年に1度の重大イベント!「定時株主総会」の運営方法、徹底解説!

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公開日:2017.3.8

株主総会

多くの株式会社は、決算後3ヶ月以内に定時株主総会を開催します。定時株主総会では、計算書類の承認決議や事業報告等を行いますが、初めて定時株主総会を開催するという場合、招集手続きや運営方法についてよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、定時株主総会の運営方法や必要な手続き、スケジュールについて解説します。

 

定時株主総会とは

会社法では、定時株主総会について、下記の事項を定めています。

  • 定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない
  • 計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない
  • 取締役は、事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない

 

すなわち、定時株主総会は、すべての株式会社において毎年少なくとも1回必ず開催され、そこでは計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書等)の承認や、取締役による事業報告が行われます。

 

定時株主総会の開催時期

会社法では、定時株主総会の開催時期について明確に定めていませんが、多くの企業では事業年度終了後3ヶ月以内に定時株主総会を開催します。これには、定時株主総会の「基準日」が深く関わっています。

会社法の規定により、株式会社は、一定の日を「基準日」と定め、基準日において株主名簿に記載されている株主(基準日株主)を、その権利を行使することができる者と定めることができます。そして、定時株主総会では当該事業年度の事業報告をしなければならないことから、多くの企業は定時株主総会の基準日を「事業年度の最終日」と定めています。

基準日株主の権利行使は基準日から3ヶ月以内に行わなければならないことから、定時株主総会の基準日を事業年度の最終日と定めている企業では、事業年度終了後3ヶ月以内に定時株主総会を開催することになるのです。

 

定時株主総会の開催準備(必要書類の作成・備置き)

定時株主総会の開催前に、計算書類や事業報告等の必要書類を作成しなければいけません。また、作成した計算書類等は、定時株主総会開催日前後の一定期間、会社の本店に備え置いておく必要があります。

このとき、取締役会の設置の有無によって必要な手続きや備置き期間が異なることに注意が必要です。

 

取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社の場合、計算書類や事業報告等について、定時株主総会の開催前に監査役の監査を受け、取締役会の承認を受けることが必要です。また、計算書類等は、定時株主総会の日の2週間前の日から5年間、本店に備え置かなければなりません。

 

取締役会非設置会社の場合

取締役会非設置会社の場合は、計算書類や事業報告等の必要書類を作成するだけでよく、事前の手続きは必要ありません。計算書類等は、定時株主総会の1週間前の日から5年間、本店に備え置くことが必要です。

 

定時株主総会の招集手続き

定時株主総会を開催するにあたっては、「招集の決定」や「招集の通知」といった招集手続きが必要です。

 

招集の決定

株主総会を招集する場合は、株主総会の日時および場所、株主総会の目的事項等について決定することが必要です。この招集の決定は、取締役会設置会社の場合は取締役会の決議により、取締役非設置会社の場合は取締役の決定により行います。

 

招集の通知

株主総会を招集するには、公開会社の場合は株主総会の日の2週間前までに、非公開会社の場合は株主総会の1週間前までに、株主に対してその通知を発しなければなりません。ただし、取締役会非設置会社の場合は、定款により1週間よりも短い期間を設定することも可能です。

取締役会設置会社の場合、招集通知は原則として書面で送付しなければなりません。その際、監査役の監査および取締役会の承認を受けた計算書類等を提供することも必要です。

取締役会非設置会社の場合は、招集通知の書面送付は義務づけられていないため、任意の方法で招集することができます。

なお、取締役会の設置の有無に関わらず、株主全員の同意がある場合は、招集手続きを省略することも可能です。

 

定時株主総会の決議方法

定時株主総会当日は、計算書類の承認等の決議を行います。決議には、普通決議・特別決議・特殊決議の3種類の方法があり、どの方法をとるかについては、決議事項の内容によって異なります。

 

普通決議

特別決議や特殊決議によることとされている事項以外の決議事項については、「普通決議」によって決議されます。計算書類等の承認は、普通決議事項です。

普通決議は、原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席する株主総会において、出席株主の有する議決権の過半数をもって決します。

 

特別決議

株式や新株予約権の募集事項の決定、資本金の額の減少、定款変更、組織再編等といった事項は、「特別決議」によって決議されます。

特別決議は、原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席する株主総会において、出席株主の有する議決権の3分の2以上をもって決します。

 

特殊決議

全部の株式について譲渡制限を付す定款変更を行う場合などは、「特殊決議」によって決議されます。

特殊決議は、原則として、議決権を行使できる株主の半数以上が出席する株主総会において、当該株主の議決権の3分の2以上をもって決します。

 

定時株主総会開催後の事務

定時株主総会開催後は、議事録の作成や決算公告等を行うことが必要です。

 

議事録の作成

株主総会の議事については、議事録を作成しなければなりません。議事録に記載する事項は会社法施行規則で定められており、株主総会の日時や場所、議事の結果、出席した取締役等の氏名、議長の氏名、議事録の作成を行った取締役の氏名等が挙げられます。

 

決算公告

株式会社は、定時株主総会の終結後、遅滞なく貸借対照表を公告しなければなりません。自社の定款で定められている公告の方法で、決算公告を行うようにしましょう。

 

 

まとめ

定時株主総会を運営するにあたっては、開催前から総会当日、開催後に至るまで、様々な準備や手続き等を行うことが必要です。また、法令で定められている事項も多いことから、不備のないよう進めていく必要があります。

定時株主総会の運営方法についてしっかりと理解し、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。

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