施設運用も経営戦略のひとつ! ファシリティマネジメントとは

カテゴリ:総務のおいしい話 投稿日: 2018.7.5 tag: ,

ファシリティマネジメントは、アメリカ由来の新たな経営管理方式です。聞きなれない言葉ですが、ファシリティマネジメントは総務がこれまで行ってきたオフィスの施設管理の延長線上に存在します。施設を資産と捉え、有効に経営に活かしましょう。今回は、ファシリティマネジメントの意義と業務内容について解説していきます。

ファシリティマネジメントとは

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会は、ファシリティマネジメントを「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」と定義しており、単なる手法ではなく総合的な活動と位置付けています。

ファシリティマネジメントは日本語に直訳すると「施設管理」となります。しかし、ファシリティマネジメントは既存の施設管理のように建物と設備の維持管理をするだけでなく、上記の日本ファシリティマネジメント協会の定義のように、現状よりもいい固定資産の使い方を考え、実行することを指します。つまり、組織が持つオフィスなどの固定資産を、単なる不動産以上の戦略的な経営資源として捉えるところにその特徴があります。それは、固定資産をコストとして見なすだけではなく、固定資産をどう経営に積極的に貢献させるか総合的に考えることと言い換えられるでしょう。

その例としては、大企業のオフィスにおいて、施設維持のコスト削減と社員間の交流促進、働きやすさ、セキュリティの向上の追求を全体として実現させるための施策を戦略的に実行していくことなどが挙げられます。ファシリティマネジメントの有用性は、企業に限らず、活用できる固定資産を持つ官庁や地方自治体、病院などのパブリックセクターにも当てはまります。

関連記事:
先輩に聞く―「『戦略総務』への道」
固定資産の管理、できていますか?減価償却の仕組みや計算方法を紹介!
固定資産税の納付時期、手続きについて解説

 

ファシリティマネジメントの意義

企業が組織の固定的コストを抜本的に削減しようとする場合、大規模なリストラによる人件費のカットが手っ取り早い方法として選ばれがちです。これは、人件費が常に発生する固定費であり、その金額も非常に大きいためです。それに対して、人件費と同様に多額の費用がかかり、ほとんどが固定費である施設関係費や、それと大きく関わる固定資産の活用に目が向けられることは少ないと言えるでしょう。

特に日本の場合、バブル時代に急増した施設は長期の利用を想定せずにお金だけが注ぎ込まれたケースが非常に多く、多額の固定的費用がかかっていながら、そのコストに見合う活用ができていなかったり、活用のための戦略を立てる態勢がなかったりということがしばしばです。企業経営の面だけではなく、省エネルギーや環境問題など企業の社会的責任の観点からも、その運用を改善しなければいけない施設は数多く存在します。

このような組織の固定資産にまつわる様々な課題を解決するために、アメリカ発の経営管理方法であるファシリティマネジメントが日本でも脚光を浴びるようになっています。公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会によれば、ファシリティマネジメントによる効果は以下のようなものがあります。

  • 不要な施設、不足な施設、不適当な使われ方の施設が明らかになり、経営にとって最適な施設のあり方が示される
  • 施設の改革によって、経営の効率が最高度に向上する
  • 同時に施設に関わるコストを最小に押さえる事ができる
  • 顧客、従業員その他の施設利用者にとって快適・魅力的な施設を実現する
  • 省エネルギーを実現し、環境問題にとって効果的な解決手段となる

最初の3点は経営効率を直接的に向上させられることを示しており、4点目はステークホルダーの満足度向上を、5点目は企業の社会的責任の達成を示しています。このように、ファシリティマネジメントには多面的な効果があります。

 

具体的な業務内容

ファシリティマネジメントは固定資産に関わる全てのマネジメントであり、具体的な作業内容は実に幅広いものとなります。

例えばオフィスを一新するのであれば、オフィスの立地や割り当ての検討だけではなく、オフィスをどのようなデザインにし、それをどう運用すれば経営戦略的に有効なのかを考え抜かなければなりません。ここで大事なのはハード面とソフト面の双方を同時に考えることです。例えば、社員同士が交流するスペースを設けるのであれば、どのような交流を望んでいるかきちんとクリアにした上で、ハード面のデザインとソフト面の運用について検討し、両者の整合性を取る必要があります。

またファシリティマネジメントはオフィスの移動のような大きな作業とは限らず、日常的なオフィスサービスもその対象です。例を挙げれば、オフィスにおける印刷サービスの設計や、どのように備品を供給するのかも重要な課題です。コストを抑えながら社員が利用しやすくするためには、いつどこでどのようにサービスを提供するのか、日々試行錯誤していく必要があるでしょう。

このような仕事の幅広さを考えると、施設関連のことはすべて総務部の仕事であるという考えが支配的な社内では、ファシリティマネジメントの実行は容易ではありません。また、施設は間接部門、バックオフィスの業務であるから会社の経営にとってさほど重要ではないという意識も、ファシリティマネジメントの実行を妨げてしまうでしょう。したがって、ファシリティマネジメントの成功の鍵は、自社の建物を戦略的に扱っていくことの重要性を全社的に認知し、会社全体の問題としてマネジメントを行うことであると言えます。

 

まとめ

日本の企業は、バブル期にコストと長期的展望を度外視した施設を多く建ててきたと言われています。国際的な激しい競争に晒される近年においても、自社施設を経営資源として活用していくという発想はまだ十分に定着したものとは言えません。今後は、ファシリティマネジメントという観点から、固定資産を戦略的に扱っていくことが様々な組織に求められます。

こちらも読まれています:

*somu-lier(ソムリエ)では書き手を募集しています。
この記事が気に入ったら いいね!しよう
somu-lierから最新の情報をお届けします

この記事に関連する記事