職場の受動喫煙防止対策は出来ていますか?社員の健康を守る対策を

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公開日:2016.9.14

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先日、国立がん研究センターが受動喫煙による肺がんリスク評価を「ほぼ確実」から「確実」に引き上げたことが話題となりました。研究結果によると、受動喫煙のある人は、ない人とくらべて肺がんになるリスクが約1.3倍になるといいます。

職場の受動喫煙防止対策の必要性は高まっており、令和2年4月からは、各企業が受動喫煙防止のために適切な措置を講じることが法律上の義務とされています。この機会に、職場の受動喫煙防止対策について、改めて見直しを図りましょう。

 

職場の受動喫煙防止対策をめぐる状況

受動喫煙とは、室内等において他人のたばこの煙を吸わされることをいいます。受動喫煙は肺がんや虚血性心疾患(急性心筋梗塞など)を引き起こすとされていますが、先般、受動喫煙による肺がんリスク評価が「ほぼ確実」から「確実」に引き上げられました。
受動喫煙防止対策に関する労働者の意識の高まりなどを受け、職場における受動喫煙防止対策の必要性は高まってきています。平成26年6月に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」では、受動喫煙防止のため各企業において実情に応じた適切な措置を講じることが努力義務とされ、この規定は平成27年6月から施行されています。

平成30年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、令和2年4月1日より全面施行されました。企業は従業員の望まない受動喫煙を防止するために、喫煙室を設置しない場合は屋内を原則禁煙、求人募集の掲出時には受動喫煙対策の明記などが求められるようになりました。

一方、職場の受動喫煙防止対策は、浸透しているとは言い切れないのが現状です。あるアンケート結果では、職場に喫煙所がないという回答が4分の1に上っています。受動喫煙による肺がんリスク評価が引き上げられたことも踏まえると、職場の受動喫煙防止対策は、今後の企業における喫緊の課題であるといえるでしょう。

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職場の受動喫煙防止対策の進め方

それでは、職場の受動喫煙防止対策は、どのように進めればよいのでしょうか? 対策を進めるにあたっては、次の3ステップで取り組んでいくことが大切です。また、取り組みを行う際は、各職場において組織的に実施することが欠かせません。経営者・管理者・労働者がそれぞれの役割を果たしつつ、協力して取り組むようにしましょう。

(1)現状把握と分析

まず、職場の受動喫煙の状況について情報を集め、必要な対策や実施にあたっての課題について検討しましょう。集める情報としては、職場の施設の状況や、労働者・顧客の喫煙状況等が挙げられます。

また、妊娠中の人や呼吸器・循環器疾患のある人、未成年の人は特に受動喫煙の影響を受けやすいため、そのような人がいる職場においては格別の配慮が必要です。特に配慮が必要な労働者の有無についてもしっかりと把握するようにしましょう。

さらに、職場の空気環境の測定も欠かせません。厚生労働省では、測定機器の無料貸出や専門技術者による実地での説明等、職場の空気環境測定について支援を行っています。必要に応じて、ぜひ活用してみるとよいでしょう。

 

(2)具体的な対策の決定

次に、上記の分析結果を踏まえて、具体的な対策を決定しましょう。対策については、①推進計画や教育など「ソフト面」の対策と、②施設設備など「ハード面」の対策があります。各職場において実施可能な対策を、効果的に組み合わせて行いましょう。

 

①ソフト面の対策

ソフト面の対策としては、受動喫煙防止対策に関する担当部署の決定や推進計画の策定、従業員に対する教育・啓発・指導、対策についての周知・掲示などが挙げられます。これらの対策は、組み合わせて実施すると特に効果的です。

 

②ハード面の対策

ハード面の対策としては、(ⅰ)屋外喫煙所の設置、(ⅱ)喫煙室の設置、(ⅲ)喫煙可能区域を設定した上で当該区域における適切な換気の実施、の3通りがあります。具体的な手法については厚生労働省のホームページに記載してありますので、参照してください(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000085280.html)。

また、厚生労働省では、企業による喫煙室の設置等に対して、その費用の一部の助成を行っています。こちらも必要に応じて、ぜひ活用するとよいでしょう。

 

(3)対策の実施・点検・評価

(2)で決定した対策を、適切に実施しましょう。職場の状況は時間とともに変化するので、必要に応じて対策の内容を見直すようにしてください。また、定期的に空気環境の測定を行い、適切な空気環境を維持するようにしましょう。

 

職場の受動喫煙防止対策の相談窓口

「労働安全衛生法の一部を改正する法律」では、国は受動喫煙の防止のための必要な援助に努めることとされています。先述のとおり、厚生労働省では喫煙室の設置等に対する助成や空気環境の測定に対する支援を行っています。

また、厚生労働省は、受動喫煙防止対策について専門家による電話相談を行うとともに、全国で職場の受動喫煙防止対策に関する説明会を開催したり、企業の研修に専門家を派遣して出前講座を行ったりするなど、職場の受動喫煙防止対策に関する様々な取組を行っています。これらの制度をぜひ活用するとよいでしょう。

 

 

まとめ

近年では、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」が注目されています。職場の受動喫煙防止対策は、今後ますます重要な課題となるでしょう。ぜひ総務が先頭にたって、取組を行うようにしましょう。

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