決算書作成、徹底解説! 必要な書類、作成の時期は?

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公開日:2018.3.19

年度終わりは1事業年度の締めくくりであり、決算の時期です。その後の決算書の作成には、銀行など社外へ開示する損益計算書などの財務諸表以外にも、勘定科目明細書や法人税等の申告書など、多くの書類をまとめて作成する必要があります。今回は決算書作成の業務に必要となる書類の詳細や、時期の目安などを解説します。

決算書とは

決算書とは?

決算書とは、「財務諸表」や「計算書類」などの、会社の1年間の成果をまとめた資料の総称です。会社の1年間を1事業年度と言い、事業年度が終了する決算日の翌日から2ヶ月以内に法人税等の確定申告を行わなければならないため、どの会社もその期間は決算書の作成に追われることになります。事業年度を何月から始めるかは各企業が任意に設定できますが、税法改正の施行が4月1日であることが多いため、大多数の会社では3月決算となっています。

決算書作成の目的

決算書作成の目的は、大きく分けて3つあります。

  • 会社株主に対する成果報告
    株主総会などで経営者が株主に対して業績を報告する際、資料として決算書を用います。株主総会は事業年度の終了から3か月以内に開催することが義務付けられています。
  • 与信管理
    銀行による融資審査や、得意先の信用調査の際に使用されます。特に銀行による融資審査の際には決算報告書、法人税申告書、勘定科目内訳明細書が用いられることが多いです。
  • 税金申告
    会社は、事業年度が終わってから2ヶ月以内に法人税の確定申告を義務づけられています。その際、税務署に決算報告書、勘定科目内訳明細書、法人税申告書を提出します。

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必要な書類

決算書の作成には様々な書類を揃える必要があります。作成された決算書の書類の中には決算終了後一定期間保存が義務付けられているものもあるので、申告前に作成書類のコピーを行うようにしましょう。

  • 総勘定元帳
    「主要簿」と呼ばれることもあります。会社でのすべての取引、経理処理を科目ごとに詳細に記載した元帳です。すべての会社で作成が義務づけられており、国税庁からの税務調査時にも必ず確認されます。7年間の保管義務があります。
  • 領収書綴り
    会社の取引で、経費として支出したものに対する領収書を日付の順番通りに綴じたものです。総勘定元帳と同様、すべての会社で作成が義務づけられており、国税庁からの税務調査時にも必ず確認されます。7年間の保管義務があります。
  • 決算報告書
    法律上では有価証券報告書を提出する会社が作成するものを「財務諸表」、それ以外の会社が作成するものを「計算書類」と弁別されます。財務諸表には「貸借対照表」、「損益計算書」、「製造原価報告書(製造業のみ、損益計算書に添付)」、「キャッシュフロー計算書」、「株主資本等変動計算書」、「附属明細表」が含まれます。計算書類には「貸借対照表」、「損益計算書」、「株主資本等変動計算書」、「個別注記表」が含まれます。これらに加え、「事業報告」と「附属明細書(計算書類・事業報告)」が加わると「計算書類等」という扱いになります。
    これらの書類は法人税の申告や、銀行から融資を受ける際にも必要となる書類です。
  • 勘定科目明細書
    「科目明細書」と呼ばれることもあります。主要な勘定科目ごとの収支を詳細に記したものです。勘定科目の動きを詳細に記載するものなので、日ごろからの帳簿管理が重要になってきます。
  • 法人税申告書
    財務諸表をまとめた決算報告書と、収支の詳細が記載された勘定科目明細書、別表1から始まる各種法人税確定申告書をひとつにまとめたものです。各種の法人税確定申告書は、国税庁ウェブサイトからダウンロードすることが可能です。
  • 消費税申告書
    消費税や地方消費税の申告の際に必要となる書類です。申告書に記載する納税額の計算方法は決して難しくありませんが、計算の内訳を記載した付表と呼ばれる書類を添付する必要があります。
  • 法人事業概況説明書
    「事業概況書」と呼ばれることもあります。企業の事業内容や取引の状況、従業員数や経理状況などを記載する書類です。所定の書式に必要な情報を記入して、申告書と一緒に税務署へ提出する義務があります。
  • 税務代理権限証書
    申告書の提出や、問い合わせ対応、税務調査への立ち合いなどに関して税理士に代行を依頼したことを証明する書類です。税理士にしか作成することができません。
  • 地方税申告書
    法人事業税と法人住民税を申告するための書類で、各都道府県に提出します。営業所や店舗など、複数の地域で事業を営んでいる場合は分割して申告する必要があります。

 

書類作成時期

決算書作成は、それぞれの作業にかかる時間を考慮してスケジュールを立てる必要があります。時期別にやるべきことを考えていきましょう。以下は、3月決算の会社のスケジュールの一例になります。

4月

  • 通帳のコピーの作成
  • データ入力のための情報収集
  • 領収書綴りの作成

5月

  • 決算整理事項の確認
    決算整理仕訳を作成し、仕訳データを入力、残高試算表、総勘定元帳を作成します。
  • 決算書の作成
    損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、個別注記表、勘定科目内訳明細書を作成します。
  • 申告書の作成
    法人税申告書、地方税(事務税、都道府県民税、市町村民税)申告書を作成し、法人税、消費税を税務署に、地方税(事務税、都道府県民税)を都道府県税事務所に、地方税(市町村民税)を各市町村へそれぞれ申告します。

その後税金を納付します。決算書や申告書を決算報告書としてまとめ、保存し、保管義務のある書類を定められた期間保存することで決算書作成業務が完了します。

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まとめ

決算書は会社の1年間の成果を報告するものであるとともに、与信管理や税務上でも重要なものです。多くの書類をまとめないといけないため、必要な書類に不備がないか充分確認し、余裕をもって作成するようにしましょう。また、保存義務のある書類は定められた期間保存するようにしましょう。

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