不法就労を防止! 外国人の就労条件まとめ

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公開日:2018.6.22

6月は外国人労働者問題啓発月間です。不法就労を防止するためにも、外国人を雇用する際には、就労が認められるかどうかを厳密にチェックする必要があります。今回は就労が認められる外国人の在留資格や業種について解説していきます。

外国人を雇用する場合まずは在留資格を確認

外国人は、出入国管理及び難民認定法(通称入管法)で規定されている在留資格の範囲内でのみ就労することができます。在留資格には28種類あり、それぞれの在留資格ごとに就労の可否と、働くことのできる業種や労働時間が指定されています。なお、在留資格は在留カードにおける記載によって確認することができます。

在留資格別にどのような就労が認められるかは大きく3つに分けることができ、一定の範囲内で認められるもの、原則認められないもの、制限がないものがあります。

在留資格に定められた範囲での就労が認められる在留資格

以下の19種類の在留資格が当てはまります。

  • 外交、公用
  • 教授、芸術、宗教、報道
  • 高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育
  • 技術・人文知識・国際業務、企業内転勤
  • 介護、興行、技能
  • 技能実習、特定活動(ワーキングホリデー、就職活動による滞在、インターンシップなど)
  • 特定技能

これらの在留資格を持つ外国人は、入管法などで定められた範囲での就労が可能です。この中で特に一般の事業所が扱う機会が多いのは「技術・人文知識・国際業務」であり、通訳からデザイナー、コンピューターエンジニアまで、幅広い職種の外国人がこの在留資格を持つことになります。

在留資格の範囲外の活動で報酬を受け取ったり、収入を伴う事業運営をしたりするためには、地方入国管理局に資格外活動許可の申請を行う必要があります。例えば、「研究」の在留資格によって大学などで研究活動をしながら、空いた時間で会社を立ち上げようとする場合は、資格外活動許可が必要です。また資格外活動として認められる活動は、本業を妨げるものであってはなりません。

「特定活動」の在留資格は、経済連携協定によって来日した外国人看護師・介護福祉士のほか、就職活動中の元留学生、ワーキングホリデーが認められて来日した外国人など、様々な人へ与えられます。そのため、この在留資格を有する外国人が就労できるかどうか、また就労できる業種や時間数はケースバイケースです。パスポートにホッチキスで留められている「指定書」を確認し、適切な雇用を行いましょう。通常、ワーキングホリデーにより「特定活動」が認められている場合は労働時間の制限はありませんが、風俗営業等に従事することはできません。
「特定技能」の在留資格は2019年4月より有効になった資格で、介護や自動車整備、農業など人手不足が申告な14の業種で外国人の就労が可能になりました。

原則として就労が認められない在留資格

以下の5種類の在留資格が当てはまります。

  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在

これらの在留資格を持っていても、資格外活動許可を取れば実質的に様々な仕事に就くことができます。例えば「留学」の在留資格を持つ外国人の場合、資格外活動の許可を得れば1週間に28時間まで就労することができます。また、夏休みや冬休みなどの学校の長期休業期間中には1日8時間まで就労することが可能です。これらの就労は、それぞれの就労(職場)ごとではなく包括的に許可されます。1日8時間まで就労することができる長期休業期間と認定された期間は、この包括許可がされた時に付与される「資格外活動許可書」や「旅券の資格外活動許可証印」により確認できます。

同様に、「家族滞在」の在留資格を持つ外国人に関しても、資格外活動の許可を得れば1週間に28時間まで就労できます。「留学」と同様、資格外活動については職場ごとではなく包括的に許可されるので、仕事を変えるごとに申請し直す必要はありません。

ただしこれらの在留資格を持つ人であっても、以下のような風俗営業などに従事することはできません。

  • 風俗営業もしくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動
  • 無店舗型性風俗特殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業もしくは無店舗型電話異性紹介営業に従事して行う活動

たとえ直接的に風俗営業の業務に関わらなくとも、掃除や案内役などをこれらの在留資格の外国人が行うことも禁止されています。

なお、「文化活動」の在留資格を持つ外国人も資格外活動許可によって報酬を得る活動をすることはできますが、包括許可はされず個別許可となります。したがって、職場が変わるごとに申請をし直す必要があります。「留学」ビザと異なり、就労可能な時間についても申請の都度個別のケースごとに決定されるので、細かな確認が必要です。

就労活動に制限がない在留資格

以下の4種類の在留資格が当てはまります。

  • 永住者(「特別永住者」を含む)
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

これらの在留資格を持つ外国人は、その在留資格を持つ限り日本人と同様に就労することができます。なお、「定住者」の在留資格を持つのは主に日系人の子孫となります。

 

外国人雇用状況の届出は事業者の義務

すべての事業主は、外国人労働者の雇入れと離職の際に、その外国人労働者についてハローワークへ届け出ることが義務となっています。ただし、オールドカマーの在日韓国・朝鮮人の方を中心とする特別永住者や、「外交」、「公用」の在留資格を持つ外国人は除きます。届け出なければならない内容は、氏名、在留資格、在留期間、国籍などです。届出を忘れてしまうと、罰金を科せられることもあるので気をつけましょう。

雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険の被保険者資格の取得届または喪失届の備考欄に、雇い入れるもしくは離職する外国人の情報を記載して通知することができます。この場合、届出期限は取得届または喪失届の通常の提出期限と同じく、雇入れの場合は翌月10日まで、離職する場合はその翌日から10日以内となります。

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まとめ

外国人を雇用する場合は、とにかく在留資格の確認が重要です。採用前の面接時などに、あらかじめ旅券や在留カード、指定書の持参を呼びかけるのが重要です。不法就労を防止するために、法にしたがった適切な雇用と、そのための確認を確実に行うようにしましょう。

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