コンピテンシーとは?コンピテンシーの活用例について解説

カテゴリ:
公開日:2024.5.10

コンピテンシーとは、高い業績を発揮する人物に共通して見られる行動特性のことを指します。コンピテンシーは様々な場面に活用できます。まず、コンピテンシーを採用面接で活用することによって自社が必要としている能力を持つ人物なのか、入社後に活躍できる人物なのかを見極めることができます。また、人材育成においてもコンピテンシーを活用することによって、企業にとって優れた人物に成長させることが可能になります。

    

コンピテンシーの基礎知識

コンピテンシーとは

コンピテンシーの定義は、研究者やコンサルタントが各自の文脈に合わせて独自に位置づけているのが現状です。比較的新しい観念のため、明確な定義はありません。たとえば、「特定の職務において優秀な成果を発揮する個人の潜在的特性」「特定の職務や状況下において成果に結びつけられる個人の行動様式や特性」などと定義されています。ビジネスにおいては、「優秀な人物に共通して見られる思考パターンや行動特性」といった意味で用いられる傾向にあります。コンピテンシーを活用することで評価基準が明確になり、人事評価や人材育成、採用活動をより効果的なものにできるでしょう。

コンピテンシーが生まれた背景

コンピテンシーは1970年代にアメリカで生まれた概念です。コンピテンシーが注目されるようになった背景には「能力間の変化」と「経済のグローバル化に伴う人事管理制度の変化」があります。移民国家であるアメリカは、人種差別の問題を克服するために客観的かつ公平な能力評価手法の確立が求められていました。当時のアメリカでは知能検査で能力を測定することが一般的でした。しかし、1970年代に入ると、従来の知能検査は職務上の業績との関連性が低いだけでなく、人種や性別、出身階層による差別になることが明らかになったのです。その結果、知的能力ではなく人間の多種多様な資質を考慮する新しい能力概念であるコンピテンシーが注目されるようになりました。

同時に、アメリカでは、職務記述書に基づき採用・訓練・休憩体系のシステムを整備する、職務を基準とした人事・賃金管理制度も定着していました。しかし、1970年代に従業員が職務記述書に記載された仕事以外に対応できないことが判明します。そこで職務の拡大と柔軟化が進められ、賃金決定要素が「職務」から「人の能力」へと移行しました。コンピテンシーはパラダイムシフトの延長線上で生まれた概念と言えるでしょう。

コンピテンシーの必要性

VUCA時代に突入し、既存の常識やビジネスモデルが通用しなくなりつつあります。人材不足や残業規制といった課題に対応するためにも、企業は今まで以上に生産性を高めなければなりません。コンピテンシーを可視化することで、優秀な人材を採用しやすくなったり、既存社員に足りない要素を育成したりすることが可能です。優秀な人材の採用・育成のためにはまずはその傾向や特徴を知る必要があるため、コンピテンシーの可視化が不可欠であると考えられます。また、一度定義したコンピテンシーを定期的に見直すことで、変化が激しい時代に柔軟に対応し、優秀な人材を確保できるようになるでしょう。

関連記事:
内定者フォローによって採用活動を成功させよう!内定者フォローの目的やポイントを解説します
アルムナイ採用とは?導入することで得られるメリット・デメリットについて
中途採用等支援助成金とは?仕組みや支給要件を正しく理解しましょう   

    

コンピテンシーモデルの種類

コンピテンシーモデルとは

特定の職務や状況において、高い業績を出せる個人の行動・思考特性を調べて体系的にまとめてモデル化したものです。具体的には、行動・思考特性や知識、技術、能力などが挙げられます。教育・訓練の目標や、評価・育成・選考の基準となる「理想の人物像」として活用するものです。実際に活用する際は、設定した複数のコンピテンシーモデルの中から目的に適したものを選んで使用します。

実在型

自社で高い成果を出している従業員の行動・思考特性からコンピテンシーを抽出します。優秀な人材には共通する特性が見られると言われています。実在する人物からコンピテンシーを抽出するため、現実的かつ具体的な目標に設定できる点が特長です。他の従業員からの共感や納得も得られやすいでしょう。

理想型

自社の経営理念や経営戦略に即した望ましい行動・思考特性を持つ人物像を設定するモデルです。自社の特色を反映できる点が特長となります。ただし、理想を追求しすぎて現実的ではない場合、既存の従業員から共感を得られなかったり、採用活動が難航したりする可能性があるため注意が必要です。創業したての企業や新しい事業を展開する企業に適したモデルとなります。

ハイブリッド型

名称のとおり、実在型と理想型を組み合わせたモデルです。自社内で高い成果を出す従業員の行動・思考特性を整理するとともに、理想の人材に求める要素を加えて落とし込んでいきます。現実に即しながら自社にとってより理想的な要素を取り入れられる点がハイブリッド型モデルの特長です。   

    

コンピテンシーの活用例

人事評価

人事評価にコンピテンシーを活用することで、客観的かつ公平な評価が可能になります。評価基準があいまいな場合、上司による主観的な評価になりがちです。成果創出に必要な行動・思考特性に基づいた評価基準であれば目指すべき目標や身に付けるべきスキルが明確になり、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。納得のいく人事評価によって従業員の満足度が高まれば、生産性の向上や離職率の低下が期待できます。

人材育成

コンピテンシーは人材育成にも活用できます。自社で分析した優秀な人材が持つ行動・思考特性を習得できる研修を実施することで、より効果的な人材育成が可能です。高い成果を出すために必要な思考法や行動パターンを的確に指し示すことで、育成効率を高められます。社会変化が激しく予測が困難な時代に対応するためにも、定期的にコンピテンシーを見直して人材育成に反映させることが重要です。

採用活動

採用選考時に、能力の指標としてコンピテンシーを用いて、採用したい人材像をコンピテンシーモデルとして明確化しておくと、自社が求める人材を採用しやすくなります。面接担当者の印象や経験による判断の裏付けとなるため、入社後のミスマッチ対策にもなるでしょう。コンピテンシーを適性テストで測定し、その結果を面接時の質問内容を考えるための手がかりとして活用する方法も有効です。

    

まとめ

今回は、コンピテンシーの概要や活用例について解説しました。高い成果を出す優秀な人物の思考・行動特性を分析し、言語化することで自社が求める人物像が明確になります。コンピテンシーを基に評価基準を設定すれば、人材評価や人材育成、採用活動などあらゆるシーンでの活用が可能です。この機会に、コンピテンシーモデルを整理してみてはいかがでしょうか。

こちらも読まれています:

この記事が気に入ったら いいね!しよう
somu-lierから最新の情報をお届けします

この記事に関連する記事