360度評価とは?導入によるメリット・デメリットをご紹介

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公開日:2022.1.5

360度評価とは、従業員を評価するにあたって、複数の従業員の意見を参考に評価する制度です。一般的には、従業員の評価は、上司が社内基準に基づいて行うものというイメージがあります。しかし、360度評価では、同僚や後輩の視点における評価も加わるため、より公平に従業員を評価することが可能です。この記事では、360度評価の意味や目的、メリット・デメリット、運用ポイントについて解説していきます。

360度評価を導入しよう

360度評価とは

360度評価とは、多面評価とも呼ばれています。360度評価では、評価対象者の周囲にいる上司・部下・同僚・顧客など、さまざまな立場の人の意見を反映させて評価を行います。これまでは、上司などが自身の考えや社内の評価基準に基づいて従業員を評価するのが一般的でした。しかし、360度評価では、成果や能力だけではなく、多角的な視点から評価対象者を評価可能することが可能です。

360度評価の目的

まず、360度評価が行われる一番の目的は、公平な評価体制を実現することです。上司から部下への一方向のみの評価では、好き嫌いなどの感情に左右されたり、部下の努力している姿を見落としていたりするなど、正しい評価がされないケースがあります。また、周囲に良い影響を与えてくれる行動やポジティブな姿勢は、きちんと汲み取って評価したいものです。360度評価であれば、立場の異なる複数の人物の意見が取り入れられるため、公平性や客観性を担保できます。
次に挙げられる目的は、人材育成を効果的に行うことでしょう。360度評価では、自分の仕事振りが、上司や同僚、部下などにどのように映っているかが反映されます。そのため、職場に求められる能力や行動を理解し、自分の業務を見直すきっかけにもつながるのです。また、従業員の特性やモチベーションなどが洗い出されるため、企業側にとっても、現場における効果的な指導方法を導き出す助けとなるでしょう。

360度評価が注目される背景

360度評価は、まだ一般的とはいえませんが、多くの企業で導入が進んでいるようです。360度とはいえなくても、多角的な視点をもって従業員を評価する傾向は多くの企業でみられます。その背景には、年功序列型の企業形態が廃れつつある、現在の職場環境の変化が挙げられます。成果主義の普及や、中途入社層の増加により、勤続年数をベースにした評価が困難になってきているのです。
さらに、テレワークやオフィスのフリーアドレス化など、ここ数年で、働き方は大きく変化しました。従業員が働く様子が見えづらいなかでも、適正な評価を行っていこうという取り組みが、360度評価なのです。

  

360度評価のメリット・デメリット

メリット

360度評価のメリットは、客観的な評価が行える点です。上司など特定の人物だけからの評価ではなく、複数の関係者による評価が反映されるため、結果は公平です。評価対象である従業員にとっても、納得できるものでしょう。上司一人だけに「こうしなさい」と言われる場合に比べると、主体的に改善点に向き合える人は多いはずです。さらに、自分の特性を客観視でき、今まで気付かなかった自分の評価ポイントがわかるなど、さまざまなメリットが考えられます。

デメリット

まず、相手からの評価を意識し過ぎた行動が生じる恐れがあります。例えば、良い評価を求め部下を厳しく教育しなくなったり、同僚のミスを注意できなくなったりと、周囲に忖度した行動を取る人が出てくるかもしれません。次に、360度評価の導入から運用までには、それなりの手間がかかることが挙げられます。評価者の選定や依頼、集計など最終的な評価に至るまでに多くの工数を必要とするでしょう。そのため、運用ルールの徹底やシステムの活用など、デメリットを解消するための対策を検討しましょう。

  

360度評価を運用する際のポイント

すべての人を対象にする

360度評価の対象は、なるべくすべての従業員にしましょう。一部の従業員だけを評価対象として設定してしまうと、360度評価の公平性が保たれません。一般の従業員以外にも、管理職や役員などすべての人を対象にすることがポイントです。このようにすることで、管理職にとっても、公平かつ誠実なマネジメントをする意識が強まるはずです。何か特別な理由がない限りは対象をすべての従業員として、客観性と公平性に配慮しながら360度評価を行いましょう。

評価基準とルールを明確化する

360度評価の評価基準や運用ルールを明確にしましょう。評価基準が不明瞭な場合、評価者の主観が反映されやすくなり、適切な評価が行えません。不正行為の発生や評価者によるバラつきを防止するために、評価基準や運用ルールを設定しましょう。評価に関わる項目だけでなく、実施後のフィードバックの方法や360度評価を実施するスケジュールまで、すべての従業員に納得感のある運用ルールを定めることが大切です。

フィードバックを実施する

360度評価は、フィードバックを行うことが大切です。評価対象者へのフィードバックが不足していると、上司や周囲の仲間に対して不信感を抱く原因になりかねません。適切なフィードバックを実施することで、自己認知と他者認知の差異などを知り、自身への理解や今後の改善につなげられるでしょう。また、360度評価は、評価される側だけでなく、評価した人のことを知る機会にもなります。なぜこの人を良いと思うのか、悪いと思うのかという理由から、職場の抱える課題が見えてくるかもしれません。評価した人に対しても丁寧なフォローをしましょう。360度評価を行ったあとは、研修などで内省の機会を用意したり、今後の取り組みや意見を共有したりする工夫も大切です。

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まとめ

仕事をするうえでは、自分の能力を適正に評価して欲しいと思う人が大部分でしょう。しかし、上司との人間関係や、やり方の違いによって、本来であれば素晴らしい能力を持っているはずの人が、適正に評価されない現状があります。
また、企業運営を円滑に進めるためには、業務上の目標達成以外にも、円滑な人間関係の構築や、後輩の教育、ちょっとした気遣いなど、大切なポイントは少なくありません。360度評価は、職場に必要なすべての要素を評価対象として、その人の良さを余すことなく汲み取る評価方法といえます。運用ルールを整備して、誰もが納得できる360度評価で組織を活性化しましょう。

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