税務署の処分への不服申立手続、どのような場合に利用できる?

カテゴリ:コラム 投稿日: 2018.6.5 tag: ,

税務署長等が行った処理に不服がある場合は、再調査の請求など、不服申立の手続きをすることができます。不服申立が通れば処分取り消し、変更が行われる可能性もありますが、一部のケースでは不服申立をすることができないため注意が必要です。今回はこの不服申立手続について、具体的な手続きや利用できる場合について解説します。

不服申立手続とは

不服申立手続は、行政不服審査法国税通則法により規定される、国により執り行われた国税に関する処理に異議や不満等がある場合に処分の見直しや裁決の撤回を求めることのできる申立手続です。この国税に関する処理は、管轄を基準にした場合、大まかに次の3種類に分別できます。

  • 税務署長、国税局長、税関長が行った処分
  • 登録免許税について登記官が行った処分
  • 自動車重量税について国土交通大臣が行った処分

これらのそれぞれにおいて、条件によって不服申立を行うことができます。この際の条件とは、不服申立のできる対象であるか、適切な手続方法に沿っているか、適用される期間内であるか等のことです。

不服申立のできる対象

税務署長等が行う処分には、不服申立の対象とならないものが存在します。不服申立は自己の利益が侵害されている時に行うものですので、納税額の減額処分などに対して不服を申し立てることはできません。その他、国税に関する法律が存在しない関税などについての処分や、国税通則法第76条に規定する処分も不服申立の対象とはなり得ません。

これらの例外を除いて、不服申立の対象となり得る税務署長等による処分には、主なものとして以下の項目が挙げられます。

  • 課税標準などや税額などに関する更正または決定
  • 加算税の賦課決定
  • 更正の請求に対するその一部を認める内容の更正または更正をすべき理由がないという内容の通知
  • 納税の告知
  • 国税の滞納処分
  • 耐用年数の短縮申請を拒否する行為など税法上の各種の申請を拒否する行為

これらに先述した2項の、登録免許税法の規定による登記機関(登記官)が行う登録免許税額などの認定処分と、自動車重量税法の規定により国土交通大臣などが行う自動車重量税額の認定処分を加えたものが、不服申立の可能な対象となります。

不服申立手続の基本的な流れ

不服申立を行う際には、再調査の請求か審査請求のどちらかの手続きを任意で選択することができます。再調査の請求を行った場合でも条件次第では、更に審査請求を続けて行うことも可能となっていますが、逆の順序ではできません。いずれの場合にしても、審査請求に対して通達された裁決になおも納得ができないときは、裁判所に訴えることになります。

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再調査の請求

再調査の請求とは、税務署長等に対して直接処分の見直しを求める手続です。

概要

請求を行う場合は、処分を行った税務署長等に対して、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に必要書類を提出します。なお、互いに関連する処分または同一の処分に関して再調査の請求と審査請求が併存する場合、状況により再調査の請求が「みなす審査請求」として審査請求に切り替えられることがあります。

必要になる書類

再調査の請求書を、原則として正本と副本の計2通提出します。

再調査の請求を行った後の流れ

再調査の請求について何らかの決定が成された場合、不服が解消されていればその時点で申立等は終了します。もし決定の後も不服が残り、続けて審査請求をする場合は、その決定があったことを知った日の翌日から1か月以内に請求する必要があります。また、再調査の請求をした日(もしくは再調査の請求書の不備を補正した日)の翌日から3か月が経過してもその請求について何も決定が成されていない場合には、決定を待たずに新たに審査請求をすることができます。

 

審査請求

前述の通り、不服申立をする際、再調査の請求を行うかどうかにかかわらず、審査請求を行うことができます。こちらの請求は国税不服審判所に対して行います。

概要

審査請求を行う場合は、当該の処分を担当していた処分庁等を管轄する国税不服審判所支部(支所)長に必要書類を提出します。なお、この国税不服審判所は地方毎に配置され複数の県にまたがっているため、詳細の分布については国税不服審判所のウェブサイトを確認してください。

審査請求が認められる期間は、再調査の請求を行わなかった場合であれば、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。再調査の請求をしたにもかかわらず請求後3か月にわたり決定が成されなかった場合は、それ以後決定が下るまでの期間は随時審査請求を行うことができ、再調査の請求に関する決定が通達された場合は、決定の送達の翌日から1か月以内となっています。注意点として、再調査の請求への決定が3か月以上にわたり成されないために審査請求に踏み切った場合、再調査請求は取り下げられたものと見なされます。また、上記の再調査の請求の説明でも述べたように、「みなす審査請求」が発生する場合があります。

必要になる書類

審査請求書を、原則として正本と副本の計2通提出します。

審査請求を行った後の流れ

再審査請求に対して何らかの裁決が成された場合、不服が解消されていればその時点で申立等は終了します。もし裁決の後も不服が残る場合は、裁決があったことを知った日の翌日から6か月以内であれば裁判所に訴えることができます。また、審査請求がされた日の翌日から3か月が経過しても裁決が成されないときは、裁決を待たずに訴訟を起こすことができます。この際、再調査の請求と審査請求の関係とは異なり、裁判所への訴訟と並行して引き続き審査請求に対して国税不服審判所長の裁決を求めることも可能です。

 

まとめ

不服申立については、再調査の請求と審査請求の2通りがあり、踏むべき手順が煩雑であるなど少々わかりにくい点もありますが、請求者側に比較的配慮された制度とも言えます。国税について手違い等あった場合に備え、手続きの概要を押さえておくことが重要です。

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