ピーターの法則とは?ピーターの法則のメカニズムと対策の方法について解説

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公開日:2024.1.19

ピーターの法則とは、組織の中で能力を発揮していた従業員が昇進によって無能化し、組織全体が無能な人材の集まりになってしまうというものです。階層がある組織では常に昇進先が待っており、従業員はいくら昇進したとしてもまた次の昇進を目指し、いつかは自分の能力が発揮されない階層まで達し無能化してしまうというのが、ピーターの法則のメカニズムです。ピーターの法則を回避するために、企業は昇進後のポストでその従業員が活躍できるかどうか、昇進前に評価する必要があります。

   

ピーターの法則とは

ピーターの法則は、教育学者ローレンス・J・ピーター教授とレイモンド・ハルの共著 「ピーターの法則―〈創造的〉無能のすすめ―」の中で提唱された概念です。この法則では、能力主義の階級社会において、有能な人が能力を発揮していたポストから自身の能力を超えた限界のポストまで昇進されることにより、組織全体が無能な人材の集まりに陥ると考えられています。
本書中において、ピーターは「創造的無能」を推奨しています。これは、最初から昇進の話が自分に来ないように行動することで、昇進を避けるというものです。昇進の候補に挙げられそうになっても、無能な人物を演じて昇進を戦略的に避けます。こうすることで、無能化することなく、自分の能力を発揮し続けられるのです。


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ピーターの法則のメカニズム

階層がある組織では、従業員は昇進するごとに次の昇進を目指し、いつかは自分の能力の及ばない階層まで達し能力を発揮できなくなるというのが、この法則のメカニズムです。多くの場合、「現職のポストで能力を発揮していたから」という理由で従業員を昇進させます。しかし、このシステムでは、その人物の適性が十分に検証されないまま組織内の上位ポストに押し上げることになります。
そのポストに適した能力を備えていないケースも少なくありません。安易に昇給を重ねた結果、職責を果たせない無能化した人材がそのポストに留まり、あらゆるポストが無能な人材によって占められ、組織全体が機能しなくなるのです。

     

ピーターの法則が組織に与える影響

生産性が低下する

本来の能力を発揮できない人材がそのまま同じポジションに留まれば、生産性の低下を引き起こします。例えば、営業スタッフとしてセールストークを得意とする従業員が、その成績を評価されて現場のスタッフを指導するマネージャーに昇進したとしましょう。しかし、「顧客へのアプローチ能力」と「マネジメント能力」は別物です。
すべての営業スタッフにマネジメント能力がないとは断言できませんが、マネジメント能力を持ち合わせていなければ、その従業員は昇進後に無能となる可能性が高いでしょう。このように、現職のポストで有能だからといって、昇進によって求められる能力が変われば人材は無能化してしまう場合があるのです。

このような無能化状態に陥った人材が増えれば、組織全体の生産性が低下することになります。

人事制度と給与体系が形骸化する

昇進した途端に無能化状態となっても、一度昇進した人材を降格させることはほとんどありません。そのため、そのポストに見合う職務を果たせなくても職能給や役職手当を受け取り続けます。そのような状態が続けば、人事制度や給与体系が実態を伴わない仕組みとなり、制度そのものが形骸化していくリスクが生じるのです。
また、さまざまなポストが無能化した人材で埋まっていくことで、若手が自分の能力より低いポストに留まることになり、有能な人材のモチベーション低下や離職を引き起こします。特に年功序列の制度が根強い日本企業では、この法則が起こりやすい傾向にあると言えるでしょう。

ピーターの法則が生じる原因

人事評価制度が適切に機能していない

この法則が生じる原因のひとつとして、人事評価制度が適切に機能していないケースが挙げられます。「役職に求められる適切な要件」が定義されていないことで、能力不足の人材を不適切に昇進させているのです。定量的な評価制度が確立していない企業では、目立ちやすいポジションにいる従業員や、上司と仲のいい従業員などが評価されやすく、能力にかかわらず昇進する傾向にあります。

一度昇進した従業員は、無能に陥ってもそのポストに留まり続ける

前述のように、一度昇進した従業員は無能に陥っても降格されることはほとんどなく、そのポストに留まり続けます。降格のリスクがないことから、新たなスキルを習得したり、業務の改革を図ったりするといった努力をしなくなり、無能化してしまうのです。その結果、無能化した上司がいつまでもそのポストに居座り、組織に悪影響を及ぼすことになります。

     

ピーターの法則を回避する対策方法

人事評価の基準を見直す

最も効果的な対策は、ポストごとに定量的な人事評価の基準を確立することです。まずは年功序列的な昇進制度を見直し、従業員一人ひとりの特性を見極められる評価基準を整備する必要があります。その基準に基づいて昇進させるべきかどうかを判断すれば無能力化を予防できるでしょう。

昇進前に教育や研修の場を設ける

特定の人材を昇給させる前に、資格取得を会社で支援したり、社内で研修会を開いたりするなどして、ポストに必要なスキルや知見を習得できる機会を設けることも有効な対策方法です。ポストへの就任自体に満足して無能化に陥らないためにも、積極的に自己研鑽に励む従業員を会社が評価する体制づくりも重要となります。

降格条件を定めておく

降格条件を明確に定めたうえでの昇進であれば、昇進後に十分な能力を発揮できなくても降格させられます。新たなポストに慣れるまでは十分な能力を発揮できないことも少なくないでしょう。自社内で猶予期間を設け、その期間を経ても能力不足と判断される場合は降格を検討します。降格を実行する際は、ただ降格させるのではなく、今後のキャリアプランやポスト復帰の条件を併せて提示することが大切です。

     

まとめ

今回は、ピーターの法則の概要や対策方法について解説しました。有能な人材であっても、昇給して求められる能力が変われば十分な能力を発揮できるとは限りません。昇給後のポストに必要な能力が備わっていなければ無能化した状態でその地位に居座り続けることになります。この法則を防ぐためにも、人事評価の基準を見直す、昇進前に教育や研修を実施する、降格条件を定めておく、といった対策を講じておきましょ

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