源泉徴収が必要な所得の範囲とは?―原稿料やデザイン料も、源泉徴収が必要です!

カテゴリ:コラム 投稿日: 2017.9.11 tag: , ,

企業が従業員に給与を支払う場合、所得税等の「源泉徴収」を行い、従業員に代わって国に納付しなければなりません。また、個人に原稿の執筆を依頼する場合や社会保険労務士に業務を依頼する場合など一定の報酬を支払う際にも源泉徴収が必要です。納税ミスを避けるためにも、源泉徴収が必要となる所得の範囲を把握しておくことが欠かせません。

今回は、源泉徴収の対象となる所得の範囲について解説します。

 

源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与や報酬等の所得の支払いを行う会社や個人が、その所得からあらかじめ所得税や復興特別所得税を差し引いて、所得者に代わって国に納付する制度のことをいいます。

日本では、納税者の申告によって税額を定める「申告納税制度」を採用していますが、所得税について、所得のある全ての人が自ら申告納税するのは非常に困難であることから、効果的かつ効率的な徴税方法として源泉徴収制度が設けられています。

所得税や復興特別所得税を所得者に代わって国に納税する義務のある会社や個人、団体などは「源泉徴収義務者」とされます。源泉徴収義務者は会社や個人に限らず、給与の支払いをする学校や官公庁、さらに社団や財団などの団体も含まれます。

ただし、以下のいずれかに該当する場合は源泉徴収をする必要はありません。

  • 常時2人以下の家事使用人(お手伝いさん)だけに給与や退職金を支払っている個人
  • 給与や退職金の支払いがなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている個人

 

源泉徴収が必要な所得の範囲

(1)給与所得

給与所得とは、俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、諸手当や現物給与も含みます。給与所得は基本的に源泉徴収の対象となりますが、以下のとおり、課税されない範囲もあるため注意が必要です。

特殊な給与の取扱い

  • 通勤手当

交通機関または有料道路を利用している人に支給する通勤手当や、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券は、合理的で経済的な交通機関の利用をしていることを条件に、1ヶ月あたり150,000円まで非課税となります。

また、自動車や自転車などを使用している人に支給する通勤手当は、通勤距離に応じて、1ヶ月あたり下表の金額までは課税されないことになっています。

 

通勤距離(片道)

非課税上限額

55km以上

31,600円

45km以上55km未満

28,000円

35km以上45km未満

24,400円

25km以上35km未満

18,700円

15km以上25km未満

12,900円

10km以上15km未満

7,100円

2km以上10km未満

4,200円

2km未満

全額課税

 

なお、自動車や自転車を利用した上で交通機関や有料道路を利用している場合は、交通手当の合計が1ヶ月あたり150,000円に達するまでは課税されません。

  • 旅費

職務のための旅行や転任に伴う転居のための旅行等において、その支出にあてるための支給金品は課税されません。

  • 宿日直料

本来の職務が宿日直である人の宿日直料を除き、1回につき4,000円までが課税されません。宿日直に食事が支給される場合には、4,000円から食事額を控除した分の残額が課税範囲外となります。

  • 交際費等

交際費や接待費として支給される金品は原則として給与所得に含まれ課税対象となりますが、使用者の業務のために使用したことが明らかな場合は課税されません。

  • 結婚祝金品等

雇用契約などに基づいて支給される結婚や出産等の祝金品は、金額が妥当であれば課税されません。

  • 葬祭料、香典、見舞金等

葬祭料、香典、災害等の見舞金は、金額が妥当であれば課税されません。

  • 労働基準法等の規定による各種補償金

労働基準法や船員法の規定により受ける療養の給付や休業補償などについては、課税されません。

  • 学資金等

給与所得者が使用者から受ける学資金のうち、通常の給与等に加算して給付されるものについては課税されません。ただし、法人である使用者からその法人の役員の学資に充てるために給付する学資金は、課税対象となります。

  • 現物給与の取扱い

食事や制服の支給、社宅の貸与等の現物給与と認められるものについては、原則非課税となります。ただし、各区分に応じて、特別な取り扱いとして源泉徴収の範囲となる場合もあるため注意が必要です。

 

(2)報酬・料金など

報酬や料金の支払いも源泉徴収の対象となりますが、源泉徴収が必要となる報酬や料金の範囲は、支払対象が個人か法人かによって異なります。

<① 支払いの対象が個人の場合>

支払いの対象が個人の場合、以下の報酬や料金の支払いの際に源泉徴収が必要となります。

  • 原稿や挿絵、作曲、デザイン、講演、翻訳、スポーツ等の指導などの報酬・料金
  • 弁護士、公認会計士、税理士、司法書士など特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロスポーツ選手やモデル、外交員などに支払う報酬・料金
  • 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするホステスなどに支払う報酬・料金
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 

<② 支払いの対象が法人の場合>

支払いの対象が法人の場合は、馬主である法人に支払う競馬の賞金のみ、源泉徴収の対象となります。

 

(3)退職手当等

退職手当等に関しても、源泉徴収を行うことが必要です。この退職手当等には、退職したことに基因して支払われるすべての給与を含めなければなりません。

 

報酬・料金の源泉徴収に関する注意点

報酬・料金の源泉徴収に関しては、特に下記の点について注意することが必要です。

 

源泉徴収の対象となる範囲

支払いの名目が謝金、取材費、調査費、車代などどのようなものであっても、実態が報酬や料金と同じであれば源泉徴収の対象となります。

例えば、原稿の作者へ送った金品が「謝礼」という名目であっても、その実態は原稿料であることから、源泉徴収を行わなければなりません。

 

個人と法人の判断基準

支払いを受ける者が団体である場合、団体として独立して存在していること又は法人税を納める義務があることを明らかにした場合のみ、法人として扱われます。

 

物品による支払い

源泉徴収の対象となる報酬や料金は、金銭に限りません。報酬や料金が物品によって支払われている場合にも、源泉徴収を行わなければなりません。

 

消費税や地方消費税の取扱い

源泉徴収を行う際には、支払う報酬や料金の額の中に消費税や地方消費税の額が含まれているかどうかを確認する必要があります。これらが含まれている場合、原則として消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となりますが、請求書等において報酬や料金の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬や料金の額のみを源泉徴収の対象とすることができます。

 

まとめ

源泉徴収の対象となる所得は給与のみでなく、個人に支払う報酬や退職手当など様々な所得が対象となります。納税ミスを避けるためにも、源泉徴収の対象となる所得の範囲を適切に把握し、適切な納税を行うことが大切だといえます。

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