所得拡大促進税制を活用して、従業員の賃上げを図りましょう!

カテゴリ:総務のおいしい話 投稿日: 2017.4.21 tag:

2017年度税制改正により「所得拡大促進税制」の適用要件の見直しが行われ、特に中小企業に対して強力な賃上げ支援が図られることとなりました。企業においては、所得拡大促進税制を活用して、従業員への賃上げを行うことが期待されます。

所得拡大促進税制の適用を受けるためには一定の要件を満たす必要があることから、要件を把握しておくことが重要です。

今回は、所得拡大促進税制の内容や改正ポイントを解説します。

 

所得拡大促進税制とは

所得拡大促進税制は、企業が一定の要件を満たしながら国内雇用者に対する給与を増加させた場合に、法人税額の10%(中小企業は20%)を上限として、給与等支給増加額の一定割合を法人税から税額控除できる制度です。

所得拡大促進税制は、企業が雇用者に支払う給与を増加させることで個人の所得拡大を図り、個人の所得水準の改善を通じた消費拡大やそれに伴う景気の好循環を実現することを目的としています。

 

対象期間

所得拡大促進税制の適用対象は、2013年4月1日から2018年3月31日までの期間内に開始する各事業年度です。

 

適用対象となる事業主の条件

所得拡大促進税制は、青色申告をしていれば、業種や従業員数による制限なく個人事業主から大企業まで幅広く利用することが可能です。

なお、中小企業の場合、大企業よりも制度の適用要件が緩和されています。ここでいう中小企業とは、資本金の額が1億円以下の法人のことをいいます。

 

利用方法

所得拡大促進税制を利用するにあたって、事前申請を行う必要はありません。ただし、法人税の申告の際に給与等支給増加額や控除を受ける金額に関する明細書を添付することが必要であり、明細書の添付を忘れてしまうとその年度は制度が適用されなくなってしまうので注意が必要です。

 

所得拡大促進税制の適用要件

所得拡大促進税制の適用を受けるためには、以下の3つの要件すべてを満たすことが必要です。

 

(1)給与等支給額が基準年度より一定割合以上増加していること

まず、その年度の「給与等支給額」が、「基準年度」と比較して一定割合以上増加していることが必要です。

 

給与等支給額

給与等支給額とは、適用年度の所得の金額の計算上損金算入される国内雇用者に対する給与の総額のことをいい、役員報酬や役員の親族等に支払われる給与などは含みません。

 

基準年度

基準年度とは、2013年4月1日以後に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の「直前」の事業年度のことをいいます。例えば3月決算法人の場合、2012年4月1日から2013年3月31日が基準年度となります。

 

増加すべき割合は適用年度により異なり、2017年4月1日から2018年3月31日までの間に開始する事業年度の場合、当該年度の給与等支給額が基準年度と比較して大企業では5%以上、中小企業では3%以上増加していることが必要です。

 

(2)給与等支給額が前年度の給与等支給額以上であること

適用年度の給与等支給額が、前年度の給与等支給額以上であることも必要です。

 

(3)平均給与等支給額が、前年度の平均給与等支給額を上回ること

適用年度の「平均給与等支給額」が、前年度を上回っていることも必要です。

 

平均給与等支給額

平均給与等支給額とは、適用年度の「継続雇用者」に対する給与等支給額を、当該継続雇用者の月ごと延べ人数の合計で割った金額のことをいいます。

継続雇用者とは、適用年度およびその前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者のことを指し、適用年度に入社した者や前年度中の退職者は継続雇用者に含みません。

 

大企業の場合、平均給与等支給額が前年度より2%以上増加していることが必要です。中小企業の場合、平均給与等支給額が前年度を上回っていれば問題ありませんが、前年度より2%以上増加していた場合はさらなる控除を受けられる可能性があります。

 

2017年度税制改正のポイント

2017年度税制改正では、上記の要件のうち3つめの「平均給与等支給額」に関する要件が見直され、法人税の控除額も変更されました。要件や控除額は大企業と中小企業で異なるため、それぞれの場合に分けて解説します。

 

大企業の場合

改正前は、平均給与等支給額が前年度の平均給与等支給額を上回っていれば、基準年度からの増加額の10%について法人税の控除を受けることができました。

改正後は、平均給与等支給額が前年度の平均給与等支給額より2%以上増加していなければ所得拡大促進税制の対象とはならなくなった一方、法人税の控除額については、基準年度からの増加額の10%に加えて前年度からの増加額の2%が上乗せされることとなり、より多くの控除が受けられるようになっています。

 

中小企業の場合

改正前は、平均給与等支給額が前年度の平均給与等支給額を上回っていれば、基準年度からの増加額の10%について法人税の控除を受けることができました。

改正後も、平均給与等支給額が前年度の平均給与等支給額を上回っていれば、改正前と同様の計算方法で法人税の控除を受けることができます。

さらに、平均給与等支給額が前年度から2%以上増加している場合、基準年度からの増加額の10%に加えて前年度からの増加額の12%が税額控除されることとなり、非常に多くの税額控除が受けられるようになっています。

 

 

まとめ

今回の税制改正は、企業にとって賃上げへの強力な追い風となっています。特に、中小企業が前年度比2%以上の賃上げを行った場合、より多くの税額控除が受けられるようになりました。所得拡大促進税制をうまく活用し、効率よく従業員への賃上げを図りましょう。

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