従業員の再就職支援を行い、労働移動支援助成金を利用しましょう

カテゴリ:コラム 投稿日: 2018.3.30 tag: , , ,

事業主が離職させざるをえない労働者の再就職を支援した場合、一定の額の助成金が政府から事業主に対して支払われるのをご存知でしょうか。今回は労働移動支援助成金の5コースのうちの1つ、再就職支援コースについて、制度の概要や申請の要件、今後予定されている改正の変更点まで解説いたします。

再就職支援コースについて

安倍政権が掲げる「失業なき労働移動」を実現するための雇用政策の1つとして、2014年に労働移動支援助成金の制度が定められました。労働移動支援助成金には5つのコースが存在しますが、景気の低迷や業績不振で事業主が事業の規模を縮小せざる得ないとき、離職を余儀なくされる労働者に対して再就職支援を行なった事業主に支給されるのが、この再就職支援コースです。

再就職支援コースの助成は「委託開始申請分」と「再就職実現申請分」の2つによって構成されます。

委託開始申請分

「委託開始申請分」は、再就職援助計画の認定または求職活動支援計画書の提出を行っている中小企業が、離職者の再就職支援を職業紹介事業者へ委託した際に申請できるもので、当該の委託に要した費用の一部が支給されます。

再就職実現申請分

「再就職実現申請分」は、離職者が離職の日の翌日から6ヶ月以内(45歳以上の場合は9ヶ月以内)に再就職を果たした場合に申請が可能で、当該の離職者へ企業が行った措置に応じて次の3つの助成を受けることができます。

  • 再就職支援
    離職者の再就職に関して職業紹介事業者に支援を委託した場合、委託に要した費用の一部が助成される再就職支援です。一定の条件を満たせば特例区分として支給額の増額があり、さらに支援の一環として訓練やグループワークを実施することで加算がなされます。
  • 休暇付与支援
    離職が決定している労働者に対して求職活動のための休暇を与えた場合に申請できる休暇付与支援です。休暇を与えた結果として離職者が早期に再就職ができた場合には、支給額が加算されます。
  • 職業訓練実施支援
    離職する労働者の再就職のために職業訓練を訓練施設等に委託した場合に貰える職業訓練実施支援です。

それぞれの助成の細かい支給要件や申請の手順についての詳細は、厚生労働省が公開している資料を参照してください。各助成の具体的な支給額は記事の後半で扱いますが、その前に助成金申請のための諸条件を確認しましょう。

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受給のための条件

受給対象となる労働者

再就職支援コースの対象労働者は以下の7つの条件全てに該当する労働者です。

  • 事業主の作成する「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であること
  • 助成金を申請する事業主に雇用保険の被保険者として1年以上雇用されていること
  • 助成金を申請する事業主の事業所への復帰の見込みがないこと
  • 離職する従業員の再就職先が未定であること、またはこれに準ずる状況にあること
  • 離職する従業員が職業紹介事業主の退職奨励を受けたと受けとめている者でないこと
  • 助成金を申請する事業主から退職を強要されたと受け止めている者でないこと
  • 離職する従業員の再就職支援を職業紹介事業者に委託する場合、離職する従業員が当該職業紹介事業者の支援を受けることを承諾していること

受給申請可能な事業主の条件

事業主が助成金を申請するには、以下の条件全てに該当する必要があります。

  • 雇用保険を適用していること
  • 従業員が離職する事業所や部署等が赤字の状態になっていること
  • 中小企業の事業主以外の場合、「再就職援助対象者」あるいは「求職活動支援書」対象者の人数が30人を超えていること
  • 助成金の審査に必要な書類を保管し、管轄の労働局からの現地調査を要求された場合にはこれを受け入れること
  • 申請期限内に申請を行うこと

また、以下のいずれかに該当する事業主は助成金を申請することができません。

  • 再就職支援または休暇付与支援を申請して受給する場合、対象従業員が再就職をした日の前日までの1年の間に、再就職先と関連事業主の関係にある
  • 再就職支援を委託した職業紹介事業者から前もって退職コンサルティングを受けている
  • 再就職支援を委託した職業紹介事業者が退職コンサルティングを行う企業等と連携していたことを知っている
  • 不正受給をしてから3年以内である
  • 支給申請日の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない
  • 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までに、労働関係法令に違反した
  • 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業の事業主
  • 暴力団関係事業主

 

各助成の支給額

それでは、各助成の具体的な支給額を見ていましょう。対象となる労働者1人につき、それぞれ以下の額が支給されます。ただし、1つの事業所が申請できるのは、1年度で500人が限度となっている点にご注意ください。

委託開始申請分

中小企業事業主

中小企業事業主以外

10万円

(委託総額が20万円に満たない場合は
委託総額×1/2)

 

なし

 

再就職実現申請分

再就職支援

再就職支援の助成を申請する場合、支給額は支給対象者の年齢や事業主の規模等により異なります。また上述のように、特例区分には支給額の増額が、訓練やグループワークの実施には加算があります。事業主が特例区分とされるための条件は、次の2点です。

  • 再就職支援を委託する職業紹介事業者との契約が、次の3項を含むこと
  1. 委託料として委託開始時に支払う額は委託料全体の2分の1未満
  2. 対象従業員に訓練を実施する場合に、その経費の全部または一部を負担
  3. 対象従業員が期間の定めのない雇用でかつ賃金が離職時の8割以上の再就職先を見つけた場合、委託料を5%以上多く支払う
  • 対象従業員の再就職先における雇用形態が期間の定めのない雇用であり、賃金が離職時の8割以上であること

再就職支援の助成金の支給額は、以下の1.~3.の金額を合計したものとなります。ただし委託開始申請分を受給している場合は、その額を引いた金額が支給されます。

  1. 再就職支援

 

中小企業事業主

中小企業事業主意外

通 常

(委託総額-③の額)×1/2

(45歳以上の場合は2/3)

(委託総額-③の額)×1/4

(45歳以上の場合は1/3)

特例区分

(委託総額-③の額)×2/3

(45歳以上の場合は4/5)

(委託総額-③の額)×1/3

(45歳以上の場合は2/5)

  1. 訓練による加算

中小企業事業主

中小企業事業主以外

訓練実施にかかる費用×2/3の額(上限30万円)

  1. グループワークによる加算

中小企業事業主

中小企業事業主

3回以上実施で1万円

 

休暇付与支援

休暇付与支援の助成は、計180日を上限として1日につき以下の額が支給されます。休暇を与えた結果として、対象労働者が退職の翌日から1か月以内に再就職を実現した場合には、早期再就職加算が上乗せされます。

中小企業事業主

中小企業事業主以外

8千円/日

5千円/日

早期再就職加算:1人につき10万円

 

職業訓練実施支援

職業訓練実施支援では、事業主の規模に関わらず、180万円を上限として職業訓練の費用の2/3が補助されます。

 

平成30年4月1日予定の改正に伴う変更点

今回ここまでお送りしてきた情報は現行制度を説明するものですが、労働移動支援助成金の制度は近々改正を予定しており、平成30年4月1日から支給内容が変更される見通しです。主な変更点は2つあります。

まず、委託開始申請分の助成が廃止となります。それに伴い、再就職支援の支給額の計算時には委託開始申請分の金額を控除する必要がなくなります。

次に、改正後は、事業主が再就職支援を委託した職業紹介事業者の支援を1度も受けることなく対象労働者が再就職を実現した場合には、助成の対象外となります。

 

まとめ

労働移動支援助成金の制度を巡っては、政府がリストラを奨励しているなどの批判があります。しかしこの制度を活用すれば、企業は事業を縮小せざるを得ない苦しい時に助成金が受け取れ、離職者にもスムーズな再就職が促進されるというメリットがあります。意外と知る人の少ないこの制度ですが、覚えておいて決して損はないでしょう。

 

生産性向上に向けて設備投資を行うためには

厚生労働省が定める助成金は、返済不要の給付金のため財源の調達として非常に有用な手段です。特に、生産性の向上など、企業にとってもメリットのある要件を満たした場合の助成金は、積極的に利用する価値があるものです。

somu-lierでは、厚生労働省が定める雇用関係の助成金のうち、生産性の向上に関わるものについて整理した資料を作成しています。是非、本資料を参考に、助成金の活用についてマスターしましょう。

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