試用期間中の社会保険加入は必要?加入義務の発生条件など徹底解説

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公開日:2018.3.2

多くの企業で設けられる試用期間中の労働契約は、通常の労働契約と比べ、広い範囲での解雇が認められるという点が異なるとされています。反対にそれ以外の点は通常の労働契約と同等であり、使用期間中であっても要件を満たしていれば、会社は従業員を社会保険に加入させる義務があります。今回はそんな試用期間中の社会保険の加入について、要件や違反した場合に起こりうる事態について解説します。

試用期間とは?

試用期間とは、採用後に実際の勤務を通して仕事への適性があるのかを判断し、本採用するかどうかを検討するための期間です。試用期間以後も採用されることが前提となっており、これが今回重要な点となります。なお期間としては、2~6ヶ月ほど設けることが多いようです。
試用期間での労働契約は基本的には通常の労働契約と同様となっています。異なるのは、通常よりも解雇の自由が大きく、客観的かつ合理的理由があれば幅広い範囲で解雇ができるという点のみになります。そのため、社会保険に関しては通常の労働契約と同様の措置を取らなければなりません。

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試用期間中の社会保険加入は必要?

試用期間中の労働者は、社会保険に関しては本採用されている労働者と同様の扱いとなるため、原則として社会保険に加入しなくてはいけません。しかしながら、例外として以下の2つの条件を満たす場合には、労働者は社会保険に加入する必要がありません。

  • 2ヶ月以内の有期契約である場合
    2ヶ月以内の契約期間を定めた雇用契約であり、その後契約延長の見込みがない場合は有期契約となり、労働者の社会保険加入は必要ありません。そのため一般的には、試用期間が2ヶ月以内の雇用であれば社会保険に加入する必要がないと言われています。
    しかし、試用期間というのは先ほども述べたように、試用期間以後も採用されることが前提となっている点から、有期契約とは見なせません。従って、試用期間が2ヶ月以内であっても社会保険に加入する必要があります。つまり、一般的な試用期間ではこの条件を満たさないことになります。 
  • 一般社員の労働時間・日数の4分の3未満しか労働していない場合
    1つめの「2ヶ月以内の有期契約である」という条件を満たさなくても、試用期間中に一般社員の労働時間・日数の4分の3未満しか労働していない労働者は、社会保険に加入する必要はありません。たとえば、正社員が週に40時間労働しているのに、試用期間中であるので週30時間未満の労働しかしていない場合は、社会保険に加入する必要がありません。

以上、社会保険加入の義務が免ぜられる条件を確認しました。時に企業側が社会保険を払わずにすむよう、試用期間の労働時間を正社員の4分の3未満にするということがあります。このような措置をとると、労働者側が不利益を被りかねませんので、労働契約の際に事前に企業と労働者の両者の間で合意形成を図る必要があります。

 

社会保険の加入に関して違反したらどうなる?

追徴金の支払い

年金事務所の調査によって、社会保険加入の義務があるのにも拘わらず加入していなかったことが明らかになった場合には、追徴金を支払わなくてはならず、罰則もあります。
追徴金に関しては、2年間さかのぼって徴収されることになります。毎月きちんと支払っていても追徴金として徴収されても結果的に支払う金額は変わりませんが、追徴金の場合、2年分をまとめて払うため、未加入者の人数によっては1回に莫大な額を支払うことになる場合もあり、企業経営の観点からも大きな痛手となりかねません。
罰則に関しては、健康保険法第208条によって、社会保険未加入の場合は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。

延滞金の支払い

さらに、加入していても社会保険料を支払っていなかった場合には、延滞金がかかります。支払い期間を過ぎても納付しない場合、督促状が届き、その督促状に記載された期日を過ぎても未納であると、過ぎた日数に応じて延滞金が課されることになります。
以上のように、社会保険未加入には追徴金と罰則が伴い、社会保険料の滞納には延滞金がかかるなど、社会保険関連での違反は、企業にとって大きなマイナスとなります。社会保険労務士の中には、試用期間は2ヶ月以内であれば社会保険に加入する必要がないなどの健康保険法の曲解を行い、試用期間中の労働者の社会保険未加入を助言する方もいるようです。社会保険未加入という違反を犯したときのマイナスを被らないためにも、ご自身で労働契約の内容を検討するようにしましょう。

 

まとめ

試用期間中の社会保険加入に関する情報をお届けしましたが、基本的に社会保険は加入するものだという認識でいることが重要です。あくまでその認識の下、個々のケースを例外的な2つの条件と照らし合わせてみるという方法で検討するようにすれば、社会保険に関する違反を避けることができ、企業にとって無駄な不利益はなくなるでしょう。企業と労働者が互いに気持ちのよい関係を作るためにも、改めて社会保険加入要件をおさらいしましょう。

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