険者が労務の対象として使用者から受けるもの全てを含みます。賃金や給料、俸給、手当、賞与、通勤交通費、残業代など、あらゆるものが挙げられます。

しかし例外もあり、売上達成などを記念して与えられる大入り袋や、事故に遭った人に与えられる見舞金などのように臨時的に受ける金銭や、夏と冬の2回のボーナスのような年3回以下の賞与は報酬としてカウントされません。

標準報酬月額はどれくらい?

先述のように、標準報酬月額は報酬月額がどの等級に入るかによって決まります。

平成29年時点では、厚生年金保険の標準報酬月額は1等級の8万8千円から31等級の62万円までの31段階に区分されており、例えば標準報酬月額を決める4月、5月、6月の平均報酬が20万5千円である場合には、報酬月額が19万5千円~21万円の範囲内に含まれているため14等級に該当し、この時の標準報酬月額は20万円となります。

他方の健康保険の場合、標準報酬月額は第1級の5万8千円から第50級の139万円までの50等級で区分されています。また健康保険では、標準報酬月額の上限該当者が3月31日の時点で全被保険者の1.5%を超えている際には、政令によりその年の9月1日から標準報酬月額の上限を変更することができるようになっています。

このようにして該当する等級から標準報酬月額を導いたら、その年の9月から原則としては翌年の8月までは、その数字を基に保険料額等が算出されることになります。

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標準報酬月額の決定方法

ここからは標準報酬月額がどのように決定されるかを詳しく解説していきます。

標準報酬月額が決定されるタイミングは大きく分けて以下の3つの種類に分類することができます。

資格取得時の決定

標準報酬月額は基本的に従業員が受け取った報酬の額を元に決定されますが、雇用されて間もない従業員は過去の報酬額を元に標準報酬月額を決定することができません。そこで、事業者は従業員を雇用した時に就業規則や労働契約などの内容から報酬月額を概算し、標準報酬月額を決定します。

資格取得時に決定された標準報酬月額はその年の8月まで使用されますが、資格取得をしたタイミングが6月1日から12月31日までの期間内であった場合は、この標準報酬月額が翌年の8月まで使用されます。

定時決定

資格取得時の決定以降は、毎年一度、定時決定という方法で標準報酬月額が決定されます。7月1日になる前の3ヶ月(4月、5月、6月)に従業員が事業主から受け取った報酬月額の総額を求め、それを期間の月数で割った平均額を標準報酬月額と定めます。

ただし、4月、5月、6月に受け取った報酬であっても、支払いの基礎となる日数が17日に満たない月は算定に使用されません。その場合は算定に用いられる対象月の総報酬額を対象月数で割ったものが標準報酬月額となります。例えば、4月と6月は30日分の報酬が支払われ、5月は休業していたため報酬を受け取っていないという場合では、標準報酬月額は4月と6月の総報酬額を2ヶ月分で割ったものになります。

随時改定

例えば、標準報酬月額は4月から6月までの報酬を元に決定されますが、それ以外の期間で報酬額が大幅に減少してしまった場合など、従業員が負担する保険料は標準報酬月額を元に算定されるため、次の定時決定までの間の負担はとても大きくなってしまいます。

そこで、支払われる報酬月額が大幅に変化した時には事業主の届け出によって標準報酬月額を改定する制度があります。このような標準報酬月額の決定方法を随時改定といいます。

随時改定により決定された標準報酬月額も他の決定方法の場合と同様にその年の8月まで使用されますが、改定がその年の7月以降であった場合は翌年の8月まで使用されます。

随時改定が行われる条件は、従業員の固定的賃金に変動があることと、継続して従業員が受け取った3ヶ月の総報酬額を3で割ったものが元々の標準報酬月額と比べて2等級以上離れていることの2つになります。

 

まとめ

標準報酬月額は従業員が受け取った報酬を元に決定され、保険料を算定する際などに用いられます。標準報酬月額を決定する方法は、従業員の入社時期や固定賃金額の変動などの条件を元にいくつかの種類に分けることができます。正しく標準報酬月額を決定するためには、決定方法を把握することと報酬額の正確な認識が必要となります。

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