貸借対照表の読み解くポイントを解説!

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公開日:2018.9.7

勘定科目の大きな5つの分類のうち、資産、負債、純資産の3つをまとめて表した報告書のことを貸借対照表と言います。貸借対照表によって、会社の財産がどのような状態で保存されているかを確かめることができます。今回の記事では、貸借対照表の各項目と自己資本比率、流動比率、当座比率について紹介していきます。

貸借対照表の概要

貸借対照表とは

資産負債
純資産

貸借対照表とは、企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表す報告書のことです。およそ取引には、資産の減少と増加という2つの側面が存在します。たとえば、企業が土地を購入した場合、不動産資産は増加しますが、結果として土地代金の支払いも発生します。貸借対照表では、まず左側に会社が保有する資産を、表の右側にはその資産を保有するための資金調達の源泉(負債および純資産)を一覧表示します。最も重要なポイントは、貸借対照表の左側に書かれた資産の合計金額と、右側に書かれた負債および純資産の合計金額が一致し、バランスがとれることです。この性質から、英語ではバランスシート、略してB/Sとも呼ばれます。なお、このように資産と、その資産を調達するための原資を、分けて記述する簿記方式のことを複式簿記と呼び、複式簿記において左側と右側の合計金額が一致することを、貸借平均の原理と呼びます。

貸借対照表の役割

貸借対照表は、会社の財政状態を明らかにするために用いられることになります。つまり、損益計算書が収入というフローのデータを表すのに対して、貸借対照表は会社の資産というストックのデータを表します。たとえば、短期間で返済しなければいけない負債があるのに、不動産のように流動性の低い(現金化するのに時間がかかる)資産ばかり持っていたら、返済することができなくなってしまいます。このように、資産と負債・純資産は切り離せない関係性があり、好ましい状態にしておく必要があります。そのため、貸借対照表を見て、どのように資金調達し、運用しているのかをチェックすることになります。

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貸借対照表の項目

貸借対照表の資産、負債、純資産の3つの項目それぞれについて詳しく見ていきます。

資産

資産には、会社が保有する資産が記載されています。たとえば、現金や有価証券、土地、建物、機械などが代表的なものです。また、資産は、1年以内に現金化することのできる流動資産と、長期にわたり保有することになる固定資産が区別されます。資産の表の上部には流動資産、下部には固定資産が書かれています。

  • 流動資産
    現金や有価証券など。
  • 固定資産
    土地や建物、機械など。

資産の項目を見ることによって、会社が調達したお金をどのように運用しているのかを知ることができます。

負債

負債には、将来返さなくてはいけない会社の借金が記載されています。他者から借りてくる資本なので、他人資本とも呼ばれます。たとえば、買掛金や支払手形、借入金、社債などが代表的なものです。負債も、1年以内に返済しなくてはいけない流動負債と、1年以内に返済の必要のない固定負債が分けて表示されています。負債の表の上部には流動負債、下部には固定負債が書かれています。

  • 流動負債
    買掛金や支払手形、短期借入金など。
  • 固定負債
    長期借入金、社債など。

純資産

純資産には、株主から調達したお金や、利益を出したことで調達したお金が記載されています。たとえば、資本金や利益剰余金、その他有価証券評価差額金などが代表的なものです。純資産は返済する必要がないので、自己資本とも呼ばれます。また、純資産がマイナスである場合、債務超過となり倒産のリスクが高いと判断されることになります。

負債と純資産を合わせて見ることによって、会社がどのように資金調達を行っているのかを知ることができます。

 

貸借対照表を読み解くための指標

貸借対照表は、各項目を別々に見ていくこともできますが、各項目間の関係性に着目して見ていくと、より効果的に会社の財政を理解することができます。その際によく使われる自己資本比率、流動比率、当座比率という3つの指標を紹介します。

自己資本比率

自己資本比率とは、会社の資産のうち返済が不要な自己資本(純資産)の比率を計算したもので、計算式は以下のようになります。

自己資本比率が高いほど会社の財政基盤は安定しており、積極的に事業の拡大ができる資金があることを示します。一方、自己資本比率が低いほど、事業拡大の際には銀行などからの融資を受ける必要があるなど、他人資本に影響されやすいので不安定であるといえます。自己資本比率は、会社の一般的に、自己資本比率が40%以上あれば好ましいとされ、50%以上であれば優良企業とされます。

流動比率

流動比率とは、流動負債に対する流動資産の比率を計算したもので、計算式は以下のようになります。

流動比率が高ければ、短期的負債に対して現金化能力が追いついているので、短期的支払い能力が高い会社であるといえます。逆に流動比率が低いと、短期的支払い能力が低く不安定な財政状態といえます。一般的には150%以上であれば好ましいとされ、200%以上あれば優良企業とされます。100%以下である場合は見直しが必要です。

当座比率

当座比率は、流動比率をより厳密にしたものです。流動比率には商品の在庫である棚卸資産も含まれますが、在庫が全て売り切れるとは限りません。そのため、当座比率では、流動負債に対して、流動資産から棚卸資産を除いた当座資産の比率を計算することで、短期的支払い能力を評価します。計算式は以下のようになります。

当座比率が高ければ、短期的支払い能力が高い会社であるといえます。流動比率が高いのに当座比率が100%を下回る場合には、大量の在庫を抱えている可能性があるので、会社の財政の見直しが必要となります。

指標の比較検討

以上、3つの指標を紹介してきました。自己資本比率が高くても、流動比率が低ければ倒産する可能性があります。また、流動比率が高くても当座比率が低ければ倒産する可能性があります。このように1つの指標だけでなく、様々な指標を組み合わせて用いることによって、会社の財政を多角的に評価できるようになります。

 

まとめ

今回は、貸借対照表について解説してきました。貸借対照表は、会社の財政面での健康状態を計る大事なツールです。各項目間の関係性を理解することがとても重要なポイントとなってきますので、先ほど紹介した3つの指標などを利用し、効果的に分析してみましょう。

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