プレミアムフライデーは大失敗? 制度導入で見えた課題とは

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公開日:2018.2.2

平成29年は、月末の金曜に15時退社を奨励することでライフスタイルの変化を目指したプレミアムフライデーが話題となりました。しかしながらプレミアムフライデー導入後には、ホワイトな企業とそうでない企業が二極化されるなど、様々な課題が明らかになったと言われています。今回はそんなプレミアムフライデー制度の目的を再確認した上で、今後解決すべき制度面の課題について解説します。

プレミアムフライデー制度とは?

この1年でよく耳にするようになったプレミアムフライデー。まずは制度の目的や内容についておさらいしましょう。

プレミアムフライデーの概要

プレミアムフライデー制度とは、経済産業省と財界が主導となって2017年に始まった制度です。その名の通り、「毎月月末金曜日をいつもよりも豊か(プレミアム)に過ごそう」というコンセプトの取り組みとなっています。官民連携で結成された「プレミアムフライデー推進協議会」という組織が普及活動を行っており、多くの方が生活の豊かさを感じられるように商品やサービス、イベント等が様々な地域や企業等で検討・実施されています。

プレミアムフライデーの目的

経済産業省によると、プレミアムフライデー制度は、個人が幸せや楽しさを感じられる体験(買物や家族との外食、観光等)や、そのための時間を創出することで、以下のような効果を得ることができます。

  • 充実感・満足感を実感できる生活スタイルの変革への機会になる
  • 地域等のコミュニティ機能強化や一体感の醸成につながる
  • デフレ的傾向を変えていくきっかけとなる

プレミアムフライデー制度は、人々の働き方およびライフスタイルの改革や、経済の活性化に向けた取り組みといえるしょう。

プレミアムフライデーの現状

プレミアムフライデー推進協議会の調査によると、約9割の方が知っているという高い認知度を現状では保っています。また、早期退社に取り組んでいる企業数も増加しているとされます。経済面では、同協議会による企業へのアンケート調査の結果、プレミアムフライデーのイベントやキャンペーンを実施して売り上げが増加したと回答した企業は55%に上り、経済効果が読み取れる結果となりました。

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現状の課題

しかしながら、果たして本当に想定されていた通りにプレミアムフライデーの効果は現れているのでしょうか。現在プレミアムフライデー制度には、以下のような課題があると指摘されています。

日程上の問題

プレミアムフライデーを積極的に利用し、普段よりも早めに退社できる「ホワイト」な企業がある一方で、そうでない企業の二極化が発生しています。月末が忙しい時期である企業にとっては、「月末金曜日の15時に退社」を推奨する取り組みは実現性が低いとみなされてしまいます。また職場環境は企業によって異なるため、「自分は早く退社できないが、他の企業の社員は早く退社している」という状況が発生し、プレミアムフライデーによる恩恵を受けられない企業の社員のモチベーション低下へ繋がりかねません。

他の日の負担が増加

普段よりも数時間早く退社するとなると、その分の業務を他の日に回さないといけない場合も出てきます。そのため、プレミアムフライデーを導入することで他の日に仕事量が増加して、退社時刻が遅くなってしまう場合もあります。従って、プレミアムフライデーを導入する際には、他の日に追加される仕事や労働時間のバランスを調整する工夫が必要です。

参加できる業種が限られている

プレミアムフライデーによって早い時間帯に退社できる業種は、実質的にこの制度の性質によって限られています。特に、消費活動の受け皿になっている小売業や飲食業といった産業の従事者は繫盛期であるため、早く退社することが困難になっています。このように業種による偏りが大きいため、制度としての参加性を高めることが今後の課題となっています。

満足度が総じて高くない

プレミアムフライデーの社会的な認知度は高いものの、満足度までもが同様に高いとは必ずしも言えません。プレミアムフライデー推奨協議会が行った2,000人規模のアンケートでは、59%あまりの人が「普段の週末には出来ない過ごし方」は出来なかったと回答しています。官民一体となって推奨しているものの、制度としての目的である「人々が生活の豊かさを感じられる」社会の形成の実現は依然として課題として残っています。

地方への定着・拡大

現状では主に東京などの都心部の企業を中心にプレミアムフライデーの導入やプロモーションがなされています。そのため、波及効果が及ばない地方も多々あります。プレミアムフライデーの地方への普及は課題となっており、最近では地方自治体が主体となったイベントやキャンペーンも行われています。

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課題解決に向けて

プレミアムフライデー制度以外にも働き方改革を目的とした取り組みは行われており、プレミアムフライデー制度の課題である開催日程の都合などの問題を乗り越えようという試みがなされています。以下、2つの取り組み例を紹介します。

振替プレミアムフライデー制度

振替プレミアムフライデー制度は、プレミアムフライデー推進協議会が「今後のプレミアムフライデーの実施方針」として推奨している制度です。従来のような「月末金曜日の15時に退社」に限らず、職場や地域、個人の実情に応じて仕事を早く切り上げる日を決めるという内容になっています。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、個人で勤務時間を柔軟に設定できる制度です。ソフトバンクでは、プレミアムフライデーに加えて1日単位で勤務時間を変更できる1万人規模のスーパーフレックスタイム制を導入しています。社内アンケートによると、社員の業務生産性や働き方の向上が見られたとされています。

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まとめ

働き方の改革や経済の活性化を目的としたプレミアムフライデー制度。昨年から官民一体となって推進しており、消費拡大への貢献はみられますが、導入している企業数は増えているもののその割合は依然として低く、制度面でも様々な課題が残っています。また、実際に導入するにあたっては、普段よりも社員の帰宅時間が早まるため、マネージメントにおける工夫が必要となります。働き方改革は政府の一大プロジェクトとして行われているため、今後もプレミアムフライデーの展開や新たな取り組みに注目していきましょう。

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