バーンアウトとは?バーンアウトが発生する原因と予防策について解説

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公開日:2024.5.16

バーンアウトとは、それまで熱心に仕事を行っていた人が、火が燃え尽きるかのように急に労働意欲をなくし、無気力な状態になってしまうことを指します。過剰な仕事量や人間関係によるストレスによって、身体的、精神的な疲労感を引き起こし、バーンアウトが生じます。適度な運動や休暇といったセルフケアだけでなく、適切なコミュニケーションを図り職場全体で協力しながらバーンアウトを予防する必要があります。

    

バーンアウトとは

バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、それまで熱心に仕事に取り組んでいた人が、燃え尽きるように活力を失ったときに現れる心身の疲労症状のことです。人と距離をとったり、達成感が低下したりすることもあります。うつ病との違いは、正式な診断名ではない点です。また、うつ病はさまざまなストレスが原因となり長期的に落ち込みが続きます。一方、バーンアウトは仕事のストレスが原因であることがほとんどで、一度落ち込んだ後は右肩上がりで回復しやすい傾向にあるのです。

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バーンアウトの3つの症状

情緒的消耗感

情緒的に仕事へ尽くした結果、やる気と熱意が低下し疲れ果ててしまった状態のことです。英語では「emotional exhaustion」と表記し、仕事において無理に感情を抑えたことで生じる消耗感を指します。「情緒的」と限定されているのは、この消耗感の要因が「情緒的な資源の枯渇」と考えられているためです。これまで楽しい・やりがいがあると感じていた仕事が、突然つまらなく感じてやる気を失う症状が見られます。特にクライアントとの信頼関係を築くには多大な情緒的エネルギーが必要となります。責任感が強い人ほど、日々クライアントと感情のやりとりを繰り返していく中で疲弊し、消耗していってしまうのです。

脱人格化

周囲の人に対して無情で非人間的な態度をとることです。情緒的消耗感に陥ったあとに見られる症状となります。仕事や家庭で人と距離を置き、思いやりのない言動をするようになります。脱人格化は、これ以上情緒的エネルギーを消耗しないための防衛本能が働いて現れる行動傾向であることを理解しましょう。感情を抑え込んでいる状態が続いたことによって、他人だけでなく自分に対しても機械的な対応になるのです。

個人的達成感の低下

情緒的消耗感や脱人格は仕事の質そのものに影響を与えます。それまで高いレベルで業務を遂行し続けてきただけに、前後の落差は大きく、自分自身が最もショックを受けることになるのです。個人的達成感とは「職務にかかわる有能感・達成感」を指します。成果の急激な落ち込みと、それに伴う有能感・達成感の低下によって、離職や強い自己否定などの行動につながるケースも少なくありません。

   

バーンアウトが発生する原因

個人要因

過度な責任感や完璧主義、自己肯定感の低さ、ストレス対処法の不足などが主な個人要因です。性格特性以外の個人要因として、年齢とバーンアウトとの関連を報告している研究が数多く存在します。年齢が高く、勤続年数の長い人ほどバーンアウトしにくいという結果が報告されているのです。ある研究では、未経験な人ほど、達成そのものや職務、組織への期待が高いことを指摘しています。高い理想は動機付けを高めますが、現実とかけ離れている場合バーンアウトの原因になり得るのです。年齢を重ね、経験を積むことで、現実に基づく期待水準を設定できるようになる傾向にあります。また、経験を積むことでストレスへの対処行動を身に付け、バーンアウトへの耐性が高まるとされています。

環境要因

過重負担や職務ストレスなどが主な環境要因です。過剰負担は、長時間勤務や厳しいノルマ、身体的負担を伴う作業に加えて、勤務時間や作業量、作業の質的な負担も含みます。この過剰負担が、上位者の決定を伝達されるだけの強制的な仕事の場合は特に事態が深刻です。仕事の進め方に裁量の余地がなく負担ばかり重い職場では、バーンアウトだけでなく他のストレス性疾患を発症するリスクが高まります。また、自身の仕事に対して適正に評価してもらえない場合や、上司や同僚とのコミュニケーションが円滑に行われない場合、不満を抱えてストレスを感じやすくなります。ストレスが長期的に続くと、心身ともに疲弊し、アウトバーンを引き起こす要因となるのです。

   

企業が講じるバーンアウトの予防策

労働時間や業務量を見直す

環境要因のひとつである過重負担がないか確認しましょう。残業が常態化していたり、特定の人の負担が大きかったりする場合は労働時間や業務量を見直さなければなりません。労働時間を見直す場合は、業務を外部委託する、新しい人材を雇用する、システムを導入する、といった業務量を削減する工夫が必要です。従業員が適切なワークライフバランスを保てるように、勤怠実績やノルマを定期的に見直すようにしましょう。

職場の心理的安全性を高める

バーンアウトの予防には、職場の心理的安全性を高めることが重要です。心理的安全性が低いと、常に緊張感の高い状態で働くことになり、従業員が疲弊しやすくなります。個人を尊重し、思いやりと共感のある職場の環境づくりを心がけましょう。日頃から相談しやすい環境にしておくことで、オーバーワークのときに周囲に助けを求められ、バーンアウトを防げます。企業や組織をリードする管理職に対して、部下とのコミュニケーションの取り方や適切な指導方法、メンタルヘルスに関する知識といった研修を実施することも効果的です。

定期的に1on1ミーティングを実施する

1on1ミーティングとは、対話を通じて上司と部下が信頼関係を築き、相互理解を深めながら部下の成長や日常的な困りごとを支援するミーティングです。人事評価面談とは異なり、比較的フランクな雰囲気の中、部下が主に自分のことについて話し、上司は傾聴します。具体的な内容は、直近の業務状況やプライベートの様子、体調面などです。1on1ミーティングで定期的に部下の様子を確認し、本人から業務に関する不満や不安を聞いていれば、バーンアウトの予兆を察知できるでしょう。

   

まとめ

今回は、バーンアウトの概要や発生する原因、予防策について解説しました。優秀な人材がバーンアウトに陥ると大きな損失になるだけでなく、重大なストレス性疾患を併発するおそれもあります。バーンアウトの症状には3段階あり、最初に見られる症状である「情緒的消耗感」が現れた際は、早急に個人要因や環境要因を取り除くことが重要です。バーンアウトを予防するためにも、労働時間や業務量の見直し、職場の心理的安全性の確保、定期的な1on1ミーティングの実施など、日常的に複数の予防策を講じるようにしましょう。

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