災害で資産を損失してしまったら? 災害損失とは

カテゴリ:コラム 投稿日: 2018.8.13 tag: , ,

災害損失は、災害によって有形固定資産が損失した際の費用を勘定する勘定科目の1つで、特別損失に含まれます。災害後の除去作業や事後処理は修繕費に含まれますが、条件によっては災害損失特別勘定ができるなど、損失額の計算は複雑で注意が必要です。今回は、災害損失の法人税の取り扱いについて詳しく解説していきます。

災害損失の計算について

災害によって発生した災害損失の費用は、法人税額の計算において以下のように処理されます。

災害により滅失・損壊した資産等

法人が所有する商品、店舗、務所等の資産が災害によって被害を受けて、次に挙げる損失や費用が生じたとき、その全額が損金に算入されます。

  • 商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失または損壊した場合の損失
  • 損壊した資産の取壊しまたは除去のための費用
  • 土砂その他の障害物除去のための費用

資産の評価損

災害による著しい損傷によって、法人が所持する棚卸資産、固定資産または一定の繰延資産の時価が帳簿価額を下回ることとなった場合には、その差額を資産の評価損として損金算入することができます。

被災資産の復旧

法人が災害により被害を受けた固定資産は、被災資産として扱われます。被災資産の復旧について支出する費用は、原状回復のための修繕費、または付加価値を加える資本的支出として扱われます。前者は損金算入できますが、20万円を超える資本的支出は損金に計上できません。被災資産に対する費用について、修繕費と資本的支出の区分は以下のように定められています。

  • 被災資産について、その原状を回復するための費用は修繕費に区分されます。
  • 被災資産について、被災前の効用を維持するために行う補強工事や、排水または土砂崩れの防止等のために支出する費用は修繕費として扱うことができます。
  • 被災資産について支出する費用で上記2つに該当しないものについて、修繕費であるか資本的支出であるかが判然としないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出として経理することが認められます。

 

災害損失特別勘定について

災害により被害を受けた資産の修繕等のために、災害のあった日から1年以内に支出する費用の適正な見積もり額については、実際の支出が事業年度をまたぐものであっても災害損失特別勘定に繰入れることで、被災した事業年度の所得計算に損金算入することができます。

この損金経理により災害損失特別勘定に繰り入れた金額は災害損失の額に含まれますが、以下の2つのうちより額が大きいものの合計額が繰入限度額として設定されています。ただし、当該の被災資産が保険金や損害賠償金、補助金などによって補償される場合は、その金額を控除して合計額を計算します。

  • 災害のあった事業年度の終了日における、被災資産の価額と帳簿価額の差額に相当する金額
  • 被災事業年度終了の日の翌日から、災害発生後1年を経過する日までに支出すると見込まれる、被災資産についての以下に挙げる修繕費用等の見積額

1.被災資産の滅失、損壊または価値の減少による当該被災資産の取壊しや除去に要する費用と、その他の付随的な費用
2. 土砂その他の障害物を除去するための費用
3. 被災資産の原状回復のための修繕費
4. 被災資産の損壊またはその価値の減少を防止するための費用
5. 被災資産の被害拡大を防止するために緊急に必要な措置を講ずる際の費用(災害により棚卸資産及び固定資産に被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合、その被害の発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための費用を含みます)

災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度において、災害損失特別勘定の残額がある場合には、その残額を取り崩して益金の額に算入することになります。しかしやむを得ない事情により修繕等が遅れているときは、税務署長の確認を受けることで、その修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度まで、災害損失特別勘定の残額の益金算入を延長することができます。

 

災害損失欠損金について

法人の所有する棚卸資産や固定資産等について、災害損失の損金が益金を上回って生じた欠損金額を、災害損失欠損金額といいます。

災害損失欠損金の繰越し控除

通常の欠損金と同様、災害損失欠損金額は当該の事業年度から最大で10年間(2018年3月以前に開始した事業年度の場合は9年間)繰越して控除することができます。しかし通常と異なる点として、災害損失欠損金の場合は青色申告書を提出していなくても繰越しが認められています。

災害損失欠損金の繰戻し還付

災害損失欠損金は、被災した事業年度の前年(青色申告書を提出する場合には前2年)の事業年度への繰戻しが認められています。被災した事業年度の確定申告書または中間申告書と同時に、繰戻しによる還付請求書を税務署に提出することで、すでに確定申告を終えた前年の事業年度の法人税額のうち、その災害損失欠損金に対応する部分の金額の還付を受けることができます。

中間申告(仮決算)における災害損失金額に係る所得税額の還付

災害発生から6か月を経過する日までに終了する中間期間において生じた災害損失金額(災害により棚卸資産等について生じた損失の額で一定のもの)がある場合には、その中間期間に関する仮決算の中間申告において、その中間期間において課される所得税額で法人税額から控除しきれなかった金額について、その災害損失金額を限度に還付を受けることができます。

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まとめ

災害の損失額の計算については、細かな条件が設定されているものも多いため、注意が必要です。場合によっては損金に算入できたり、控除されたり、還付を受けられる場合がありますので、それぞれの状況に応じて条件を確認し、適切な手続きを踏むようにしましょう。

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