勤務間インターバル制度を導入して助成金を取得しましょう!

カテゴリ:
tag:
公開日:2018.6.25

勤務間インターバル制度とは、勤務終了から次の勤務の開始時間まで一定の休息期間を設けるという制度です。従業員のライフワークバランスの改善はもちろん、その導入に取り組む中小企業には時間外労働改善助成金が支給されることからも注目を集めています。今回は、制度の概要と助成内容、助成を受ける方法について詳しく解説していきます。

勤務間インターバル制度の概要

勤務間インターバル制度とは、勤務終了時間から次の勤務開始時間までの間に、一定の連続的な休息時間を確保するというものです。一定の休息時間は、9時間以上が望ましいとされています。

たとえば企業が勤務間インターバルを11時間に設定したとしましょう。従業員が23時まで勤務をした場合、翌日の勤務は10時以降でなくては開始することができません。そうすることで、慢性的な長時間労働と残業による従業員の睡眠不足や、家に帰れない状態などを防止することができ、健康状態の改善やクオリティオブライフの向上にも効果があるとされています。また企業にとっても、勤務間インターバル制度の導入によって、社員を大切にするという自社の姿勢を従業員や外部へアピールできるというメリットがあります。

関連記事:
働き方改革実行計画が決定!Vol.2~長時間労働の是正について~
メンタル不調の可能性も?社員の「勤怠の乱れ」が示す意味とは?

 

時間外労働改善助成金について

勤務間インターバル制度を導入すると、厚生労働省から「時間外労働改善助成金」を受けることができます。交付申請の締め切りは、平成30年12月3日となっています。

概要

この助成金は、中小企業・小規模事業主における過重労働防止や長時間労働防止のために、労働時間の設定の改善を推進することを目的としています。全5コースがあり、勤務間インターバル制度を導入した事業主には、その実施に要した費用の一部が助成されます。
たとえば、就業規則に「~時以降の残業および~時以前の始業を禁止する」という旨が記載されていれば勤務間インターバル制度を導入しているとみなされます。しかし、「~時以降の残業を禁止する」とだけ規定されているものなどは休息時間が確保されていないとされ、勤務間インターバル制度を導入しているとはみなされません。

支給対象

次の3点を満たす事業主が支給対象となります。

  • 労働者災害補償保険の適用事業主であること
  • 次のいずれかに当てはまる事業主であること
    1.小売業:資本または出資額が5,000万円以下で常時雇用する労働者が50人以下
    2. サービス業:資本または出資額が5,000万円以下で常時雇用する労働者が100人以下
    3. 卸売業:資本または出資額が1億円以下で常時雇用する労働者が100人以下
    4. その他の業種:資本または出資額が3億円以下で常時雇用する労働者が300人以下
  • 次のいずれかに当てはまる事業場を持つ事業主であること
    1.勤務間インターバルを導入していない事業場
    2. 9時間未満の休息時間の勤務間インターバルしか導入していない事業場
    3. 9時間以上の休息時間の勤務間インターバルを導入しているが、対象となる労働者が当該事業場の労働者の半数以下である事業場

支給の対象となる取り組み

時間外労働改善助成金は、勤務間インターバル制度の導入に要する諸費用を助成してくれます。具体的には、以下のような取り組みが支給の対象となります。

  • 労務管理担当者に対する研修
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成および変更
  • 労務管理用ソフトウェア・機器の導入
  • テレワーク用通信機器の導入

そのほかにもいくつかの取り組みが対象となります。
ここで具体例を1つ紹介すると、KDDI株式会社では勤怠管理システムの改修を行い、適切な休息時間が確保できていない従業員には警告メールが送られる仕組みにしました。このようなシステムの開発や導入に要する費用にも、この助成金を充てることができます。

支給にあたって目標としなくてはいけないこと

前項に挙げた取り組みを行うにあたり、以下の3つのいずれかを目標として取り組むことが時間外労働改善助成金支給の条件とされています。

  • 勤務間インターバルを導入していない事業場で、労働者の半数以上を対象とした9時間以上の休息時間を設ける勤務間インターバルについて、就業規則等において定めること
  • すでに9時間以上の休息時間の勤務間インターバルを導入しているが、対象者が労働者の半数未満である場合に、対象者を半数以上に拡大することを就業規則等において定めること
  • すでに9時間未満の休息時間の勤務間インターバルを導入している事業場で、労働者の半数以上を対象にして、休息時間を2時間以上延長して9時間以上とすることを就業規則等において定めること

支給額

支給額は、基本的には対象となる取り組みに要した経費の合計額の4分の3になります。条件が揃うと5分の4の支給を受けることもできます。
ただし、以下のように勤務間インターバルの休息時間に応じた上限額が設定されており、上限を超えた場合は上限額の支給となります。

  • 休息時間が9時間以上11時間未満
    前項の1つ目を目標とした取り組みがある場合は40万円
    前項の1つ目を目標とした取り組みはないが、2つ目、3つ目のいずれかを目標とした取り組みがある場合は20万円
  • 休息時間が11時間以上
    前項の1つ目を目標とした取り組みがある場合は50万円
    前項の1つ目を目標とした取り組みはないが、2つ目、3つ目のいずれかを目標とした取り組みがある場合は25万円

時間外労働改善助成金を受ける流れ

  • 交付申請書の提出
    まずは、厚生労働省のウェブサイトで「時間外労働改善助成金交付申請書」のフォーマットをダウンロードし、必要項目を記載した上で、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。先述のように、交付申請の期限が平成30年12月3日(必着)であることに注意しましょう。
  • 事業の実施
    交付申請書の審査を通過したら、勤務間インターバル制度に関する取り組みを行います。
  • 支給申請
    取り組みが終了したら、支給申請書を提出します。期限は、取り組み終了後1ヶ月以内、もしくは平成31年2月15日(必着)のいずれか早い日となっています。
  • 助成金の受け取り
    支給申請の審査にも通れば、助成金を受け取ることができます。

関連記事:
【中小企業経営者必見!】就業規則のつくり方入門
過重労働の予防は企業の義務!勤怠管理を通して予防を図る
テレワークを導入しよう!ルールづくりのチェックポイント

 

まとめ

今回は、勤務間インターバル制度について解説してきました。この制度を設けることで生産性の向上が期待されるので、企業にとってもメリットは大きいでしょう。助成金があるこの機会に、ぜひ勤務間インターバル制度の導入を検討してみてください。

こちらも読まれています:

この記事が気に入ったら いいね!しよう
somu-lierから最新の情報をお届けします

この記事に関連する記事