正社員と非正規社員の待遇差改善へ!「同一労働同一賃金ガイドライン」とは?

カテゴリ:総務のおいしい話 投稿日: 2017.1.13 tag:

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2016年12月、政府の「働き方改革実現会議」が「同一労働同一賃金ガイドライン案」をとりまとめました。このガイドライン案は、正規社員と非正規社員の待遇差について合理性の判断基準を示したものであり、今後、各企業においてもガイドラインに沿った形で賃金制度等の見直しが必要となることが予想されます。

今回は、ガイドライン案の内容や非正規社員の待遇改善について解説します。

 

「同一労働同一賃金」とは

「同一労働同一賃金」とは、性別や年齢等の違いに関わりなく、同種・同量の労働に対して同一の賃金を支払うべきという考え方のことをいいます。この考え方が現在注目されている背景の一つとして、日本では正規社員と非正規社員の間に大きな待遇差があり、非正規社員の待遇改善が喫緊の課題となっていることが挙げられます。

現行制度上、労働契約法やパートタイム労働法の規定により、正規社員と非正規社員の待遇について「不合理」な格差を設けることが禁止されています。しかしながら、どのような格差が不合理であるかを判断するのは難しいというのが現状です。

このような現状を踏まえ、正規社員と非正規社員の待遇格差が存在する場合、どのような待遇差が不合理であり、また、どのような待遇差が不合理ではないかを示すため、政府の「働き方改革実現会議」において「同一労働同一賃金ガイドライン案」が策定されました。

このガイドラインにより同一労働同一賃金の原則を導入することで、正規社員と非正規社員の待遇差を解消し、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにすることが目的とされています。

 

「同一労働同一賃金ガイドライン案」の概要

ガイドライン案では、(1)基本給、(2)手当、(3)福利厚生、(4)その他(教育訓練・安全管理)の4項目について、どのような待遇差のつけ方が不合理なものであるか等を、具体例を交えながら示しています。

 

(1)基本給

基本給について、以下の4通りの場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の条件の有期雇用労働者またはパートタイム労働者に対しては、その部分について同一の支給をしなければならないとされています。

 

・労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合

・労働者の業績・成果に応じて支給しようとする場合

・労働者の勤続年数に応じて支給しようとする場合

・昇給について、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合

 

<問題となる例>

基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給している企業において、無期雇用フルタイム労働者Xが有期雇用労働者Yに比べて多くの職業経験を有することを理由として、XにYよりも多額の支給をしているものの、Xのこれまでの職業経験が現在の業務と関連性のないものである時、この待遇差は不合理であり問題であるとされます。

 

(2)手当

以下のような手当については、無期雇用フルタイム労働者と同一の条件の有期雇用労働者またはパートタイム労働者に対して、同一の支給をしなければならないとされています。

 

・賞与について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合

・役職手当について、役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合

・業務の危険度または作業環境に応じて支給される特殊作業手当

・交替制勤務など勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当

・精皆勤手当

・時間外労働手当

・深夜・休日労働手当

・通勤手当・出張旅費

・勤務時間内に食事時間が挟まれている労働者に対する食費の負担補助として支給する食事手当

・単身赴任手当

・特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する地域手当

 

<問題となる例>

例えば以下のような場合には、待遇差が不合理であり問題であるとされます。

 

・無期雇用フルタイム労働者には職務内容や貢献度にかかわらず全員に賞与を支給しているが、有期雇用労働者またはパートタイム労働者には賞与を支給していない場合

・無期雇用フルタイム労働者であるXと同じ時間、深夜・休日労働を行ったパートタイム労働者であるYについて、深夜・休日労働手当の単価をフルタイム労働者より低くしている場合

・無期雇用フルタイム労働者であるXには高額の食事手当を支給し、有期雇用労働者であるYには低額の食事手当を支給している場合

 

(3)福利厚生

以下のような福利厚生については、無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者またはパートタイム労働者に同一の待遇が必要であるとされています。

 

・福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)

・転勤者用社宅

・慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障

・病気休職

・法定外年休・休暇(慶弔休暇を除く)について、勤続期間に応じて認めている場合

 

(4)その他

教育訓練について、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施しようとする場合には、無期雇用フルタイム労働者と同一の職務内容である有期雇用労働者またはパートタイム労働者に対して、同一の実施が必要であるとされています。

また、安全管理に関する措置や給付について、無期雇用フルタイム労働者と同一の業務環境に置かれている有期雇用労働者またはパートタイム労働者に対して、同一の措置・給付が必要であるとされています。

 

非正規社員の待遇改善に向けて

今後、正規社員と非正規社員の間の待遇差を改善するため法改正に向けた検討が行われる予定となっており、今回のガイドライン案は、改正法案についての国会審議等を踏まえて最終的に確定されることとなっています。

したがって、同一労働同一賃金ガイドラインが施行されるのはしばらく先のこととなりますが、正規社員と非正規社員間の待遇格差の是正という方針が変わることはないことから、今のうちから非正規社員の待遇改善に向けた取組を行うことが大切だといえます。

非正規社員の待遇を改善していくためには、各企業において賃金等の待遇の決定方法を客観化し、透明性のある形で提示できるようにしていくことが重要です。賃金表を整備し、社員に説明を果たすなどにより、待遇決定の納得性を高めていくことが求められます。

また、職務や期待される役割によって等級を区分して社員を格付け、等級ごとに待遇等を決定する「職務等級制度」や「役割等級制度」は、同一労働同一賃金に資するものであるといえるでしょう。

このように、雇用形態に関わらず、社員の職務や能力等を反映した賃金制度や処遇体系を構築することが重要であり、各企業においては積極的な取組が求められます。

 

・知っておきたい!総務用語「役割等級制度」

https://www.somu-lier.jp/glossary/role-grade-system/

 

 

まとめ

今後、政府は非正規社員の待遇改善のために積極的な取組を進めていくこととしており、各企業においても賃金制度等の見直しが求められることが予想されます。

また、賃金だけでなく、キャリア形成や能力開発などを含めて非正規社員の待遇改善を行っていくことは、労働力の確保や生産性の向上に寄与することから、企業にとっても大きなメリットがあるといえるでしょう。

この機会に、自社の非正規社員の待遇は合理的なものであるかどうか、見直してみてはいかがでしょうか。

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