【2024年4月更新】電子帳簿保存法とは?税制改正についても分かりやすく解説!

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公開日:2021.10.16 最終更新日:2024.5.7

2022年1月に電子帳簿保存法が改正されました。2022年の改正では、経済社会のデジタル化を踏まえ、帳簿書類を電子保存する際の手続きなどについて抜本的な見直しが行われました。2022年の改正で要件が緩和されたことによって、企業にとって電子帳簿の導入がしやすくなりました。また令和5年度税制改正の一環として、2022年に改正された電子帳簿保存法の一部の要件が2024年1月から見直されました。今回は2022年改正の内容と4つのポイント、令和5年度税制改正による変更点、そして電子帳簿のメリット・デメリットについて解説していきます。

2022年1月に電子帳簿保存法が改正

2021年度税制改正の一環として、電子帳簿保存法が大きく改正されました。この、改正電子帳簿保存法は、2021年3月31日に公布され、2022年1月1日に施行されました。これにより、電子帳簿の保存要件が現行よりも大きく緩和されるため、多くの企業にとって利用しやすくなりました。電子帳簿保存法の概要と改正の背景を以下で解説します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、ペーパーレス化社会に対応し、税務関係書類の保存にかかわる負担を軽減するために、1998年に制定されました。日本におけるIT革命が2000年前後から始まったことを考えると、それよりも前から、政府は帳簿書類の電子化に取り組んでいたことがわかります。しかし、当時の技術では、電子化された書類の不正を見抜くこと困難だったため、電子計算機を使用して作成された帳簿のみに対象が限られるなど、企業にとって導入・運用が難しい要件が少なくありませんでした。しかし、2005年3月の改正では、紙媒体の書類をスキャンして保存したものも電子帳簿として認められるなど、幾度かの改正を経て要件の緩和が進んでいます。

2022年に電子帳簿保存法が改定された背景

2022年1月の電子帳簿保存法の改正には、電子帳簿の導入を推進することによって業務効率化を進め、企業のDXを進展させる狙いがあります。要件が緩和されたとはいえ、電子帳簿にかかる要件はいまだ厳しいものが多く、企業が導入する際には高いハードルとなっていました。日本CFO協会による調査では、83%もの企業が電子帳簿の導入にメリットを感じているにもかかわらず、具体的に導入済み、または導入を検討している企業は半数に満たないという結果が出ています。2022年の法改正では、要件をさらに緩和し、より多くの企業が電子帳簿の導入を推進することを目指しています。

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2022年の電子帳簿保存法改定改正における4つのポイント

2022年の電子帳簿保存法改正における主な変更点は、以下の4つです。いずれも、電子帳簿の扱いをより手軽にするための変更であるため、2022年の改正をきっかけに、電子帳簿を導入できる企業は増加することが見込まれます。

適正事務処理要件の廃止

適正事務処理要件とは、3つの項目(相互けん制、定期的な検査、再発防止)について社内規定を策定し、税務関係書類の電子化や廃棄について内部統制を確立する規定です。2015年の電子帳簿保存法改正時に追加された、不正を防止するための要件でした。これ以前の不正防止要件はさらに厳しく、電子帳簿の画像ファイルに、事務処理を行った人の電子署名を付与しなければなりませんでした。2015年改正時点では、適正事務処理要件も規制緩和の一環として盛り込まれたものだったのです。しかし、適正事務処理要件があるせいで、事務処理が一人で進められず、原本を保管し続ける必要があるなど、現状では、企業による電子帳簿の導入を阻む大きな要因になっています。2022年の改正では、この適性事務処理要件が廃止され、税務関係書類の電子化や保管がスムーズに行えるようになりました。

承認制度の廃止

承認制度とは、企業が税務関係書類の電子保存を始める前に、所轄の税務署において承認を受けなければならない制度です。どんな書類を電子保存するのかを記した「承認申請書」や、どういった手順で電子データを管理するのかを記した「事務手続きの概要」などを提出し、税務署長の承認を受けなければ、電子帳簿は導入できなかったのです。また、申請書の提出から3ヶ月は、企業の電子帳簿にかかる運用方法が適切かどうかを国が見定める期間となるため、企業は待機しなければなりません。このように、電子帳簿の導入には、長い準備期間が必要でした。2022年の改正では、この承認制度が廃止され、国の基準を満たすスキャナや会計システムなどを準備すれば、すぐに税務関係書類の電子保存が可能になりました。

検索条件の緩和

電子帳簿は、ただシステム上に保存しているだけでは、紙の保存と同じく、どの書類がどこにあるのかわからなくなってしまいます。そのため、電子保存の要件に、システム上に検索機能を設けることが定められています。検索条件に付いても、取引年月日、勘定科目、取引金額、帳簿の種類に応じた記録項目など、必要な項目数が多く、登録・管理業務の煩雑化を招いていました。2022年の改正で、この検索条件に関する規定が緩和され、必要な検索項目が「年月日」「取引金額」「取引先」の3種類のみに限定されました。また、判定期間における売上高が1,000万円以下である企業に関しては、検索要件が不要です。

タイムスタンプ要件の緩和

タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが存在していたこと、および、そのデータがそれ以降改ざんされていないことを証明する技術をいいます。従来の電子帳簿保存法では、税務関係書類をスキャナで読み取りした際に、受領者が自署したうえで3営業日以内にタイムスタンプを付与することが必要でした。2022年の改正では、スキャナ読み取りの際の受領者の署名が不要になり、タイムスタンプの付与期間が3日から最長2ヶ月以内と大幅に延長されました。さらに、システムの機能として、電子データの修正・削除ができない、あるいは履歴が残せる場合は、タイムスタンプの付与に代えられるようになったのです。

  

令和5年度税制改正による改正電子帳簿保存法の変更点

2023年3月28日に可決・成立した令和5年度是正改正法では、改正電子帳簿保存法の一部の要件も見直され、2024年1月から変更が適用されました。

電子取引のデータ保存に関する改正

電子取引のデータ保存に関しては、検索用件の緩和や、宥恕措置に変わる猶予措置の整備が行われました。
税務調査が入る際ダンロード申請に応えられる場合、全ての検索要件が不要となる対象者が、見直されました。まず、基準期間の売上高が5000万円以下の保存義務者に対象が拡大されました。また、電子取引データを印刷した書面を、取引年月日、取引先などで整備された状態で提出できる場合も対象になりました。
令和4年度税制改正で整備された電子取引における電子保存の宥恕措置が終了しました。そんな中令和5年度税制改正により、2024年1月から新たな猶予措置が適用されました。具体的には、「要件に従って電子取引データ保存への移行ができなかった相当の理由がある」「税務調査の際に電子取引データと印刷した書面の双方を提出できる」という2つの要件が満たす事業者は、改ざん防止や検索機能などに関する要件を満たしていなくても電子取引データを保存できるようになりました。

スキャナ保存に関する改正

スキャナ保存に関しては、読み取り情報保存や入力者情報の確認の廃止、そして帳簿との相互関連性を確保する書類の限定が行われました。
国税関係書類をスキャナ保存する場合の解像度、階調、大きさに関する要件は不要となりました。
従来は、スキャナ保存をする際に記録事項の入力者や監督者情報を確認できるようにしておくよう求められていましたが、改正以降は不要になりました。
国税関係書類について、スキャナで読み取った書類は全て帳簿との関係性を求ねられていましたが、その必要のある書類が限定されました。対象となるのは、契約書や領収書、送り状といった資金や物の流れに関する書類です。

電子帳簿保存に関する改正

「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象範囲が改正されました。対象となる主な帳簿は、仕入帳、総勘定元帳やその他必要な帳簿(売上帳、仕入帳、経費帳、賃金台帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳)です。

電子帳簿のメリット・デメリット

電子帳簿保存法の改正により、これまで企業の負担が大きいとされてきた電子帳簿導入への取り組みは容易になったといえるでしょう。電子帳簿は、一度導入してしまえば企業側のメリットは大きい一方で、気を付けなければならないこともあります。ここでは、電子帳簿の導入における、企業にとってのメリット・デメリットを紹介します。

メリット

  • 生産性の向上
    多くの企業において、経理部門は、請求書や経費精算書など、紙を使う業務が大部分を占めています。帳簿や書類の調製や、書庫から必要なものを探すという作業は、手間や労力がかかるものです。しかし、電子帳簿を導入する場合、同時に経理清算サービスや会計システムを利用することになるため、経理業務のシステム化を進めることができます。作成・保管・検索・閲覧の一連の業務を効率化できるでしょう。
  • 税務調査対策への負担軽減
    税務調査とは、毎年行われる確定申告に対し、申告内容が正しいかどうかを税務署が調査することです。企業であれば、いつでも調査対象になる可能性があります。税務調査では、必要な帳簿書類の用意をしなければなりません。そのため、税務関係書類を紙で保存している場合、企業にとっては大きな負担になるでしょう。しかし電子帳簿にすることによって検索性が上がるため、必要な帳簿書類が準備しやすくなります。また、帳簿書類の内容が横断的に確認できるようになるため、整合性のチェックが容易になります。

デメリット

  • 業務フローの見直しが必要
    電子帳簿は経理業務に大きな利便性をもたらす一方で、業務フローが大きく変化します。パソコンの扱いやデータ管理に関する知識やスキルを持つ人材がいない場合、導入後から運用までは時間を要するかもしれません。そのため、システムを導入するだけではなく、より現場に則した業務フローの検討や、従業員への教育など、ある程度の手間と時間をかける認識を持った方が良いでしょう。
  • セキュリティ強化が必須
    電子データは、紙の書類のように盗難・持ち出しなどのリスクはありませんが、サイバー攻撃によってまるごと情報が盗み出されてしまうリスクがあります。コンピュータウイルスや不正アクセスにはこれまで以上に気を付ける必要があります。また、USBなどを使った物理的なデータ盗難を防ぐため、アクセスできる従業員を制限したり、パスワード管理を徹底したりするなど、紙の書類とは異なるセキュリティ体制の構築が必要です。

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まとめ

多くの企業において、電子帳簿によって業務効率が大きく改善することは認識されています。しかし、導入要件や運用上の厳しいルールによって、電子帳簿の導入に二の足を踏んでいた企業は多いようです。しかし、電子帳簿保存法の改正により、電子帳簿導入へのハードルは低くなりました。電子帳簿を活用することで、経理業務を効率化し、事業の成長につなげましょう。

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