安全衛生委員会の重要性を把握して、正しく機能させられていますか?

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公開日:2021.1.13

労働安全衛生法では一定の基準に該当する事業場に対して、安全委員会や衛生委員会、またはそれらを統合した安全衛生委員会を設置することを義務付けています。これらを設置する目的は労働災害防止や健康増進の取り組みを労使で一体となって行うことです。毎月1回以上の開催が義務付けられているため、必要なメンバー構成や審議内容についておさらいしましょう。今回は、安全衛生委員会と衛生委員会の意味、設置が必要な基準、必要なメンバー、審議の内容と設置の流れ、コロナ禍における対応について解説していきます。

安全衛生委員会とは

安全衛生委員会の重要性

かつて、労働者の健康や安全を守るための環境整備の多くは、企業側が舵をとって行っていました。そのため、企業から労働者への一方通行な方策になりがちで現場の状況に適応していない場合もあり、それが原因で労働者が健康被害や労働災害に遭ってしまう例もみられたのです。
そこで、国は労働者の健康や安全を守るためには企業と労働者双方の意見交換が必要と考え、1972年6月に労働安全衛生法を公布し、一定の基準に該当する企業に対して安全衛生委員会の設置を義務付けました。
このように、安全衛生委員会は、企業が行う健康や安全に関する環境整備に対し、労働者が現状を報告し改善を求め環境整備に反映させる場として重要な役割を果たしています。

安全衛生委員会の審議内容

安全衛生委員会の審議内容は、労働安全衛生規則によって次のように定められています。なお以下は抜粋ですので、詳細は厚生労働省ホームページをご参照ください。

  • 安全委員会の審議内容
    1. 安全に関する規定の作成に関すること
    2. 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること
    3. 安全に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
    4. 安全教育の実施計画の作成に関すること、他
  • 衛生委員会の審議内容
    1. 衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
    2. 衛生教育の実施計画の作成に関すること
    3. 定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること
    4. 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
    5. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること、他

具体的なテーマとしては、職場の危険箇所の確認と対策やヒヤリハット事例、労働災害の事例、長時間労働やセクハラ・パワハラの有無、ストレスチェックなどが挙げられます。

安全衛生委員会のルール

安全衛生委員会には大きくわけて以下の三つのルールがあります

  • 毎月1回以上委員会を開催すること
    なお、災害時や緊急時には臨時開催も求められます。
  • 委員会の内容を労働者に周知すること
    周知の方法には、目立つ場所に掲示する、書面にして労働者に配布する、デジタル化して閲覧できるようにするなどの方法がありますが、いずれも労働者にわかりやすく伝わるように工夫することが大切です
  • 議事録を作成し、3年以上保存すること

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安全衛生委員会設置の基準

委員会の設置基準は、安全委員会と衛生委員会で異なります。両方の基準に該当する企業は、それぞれの委員会をまとめて安全衛生委員会として開催することが認められています。

安全委員会の設置基準

  • 以下の業種において、常時使用している労働者が50人以上の企業は設置が必要です。
    林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業
  • 以下の業種において、常時使用している労働者が100人以上の企業は、設置が必要です。
    製造業のうち上記以外の業種、運送業のうち上記以外の業種、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

衛生委員会の設置基準

すべての業種において、常時使用している労働者が50人以上の場合は設置が必要です。

 

安全衛生委員会の構成員

安全衛生委員会の構成員は、企業が自由に選べるわけではなく労働安全衛生法により規定されています。具体的には以下のとおりです。

  • 安全委員会の構成員
    安全委員会の構成員は、「統括安全衛生管理者」が1名と、「安全管理者」、「安全に関する経験のある労働者」とされています。
  • 衛生委員会の構成員
    衛生委員会の構成員は、「統括安全衛生管理者」が1名と、「衛生管理者」、「産業医」、「衛生に関する経験のある労働者」とされています。

なお、それぞれの委員会で、議長にあたる「統括安全衛生管理者(1名)」以外の構成員は企業側と労働者側(労働組合がある場合は組合からの推薦者、ない場合は従業員の過半数の代表による推薦者)が半数ずつになるように選出しなければなりません。人数には定めがないため、企業の規模により自由に決められます。

 

安全衛生委員会設置の流れ

安全衛生委員会を設置する場合、次のような流れで行うと効率的です。

  • 委員を選出する
    労働安全衛生法に基づき、委員を選出します。
    「統括安全衛生管理者」は議長を務める役割があり、積極的に意見を促しまとめる力が必要です。また、職場で責任ある立場の方を選任することにより委員会で決まったことを実現する際にアクションを起こしやすくなるでしょう。
    「衛生管理者」は、衛生管理者免許を持った方を選任します。衛生に関する専門知識を有し職場の状況に詳しい方が望ましいでしょう。
    「安全管理者」は、厚生労働大臣の定める研修を受けた方である必要があります。
    「産業医」は、医療の専門家としての視点から職場環境や労働災害防止のアドバイスをします。
    「労働者」はそれぞれの経験から現場の実状を伝え意見できる方が望ましいでしょう。
  • 安全衛生委員会規定を作成する
    法律では特に定められていませんが、規定があると審議事項や委員の役割などが明確化し、委員会を円滑に進めることができます。
  • 年間計画を立てる
    安全衛生委員会を実施して確実に効果をあげるために、年間を通じての計画を立てます。時期に応じて対策の必要なものは何か、また健康診断などの法定事項も忘れずに計画に含めます。
  • 委員会を開催する
  • 実施状況を確認する
    委員会で話し合われたことについて、活動の状況や効果、改善点などを適宜振り返り、今後の活動に役立てます。

 

コロナ禍における対応

新型コロナ感染症の感染拡大にあたり、安全衛生委員会の実施について厚生労働省が2020年6月末までの対応としてホームページに記載していたのは、テレビ電話による会議形式にすることや開催を延期するなどの弾力的な運用を認める、というものでした。しかし現在は、法令に基づき毎月1回以上開催する必要があるため、三密を回避して充分な感染防止対策を講じたうえで開催するように、という記載となっています。
また、コロナ禍を議題としてとりあげ、積極的な調査審議に努めるよう求めています。新型コロナ感染症の感染拡大は従業員全員の健康に関わる重大事項であり、感染拡大防止対策について全員が高い意識を持つ必要があります。安全衛生委員会により対策を検討し周知徹底して、企業内での感染拡大を防ぎましょう。

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まとめ

この記事では、労働者安全衛生法に定められた安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会について解説しました。これまでも企業は労働者の健康や安全に配慮した環境整備に努めてきました。しかし、近年では社会構造の変化や技術の進歩により働き方にも大きな変化が訪れています。今一度労働者の労働環境について見直す時期がきているといえるでしょう。それには、安全衛生に対する正しい取り組みが大切です。安全衛生委員会を形骸化させないよう、計画的に取り組んでいきましょう。

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