BCMとは?BCMの実施手順や具体例、その効果について解説

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公開日:2023.11.17

BCM(Business Continuity Management)とは事業継続マネジメントのことで、大規模な災害や緊急事態が発生しても企業が事業を継続させるために行うマネジメントを指します。BCMの実施手順は、まず方針決定を行いリスクや被害を予測します。それをもとに対策を講じ計画を練り、緊急時に備え訓練を実施します。最後に見直しと改善を行うといった流れになります。年一回の避難訓練の実施や避難マニュアルの周知といったBCMを導入することによって、緊急事態が発生した場合に、適切な対応が可能になり事業や従業員へのダメージ軽減にもつながります。

    

BCMの導入が広がっている

BCMとは

BCMとはBusiness Continuity Managementを略した言葉で、事業継続マネジメントを指します。災害・事故・テロといった緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑えて事業を継続させることがBCMの目的です。企業にとって優先度の高い事業を抽出してリスクを分析し、被害拡大を防ぐための対策を事前に企業全体に浸透させる取り組みを行います。

BCPとの違い

BCPとはBusiness Continuity Planの頭文字を取った言葉で、事業継続計画を指します。BCPは事業を継続するための計画であり、BCMの一環として策定しなければなりません。具体的には大規模な自然災害や感染症といった脅威が発生した場合に、部門や業務ごとの対応方法を整理してBCPとしてまとめます。従業員や家族の安否確認方法、事業復旧の流れ、二次被害の防止対策などをBCPとして計画しておく必要があるのです。

BCMの具体例

BCMの取り組みの具体例を以下にまとめてみました。

  • 津波を想定した災害対応計画を策定する
  • 首都直下地震発生時の対応方法をまとめる
  • 感染症対策を徹底する
  • 復旧対応マニュアルを作成する

もし、BCMを行わずに事業がストップしてしまうと従業員だけでなく、お客さまや関連会社など多方面に影響が広がってしまう企業も少なくありません。そうした際にBCMの取り組みを実施しておくと、緊急事態に直面しても事業継続に向けてスムーズに行動できるのです。


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BCMの実施手順

基本方針を策定する

まずは、自社の事業戦略や経営戦略などを整理して、基本方針を策定しましょう。社会から自社がどういった役割を求められているかを分析することで、優先して取り組むべき項目が明確になります。例えば、以下のような項目を基本方針として策定できるはずです。

  • 人命優先
  • 重要な事業継続
  • 二次被害の防止
  • 地域の復興への貢献

優先して守るべき対象をはっきりさせて基本方針を決めましょう。

事業影響度とリスクの分析を行う

次に、緊急事態が発生した際の事業影響度とリスクの分析を行いましょう。具体的には以下に代表される項目について分析を進めます。

  • 被害規模
  • 影響がある業務
  • 従業員への影響
  • お客さまへの影響

地震・水害・感染症・サイバーテロなど、あらゆる事態を想定して、事前に影響を把握することが重要です。分析結果が明確になれば、優先して復旧を目指すべき業務や必要とされる対策を選定できます。

具体的な対策を構築する

続いて、想定されるリスクへの対策を検討します。いくつかの対策の例をみてみましょう。

  • スタッフの安否確認システムを導入する
  • 緊急時の経営資源を確保するために分散管理を行う
  • 電力・ガス・水道・通信などのライフラインのバックアップ設備を設置する

発生が予想される被害や事業への影響度合いから、具体的な対策を考えることが重要です。

計画を策定する

今までの検討項目を踏まえて、詳細な計画をBCPとして落とし込みましょう。BCPとしては以下のような計画が考えられます。

  • 緊急時の通信手段
  • 行政や自治体との協力体制
  • 備蓄品の供給方法
  • 従業員の訓練計画

緊急事態からの早期復旧を目的とした対策だけでなく、被害を最小限に抑えるための事前対策も含めた策定が重要です。

教育と訓練を実施する

計画を策定できたら、以下のような手段を用いて社内で教育と訓練を実施しましょう。

  • マニュアルの配布
  • 避難訓練
  • 研修

BCPはマニュアル化して、社内に周知する必要があります。同時に従業員へBCPの重要性を定期的に啓蒙し、訓練や事前対策を実施することが大切です。緊急事態を想定した行動や知識を修得できるように工夫してみましょう。

定期的な見直しを行う

BCMの策定後は定期的に内容の改善を行いましょう。一度、BCMを策定した後も、事業内容や企業の変化に応じて見直しを実施しなくてはなりません。また、人事異動や取引先の変更などによる修正も、適宜行う必要があります。ほかにも、BCM導入後から反省点を洗い出しておき、見直しに反映させる取り組みも有効です。

    

BCMを導入するメリット

緊急時の対応能力が向上する

BCMを策定していれば、緊急事態が発生しても冷静に対処できます。企業活動を進めていると、さまざまな不測の事態が起こる可能性をゼロにはできません。もし、新型コロナウイルスのような感染症が発生すれば、企業活動にも従業員の生活にも大きな影響が生じてしまいます。そうした際にBCMで緊急時の対応方法が整理されていれば、焦らずに落ち着いて行動できるようになるのです。

倒産リスクを軽減できる

BCMを導入していれば倒産リスクを軽減できます。災害などで事業を進められずに資金繰りが悪化している状態が続くと、企業によっては倒産に追い込まれてしまうケースも少なくありません。加えて、取引先や仕入れ先の企業の問題が自社にまで影響する場合もあります。そうした際にBCMによって代替案などを事前に用意しておければ、問題発生時に早急な対応が可能となり倒産リスクを抑えられるのです。

企業の信頼度がアップする

企業の信頼度の向上もBCMを導入するメリットとして挙げられます。昨今のビジネスでは自社単体で成立する事業はあまりありません。原料や部品の調達、製品の流通など、さまざまな企業が関わり合って機能しています。そこで、BCMの構築によって外的な脅威の影響に対抗して、事業継続を図れるという姿勢は取引先企業へのアピール材料にもつながるのです。

    

まとめ

BCMは企業活動を存続させていくために欠かせない取り組みです。感染症に自然災害など、発生の予測が難しく事業への影響が大きな出来事は色々と想定されます。業種によっては事業停止となれば今まで築いてきた信頼を失ってしまう可能性も軽視できません。そうした事態を避けるためにも経営者から現場の従業員までが一丸となって、BCMの策定や見直しを定期的に行うようにしましょう。

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