源泉徴収票、支払調書―法定調書の範囲について解説

カテゴリ:コラム 投稿日: 2018.1.4 tag: ,

法定調書とは、所得税法などによって税務署への提出が義務付けられている書類を指します。その範囲には源泉徴収票や支払調書が含まれ、特定の金銭の流れがあった際に、適切に課税がなされているかの確認のために提出が必要とされます。今回はそんな法定調書について、各書類の違いと提出方法について解説します。

法定調書とは

まず法定調書とは、1年間の給料や報酬等の支払いについて、支払額、支払先等を記載し支払者が提出する書類です。所得税法や相続税法などに準拠して税務署への提出が求められ、提出期限は原則として当該の年の翌年の1月31日までとなっています。法定調書には全59種類があり、源泉徴収票、支払調書、合計書、調書、計算書、報告書に大別されますが、今回は主に源泉徴収票と支払調書について説明します。なお他のものにも簡単に触れておくと、合計書とは源泉徴収や支払調書を集計するもので、調書、計算書、報告書はそれぞれ特定の場合に必要となるものです。

では、源泉徴収票や支払調書についてより深く理解するために、まずは法定調書と共に用いられることの多い2つの基本的用語を確認しましょう。

確定申告

確定申告とは、所得者が所得税と復興特別所得税を納税するための手続きのことです。当該の年の1月1日から12月31日までにあった所得を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに必要な書類を整えた上で税務省に申告して納税します。また、予め前払いしていた税金に過不足がある場合は、返還の申請(還付申告)もしくは追加納税の必要が生じます。なおこの場合の所得とは、収入から経費を引いたものを指します。

税務署は、支払者からの法定調書と所得者からの確定申告を照合することで脱税等がないかを見定めます。このためしばしば所得者は、誤りがないように法定調書を確認してから確定申告を行います。

年末調整

確定申告の際、上記の通り納税額に過不足が生じる場合があります。例を挙げれば、会社員は毎月の給料から予め所得税は差し引かれていますが、人によってはその一部が控除されているために過払いの状態になっています。このようなケースはまとめて年末に精算することになり、これを指して年末調整と呼びます。また、年末調整を会社が行う場合は所得者が確定申告する必要はありません。

 

源泉徴収票とは

源泉徴収票は給与や退職金の支払いに係るもので、「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「公的年金等の源泉徴収票」の3種類で構成されます。支払者には支払いを受取る者に源泉徴収票を渡すことが義務付けられています。本稿は総務の方々を読者として想定していますので、以下では「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」を取り上げます。

まず「給与所得の源泉徴収票」は、特定の役職に就く同一人物に一定以上の給与を支払った場合に提出義務が発生するもので、年末調整をした場合としなかった場合では提出が義務付けられる条件が異なります。

年末調整をした場合

  • 法人の役員(顧問や相談役を含む)で、当該の年の給与等の支払額が150万円を超えるもの
  • 弁護士、司法書士、税理士等で、当該の年の給与等の支払額が250万円を超えるもの
  • 上記以外で、当該の年の給与等の支払額が500万円を超えるもの

年末調整をしなかった場合

  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者で、当該の年に退職した者や災害を被り給与所得に対する所得税と復興特別所得税の納税の猶予を受けた者の内、当該の年の給与等の支払額が250万円を超えるもの(ただし法人の役員などの場合は50万円を超えるもの)
  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者で、当該の年の給与等の支払額が2,000万円を超えるため年末調整しなかったもの
  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった者で、当該の年の給与等の支払額が50万円を超えるもの(ただし、給与所得の源泉徴収の税額表の月額表または日額表において乙欄か丙欄が適用される者)

次に「退職所得の源泉徴収票」は、退職者が死亡退職でない時に退職手当、一時恩給等の給与を支払った場合に作成の義務が生じます。この際、これとは別に「特別徴収票」を作成し双方を退職後1ヶ月以内に支払いの受取り者へ交付する必要があります。法人の役員等であった者の書類については税務署への提出が義務となり、更にその者の「特別徴収票」は退職後1ヶ月以内に退職者の所在する市町村への送付もしなければなりません。

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提出の期限と方法

源泉徴収票は、実際の支払日に拘わらず、当該の年の間に確定した支払いについてのものを翌年の1月31日までに提出します。ただし退職者がいた場合には、前言のようにその者の「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」を退職後1ヶ月以内に提出しなければなりません。

提出用の書類は、国税庁ウェブサイトより手書き用、電子入力用共にダウンロードできます。提出先は、支払事務を行う事務所等、もしくはその所在地の区間を管轄とする税務署長(国税庁ウェブサイトで公表されています)となります。郵送も可能で、原則として必要となる書類を1部ずつ提出します。特殊な場合として、法定証書の枚数が1,000枚を超える際は光ディスク等もしくはe-Taxでの提出が義務となります。なお提出に手数料はかかりません。

注意点として、支払額を記入する際に、給与等として払う元の金額と消費税を別々に記載するか記載しないかで徴収額が異なります。源泉徴収は原則として支払額に消費税を含んだ全額を対象とします。そのため元の給与等の金額と消費税が区別された状態で記載されている場合は、全額から消費税を引いた分のみが源泉徴収の対象となります。また、平成28年1月よりマイナンバーの記載が義務となったことにも留意してください。

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支払調書とは

次に支払調書について見ていきましょう。こちらは主に報酬や契約金の支払いを対象とし、源泉徴収の対象となる雇用契約の範囲外で行われた金銭の移動を扱います。多数の種類が存在し、代表的なものに「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「不動産の使用料の支払調書」等があります。なお源泉徴収票とは異なり、支払調書は支払いを受取る者への交付が義務とされていません。

最も主要な支払調書である「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を例にとって説明します。この支払調書は、特定の役職に就く同一人物に一定以上の金銭を支払った場合に提出が義務となり、その対象は以下のものです。

  • 外交官、集金人、電力量計の検針員、プロボクサー、バー、キャバレー等のホステスへの報酬で、当該の年の支払いの合計額が50万円を超えるもの
  • 馬主に支払われる競馬の賞金で当該の年の間で1度でも1回の支払賞金額が75万円を超えた場合、当該の年の間の全支払金額
  • プロ野球の選手等に支払う報酬、契約金で、当該の年の支払いの合計額が5万円を超えるもの
  • 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等で、当該の年の支払いの合計額が5万円を超えるもの
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬で、当該の年の支払いの合計額が50万円を超えるもの

提出の期限と方法

提出先や様式等は源泉徴収票と同様ですが、提出期限については種類毎に異なります。

源泉徴収票との違い

混同されやすい点として、上で述べたように源泉徴収票は支払いを受取る者へ交付する義務がある一方、支払調書にはその義務がありません。しかし、慣習的に受取り者への支払調書の送付は広く行われています。また源泉徴収票とは異なり、一部の支払調書においてはマイナンバーの記載が猶予される場合もあります。

 

まとめ

法定調書は種類が多く規定も煩雑なため、混乱を招きかねません。慎重な確認の上での必要書類の提出はもちろんのこと、期日前の膨大な事務処理へ向けた準備も重要です。

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