通勤交通費の支給を規定する際の注意点とは?

カテゴリ:コラム 投稿日: 2018.4.19 tag: ,

通勤交通費は本来会社が支給すると義務付けられているものではありませんが、多くの企業が福利厚生の一環として手当を支給しています。本記事では新たに通勤交通費規定を定める際、あるいは既に定められた規定を改定する際にチェックするべき記載項目と注意点を解説します。

通勤交通費とは

定義

通勤交通費とは、パートやアルバイト等も含めた労働者が出勤に要する費用を、企業が通勤手当として支給するものです。後に詳しく述べる非課税上限額を超過しない限り、給与には含まれません(超過した場合超過分のみ給与換算となります)。ただし、交通費と記載される場合は、営業担当者等が就業中に移動するための費用なども含まれますが、通勤交通費の場合は純粋に通勤にかかる費用のみを指します。

法律上の規定

前述の通り、通勤交通費の支払い義務は企業にはありません。まったく支給しない企業、過不足なく個々人の通勤代を支給する企業、全員一律な金額を配分する企業、距離に応じて傾斜をかける企業など、通勤交通費の取り扱いには企業毎に差異があります。また、支給方法についての規則も、月1回支給、半年分毎をまとめて支給、代替として定期券を配布など、多様となっています。なお、費用の算出においては「合理的な運賃等の額」を用いる必要があります。これは費用、時間、距離等が最も経済的で合理的とされる普通の通勤方法を指します。従って、例えば新幹線での通勤の場合には特別急行料金は含まれますが、グリーン車料金は含まれません。

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押さえるべきポイント

税金

所得税や住民税などの税金を計算する際、通勤交通費については、一定の条件を満たしていれば非課税となります。この条件は、通勤の手段によって異なります。

  • 公共交通機関を利用する場合

月15万円以内であること。

  • マイカーや原動機付自転車などの交通具を使用する場合

実際の片道通勤距離が2キロメートル以上であること。この際、距離に対応して非課税となる1ヶ月あたりの限度額が下表の通りに規定されています。

片道通勤距離

非課税となる限度額

2キロメートル以上10キロメートル未満

4,200円

10キロメートル以上15キロメートル未満

7,100円

15キロメートル以上25キロメートル未満

12,900円

25キロメートル以上35キロメートル未満

18,700円

35キロメートル以上45キロメートル未満

24,400円

45キロメートル以上55キロメートル未満

28,000円

55キロメートル以上

31,600円

どちらの場合でも、限度額を超えたときは限度額までを非課税扱いとし、超過分が課税されます。なお、交通具と公共交通機関を併用する場合も限度額は15万円となっています。

社会保険等

税金の計算では一定の条件内であれば給与に換算されない通勤交通費ですが、社会保険料の算定基礎賃金には含まれます。つまり、通勤交通費の高低が保険料の額や、各保険の給付額にも影響することになります。他の種類の給与算定などでも含まれる場合と含まれない場合とがあり、その都度確認する必要があります。

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通勤交通費の規則を策定する際には

通勤交通費の注意点

通勤交通費の支給の有無や金額は、企業が定める規則や協定によって全面的に決定することができますが、それ故、規定が緩くなってしまいがちでもあります。典型的な見落としポイントとして、以下のものが挙げられます。

  • そもそも支給の有無を規定していない
  • 実費支給としているが曖昧な算定を許容している
  • マイカー出勤を許可するか決めていない
  • マイカー使用の場合、車種やガソリン費などをどの程度考慮するか定めていない
  • 最も経済的で合理的な経路を辿っているかが定かにできていない
  • 非課税となる上限額を考慮していない
  • 上の理由のために源泉徴収額等を誤っている
  • 自己申告制のために自転車通勤などの労働者でも不正受給が可能になってしまう
  • 経費との区別がついていない
  • 引っ越しをした労働者について通勤交通費の算定がそのままになっている

これらの注意点に気を払いつつ、きめ細かな規定を設けることが重要です。

規則を作成する、もしくは改定する

まずは企業の就業規定、社内ルール、労働契約、協定で通勤交通費に関する規則を定めましょう。主に定めるべき点は以下のようなものがあります。

  • 支給するか否か
  • マイカーの使用を制限するか否か
  • 認める場合はどのように許可するか
  • いくらまで支給するのか
  • 一律料金にするのか
  • 最短経路だが高くつく経路と迂回経路だが安くすむ経路がある場合はどちらを採用するのか

この時に、源泉徴収や社会保険料等についても詳細を理解しておくことが肝心になります。

労働者からの申請を確認する

支給しない場合や一律料金にする場合を除いて、労働者が申請した通勤経路が妥当なものであるかを確認して、無駄となる部分を削る必要があります。特に、自宅ではなく遠方の親戚宅から通っている様に見せかける、公共交通機関利用とみせかけて自家用車を使用するなど、悪質な場合は詐欺罪が適用されることもあります。チェック体制が緩くなると不正受給や予算圧迫の原因となるため、厳しく目を通すことが重要です。

労働者の解雇や異動などの特別な場合の対応

引っ越しであればいつからどれだけ変更する必要があるのか、解雇であるならどれだけの清算が生じるのか、マイカーを使用している労働者が事故を起こした場合どうするのか、などを予め決定しておくか、その場その場で対応する必要性が生じます。これらがあまりに煩雑であるようなら、規定そのものを見直すことも考えられます。

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まとめ

通勤交通費を支給するとなると様々な規定が必要になりますが、かといって全面的に支給を停止してしまうと労働者の反発を招きかねません。安易な予算削減を狙って労働者のモチベーションを下げることのないよう、慎重な判断を行うことが重要です。

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