HRBPとは?HRBPと従来人事の違いやHRBPに求められるスキルについて

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公開日:2022.12.26

HRBPとはHuman Resource Business Partnerの略称で経営者や事業責任者のビジネスパートナーとして事業成長を人や組織の観点からサポートする戦略人事のことを指します。社会の変化が目まぐるしく、柔軟な対応の指揮を取れる人が求められている現在、戦略的に人事を行えるHRBPは需要が高いです。今回はHRBPの概要や役割、HRBPが求められている背景や求められるスキル、HRBPと従来人事の違いについて解説します。

HRBPの注目度が高まっている

HRBPとは

HRBPとは「Human Resource Business Partner」の略称で、従来人事とは異なる人事活動(戦略人事)を指します。経営者や事業責任者のパートナーという立場から、経営戦略や戦略人事の実現を目指す一連の人事活動の実施が主な職務です。そのためHRBPは人事という枠を超え、組織全体の経営や事業戦略の視点から能動的な人事活動を行う存在といえます。

従来人事との違い

HRBPと従来の人事業務は、スタンスに違いがあります。従来の人事業務は業務遂行のために既存人材や規則の維持管理といった、「守りの人事」という印象が強いといえます。人事部と経営陣には上下関係があり、対等の立場で採用方針や採用計画を検討することは稀で、経営陣の方針に従うことが前提でした。そのため具体的な業務は社員の離退職に応じて欠員の募集をしたり、社員の異動や労務管理などをしたりといった業務が中心でした。一方HRBPは戦略人事と呼ばれ、「攻めの人事」と表現できます。経営目標や経営計画に深く関わり、経営者目線で行われる非定型的な人事活動を推進します。採用計画や教育、研修制度といった人事全般の戦略を、経営陣の対等なビジネスパートナーとして立案する役割を担う存在です。

HRBPが求められる背景

変化の激しい現代では、今までのように安定や安全に配慮した保守的な人事では、企業の現状維持・成長が難しくなってきました。現に少子高齢化によって人手不足が起き、人材獲得競争は激化の一途をたどっています。企業にとって、人材獲得は競争力の源です。このような人材獲得が難しい現状にあるからこそ、人事は企業における経営戦略上の課題であり、経営戦略と人事戦略の両側面で捉えていくHRBPのようなポジションが求められています。

    

HRBPの4つの役割

変革のエージェント

人材戦略のもとで、組織における「変革」を推進していく役割です。経営層の代理人として、現場のメンバーと信頼構築をしながら変革を進めます。

戦略実現のパートナー

経営層のパートナーとして、組織・人材戦略の策定を行う人事のプロフェッショナルとしての役割です。ビジネスパートナーとして経営者や事業責任者とビジョンを共有した上で、どのような組織を作っていくべきか検討し、人事戦略を立案します。

管理のエキスパート

HRBPには従来の人事が果たしてきた労務管理の役割も持ち合わせています。労務管理では法務リスクを最小限に抑えながら業務の効率性を高められるような役回りが求められます。

メンバーのチャンピオン

経営層と社員をつなぐ、社員側の代表としての役割です。HRBPは経営者に近い立場であると同時に、従業員と経営層との橋渡し役も担っています。企業規模が大きかったり多角化が進んでいたりするほど、経営層と従業員とのコミュニケーションは難しくなりがちです。そこでHRBPが従業員と経営層どちらにも、それぞれの意見を聞きながら届ける橋渡し役としての役割を求められています。HRBPが社内での潤滑油になることで、従業員の不安解消やモチベーション向上、経営層への不信感解消につながります。

   

HRBPに求められるスキル

経営者としての視点

HRBPは戦略人事の担い手として、経営者や事業責任者に近いポジションで、現場の声を吸い上げながら事業成長を図ります。そのため経営者や事業責任者に言われるままではなく、対等なパートナーとして意見を交わすために経営者視点が必要です。具体的には経営者目線での自社分析や、業界知識のアップデートが日々求められます。

リーダーシップ

HRBPは経営層と現場をつなぐ役割をもち、信頼関係を築いて各層と円滑なコミュニケーションを取らなくてはなりません。また人事領域における経営層の代理人として、改革の実行者ともなります。時には経営層や現場から抵抗を受けそうな改革でも、社内を説得し必要性を伝えていく必要があります。

コミュニケーション能力

HRBPは経営層と現場の従業員、どちらの層ともスムーズな意思疎通を図る必要があります。時には新しい体制を作るために反発が多いといった困難な状況でも、相手の主張に耳を傾けつつ自分の主張を伝え、柔軟な提案を行う力が必要です。他にも現場の各従業員から本音を引き出し、聞き出した情報を責任者や人事にフィードバックする役目も担っています。こうした役目を果たすためには、日頃から従業員とのコミュニケーションを密に図り、率直に相談しやすい関係を築くことが重要です。

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まとめ

変化の激しい現代において、従来型の守り人事ではなく、人事業務の観点から戦略的に経営戦略に関与するHRBPが注目を浴びています。単なるバックオフィス部門のひとつではなく、事業や経営を人事面からリードするプロとしての人事部門は、少子高齢化による人材獲得競争が激化している状況下にある現代だからこそ、今後より重要性が増すと考えられます。人事部門、人事業務の新しい高付加価値なコア業務の形としてHRBPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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