作成した契約書が法的効力を持たなかったり、文面に瑕疵があったりすると、企業に思わぬ損失をもたらしかねません。弁護士等のプロにリーガルチェックを依頼し、契約書の妥当性を確認しましょう。今回はリーガルチェックの種類とメリット、デメリットについて解説していきます。
目次
リーガルチェックについて
契約書を作成する際、インターネットで閲覧できる雛形を参照するなどして簡単に済ませることもできますが、この場合、必ずしも個別の取引内容に適した契約書を作成できるとは限りません。しかし、契約ごとに独力で契約書を1から書き上げて適切な書類を完成させるというのは煩雑な作業であり、かつ法律が変わる度に全ての改正に目を通し続けることも困難です。とはいえ、契約書の欠陥を見落としたり放置したりすれば、取引先や顧客とのトラブルが発生した場合に重大な問題を招きます。避けられたはずの様々なコストが生じるだけでなく、積み上げてきた信頼を瞬く間に失ってしまう可能性が高いでしょう。
こうした事態に陥ることを未然に避けるために、専門的な知識を備えたプロフェッショナルに契約書のチェック等を依頼し、違法性、不利な契約条件、曖昧な設定などを排除・修正してもらうことをリーガルチェックと呼びます。
契約書の種類
契約書と言っても様々ありますので、まずは想定される契約書について主なものを列挙します。契約書の種類によって求められる知識や形式も異なり、専門家によっては契約書の種類毎に費用を定めることもあります。
- 取引基本契約書
- 秘密保持契約書
- 業務委託契約書
- 売買契約書
- 代理店契約書
- 雇用契約書
- 顧問契約書
- フランチャイズ契約書
- システム開発契約書
- 工事請負契約書
- 賃貸借契約書
- プライバシーポリシー
リーガルチェックの種類
上記の様な契約書は、作成コストや精査に必要な時間がそれぞれ異なり、概ね費用相場はこの所要時間の長さにより変動します。また、リーガルチェックと言えばまずは出来上がった契約書のアドバイスを含むチェックを指しますが、大抵の事務所では作成等の代行業務も行っています。なお外国語の契約書の読み込みなど、高度なスキルを要するものは相場よりも高額となり、対応可能かどうかも事務所により異なります。
- 契約書のアドバイスを含むチェック
シンプルで典型的なものであれば3~5万円、複雑で個別的なものであれば10~20万円が相場です。これに追加で手数料などの諸経費が発生します。 - 契約書の作成
シンプルで典型的なものであれば5~10万円、個別的で複数なものであれば10~30万円が相場です。これに追加で手数料などの諸経費が発生します。 - 顧問契約
そもそも専門家を顧問として抱えている場合や、リーガルチェック専門の顧問プランを利用している場合は、追加料金もしくは無料で行ってもらえます。リーガルチェックを含む顧問契約であれば月額3~5万円は見積もることになります。
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リーガルチェックのメリット
合意した内容を明確にできる
リーガルチェックにより曖昧な表現を排除することで、契約内容の中で複数の解釈が可能である部分などをつまびらかにし、誤解や齟齬を避けることができます。更に、契約の当事者が互いに漠然と都合良く捉えていた部分も、リーガルチェックを経ることで明快な認識に落とし込めるため、双方が契約書に対する理解を深めることができます。
契約書の権威が高まる
リーガルチェックを通過した文書という正統性を与えることで、より契約書に力を持たせることができます。お互いが意識して契約書を遵守するようになることが見込め、契約そのものの有効性も増します。これは結果的に契約の速やかな履行に繋がるでしょう。
リスクを未然に防げる
リーガルチェックを経れば、契約自体の不備の補完に加え、その契約の招きやすい問題も想定することができ、自社に不利な状況とその対策が予測可能になります。そして解決方法を先んじて契約に盛り込んでおけば、いざという時にも迅速に対応できるようになります。
対等な契約を結べる
リーガルチェックによって、お互いの利益のバランスが取れた内容にすることで交渉を円満に進めることができたり、相手方が大企業で強く出られない場合でも不当な契約に異議を唱えられたりと、自社の利益を守るよすがにできます。特に相手方の提示する契約内容の精査によって、自社が不必要に搾取されていないか等をチェックできるでしょう。こうして、第3者からの公平な意見を取り入れることで、当事者には見えない調整を入れられる効果があります。
リーガルチェックのデメリット
費用がかさむ
リーガルチェックはアウトソーシングであるため、新たに支払いが発生することは避けられません。特に規模の小さい企業にとっては、数件の数万円の支払いであっても無視できない出費になり得ます。契約書の見積りだけでも費用が発生する場合があるため、安易に専門家に相談しにくいこともあげられます。
時間がかかる
リーガルチェックという1行程を挟むことになり、しかもアウトソーシングのかたちで他人とのやり取りが生じます。そのため時間的な余裕を見なければならず、場合によっては手間もかかります。また、急を要する契約などで万が一にでも契約書の完成が納期に間に合わないなどのことがあれば、新たなトラブルの原因になり得ることも事実です。
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まとめ
リーガルチェックを行うかどうかは、リスク回避にどれだけ費用を割けるかという問題と言えるでしょう。メリットとデメリットの双方を鑑みた上で、行うかどうかを決定することが重要となります。