絶対に気をつけたい、コンプライアンス違反の事例をご紹介

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公開日:2020.3.6
コンプライアンス違反事例_イメージ

2018年度において、コンプライアンス違反が原因の倒産は233件となっており、コンプライアンス違反は企業にとって重要な課題です。コンプライアンス違反は社会的な信用の低下をもたらし、企業経営に大きな打撃を与えかねません。企業はコンプライアンスの徹底遵守を内部で統制する必要があるでしょう。今回は、コンプライアンスの意味と最近起きたコンプライアンス違反の事例を種類別にご紹介し、コンプライアンス違反への対策方法をご説明します。

コンプライアンスとは

企業において「コンプライアンス」は、基本的に「法令遵守」を意味します。したがって「コンプライアンス違反」は「法令違反」という意味になります。しかし、近年ではコンプライアンス違反に法令だけでなく社内ルール違反や倫理、企業モラルに反した行為が含まれるようになっています。
このように定義が広いコンプライアンス違反の事例は多数ありますが、多くは「不正会計」「労働問題」「個人情報流出」「食品問題」のいずれかの分類に当てはまります。以下でそれぞれについて事例をもとに解説します。

不正会計

バブル崩壊やリーマンショックなどによる景気悪化に伴って増えたのが、不正会計です。不況のためにそれまでの業績を維持できなくなり、損失隠しなどの会計上の不正行為によって黒字計上し、企業価値を保とうとしたというケースが近年数多く発覚しています。
代表的な事例として、M&Aでの損失隠しで586億円という巨額の賠償金支払いが命じられたオリンパスや、組織的な粉飾決算が明らかになり業績縮小を余儀なくされた東芝の事例が挙げられます。
重要なのは、企業価値を保とうとして不正会計を行っても、不正が明らかになれば結局は企業価値を下げてしまうということです。

労働問題

「ブラック企業」が2013年に流行語大賞となったことは、昨今の労働問題に対する世間の関心の高さを表しています。労働基準法違反の長時間労働や、職場でのハラスメント、不当な解雇などが問題となってイメージを落とした企業は数多くあります。
代表的な事例として挙げられるのは、電通での女性新入社員自殺問題です。社員が過労により自殺を図ったことがクローズアップされ、問題となりました。
長時間労働などの労働問題は、今や就活生だけでなく社会全体からの企業に対するイメージに直結します。業績向上のために従業員に長時間労働を強いた結果、業績を落とすことにも繋がりかねません。

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個人情報流出

個人情報の保護も、近年は特に重要視されている分野です。顧客などの個人情報は、企業にとっての資産です。そして、データ流出は企業の信用を大きく傷つけることになります。
代表的な事例として挙げられるのが、2014年のベネッセの顧客情報の流出です。業務委託という形で関わっていた派遣社員が外部にデータを持ち出し、売却しました。事件の被害者でありながらも見舞金の支払いなどを余儀なくされたベネッセは、結果的に大きな損失を被りました。

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食品問題

昨今、食の安全性への関心はますます高まっています。その背景にあるのが、食に関連する様々な不祥事の発生でした。これらのコンプライアンス違反は大きく2つに分類できます。
1つ目は、偽装表示問題です。産地偽装や賞味期限の偽装などは、食の安全性やブランドに対しての信頼を根幹から揺るがす問題と言えます。代表的な事例として挙げられるのが、高級料亭船場吉兆の賞味期限切れ食品の販売と産地偽装問題です。問題が次々と明るみに出た船場吉兆は結果的に廃業に追い込まれてしまいました。
2つ目が、食品衛生管理の問題です。2011年に富山県の焼肉チェーンを経営する株式会社フーズ・フォーラスの複数店舗でユッケなどの生肉を食べた客が食中毒の被害にあいました。結果的に5名が死亡、100名以上が被害を受けたこの事件のために、フーズ・フォーラスは廃業となりました。このような悲劇が起きた原因として、生肉の表面を削り落として表面の菌などを除去する「トリミング」という作業を行っていなかったことが指摘されています。

 

コンプライアンス違反への対策・対処方法とは?

ここまでいくつかのコンプライアンス違反のパターンを、具体例を交えて解説してきました。以下では、コンプライアンス違反を起こさないための対策方法、そして起きてしまった場合の対処方法についてご説明します。

コンプライアンス違反を起こさないための対策方法

コンプライアンス違反が起きている企業では、多くの場合、不正を許容する企業文化や仕組みが根付いてしまっています。現場からトップまでのすべての階層でこのような状態にならないためには、大きく分けて2つの対策が重要になります。
1つ目が、社内ルールの策定と周知、運用です。生じうる違反や不正を洗い出し、それらを明確に防げるような社内ルールを策定する必要があります。そして社内でルールの周知をはかり、ルール違反が行われていないかどうかを常に確認する必要があります。
2つ目が、コンプライアンス保持のための専門チームを設けることです。これは1つ目の社内ルールの運用に関わる部分です。特に多くの部署が存在するような企業では、各部署の外からルール運用をチェックし、各事案についてコンプライアンスに違反していないかどうかを判断する体制が必要です。

コンプライアンス違反が起こってしまった場合の対処方法

上記のような対策を講じたとしても、明確な悪意を持った行動があった場合などは、コンプライアンス違反を完全に防ぐことが極めて困難になります。したがって、コンプライアンス違反を起こさないための対策方法と同等に、起こってしまった後の対処方法も重要になります。対処にあたって重要な事項は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、スピードです。コンプライアンス違反の種類によっては、被害者が加速度的に増えるものもあります。問題の第一報で対処するのと、その後マスコミに報道されてから対処するのとでは、被害者の数も変わるでしょうし、企業としての損失も大きく変わるでしょう。
2つ目は、真摯な姿勢です。不祥事が起こった際に責任逃れをしようとして火に油を注いでしまうケースは珍しくありません。まずはコンプライアンス違反によって生じた問題や不都合に関する明確な謝罪をしっかりと行い、その上で事態の解明に向けた情報発信を積極的に行う必要があります。これらは企業イメージを守るためにもとても重要になります。
そして3つ目が、関係者処分における慎重さ、公正さです。不正を行った人物の処分は必要かもしれませんが、性急に行えば「とかげのしっぽ切り」と捉えられて、かえって世間からのイメージを悪くする可能性があります。さらには、従業員からの不満を買ってしまうことも十分考えられます。弁護士や第三者による調査委員会に判断を委ねるなど、慎重にかつ公正に処分を行う必要があるでしょう。

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まとめ

今回は昨今増えている企業のコンプライアンス違反について、具体例や対策法も交えてご説明しました。コンプライアンス違反により廃業に追い込まれてしまう企業も少なくない中、今一度自社でコンプライアンス違反が起こっていないかをチェックし、コンプライアンス違反を起こさないための体制づくりに着手してみてはいかがでしょうか。

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