労働者にも企業にもメリット!社内預金制度とは?

カテゴリ:クローズアップ 投稿日: 2017.2.21 tag: , , ,

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労働基準法では、企業が労働者の委託を受けて企業内で貯蓄金を管理する「社内預金」の制度を設けています。

社内預金制度は、労働者にとっては高い金利を得られるというメリットが、企業にとっては預金を設備投資や運転資金に回せるといったメリットがありますが、導入にあたっては労使協定の締結や保全措置の確保など一定の条件が必要です。

今回は、社内預金制度の概要や導入方法について解説します。

 

社内預金制度とは

労働基準法では、企業が労働契約に付随して強制的に労働者の貯蓄金を管理する契約(いわゆる「強制貯金」)を行うことを禁止しています。一方、労働者が企業に対して任意に委託する場合には、一定の条件のもとに企業が労働者の貯蓄金を管理することを認めており、これを社内預金制度といいます。

 

社内預金制度のメリット

労働者にとってのメリット

一般的な銀行の定期預金に比べて金利が高い

労働基準法では、企業が社内預金制度を設けて労働者の預金を受け入れる場合には、利子をつけなければならないことを定めています。この利子は、厚生労働省令で定める利率(下限利率)以上で設定することが必要であり、2017年2月現在の下限利率は0.5%とされています(金利は毎年見直しが行われます)。

2017年2月現在、大手銀行の定期預金の利率は0.01%程度であるため、銀行の定期預金と比べ、社内預金は金利が高いといえます。

 

引き出しが自由である

労働基準法では、労働者が貯蓄金の返還を請求したときには、遅滞なく返還しなければならないことを定めています。預金を必要なときに自由に引き出せるという点は、社内預金制度の大きなメリットだといえます。

 

管理が楽である

社内預金の場合、給与から自動的に一定額が天引きされて貯蓄されます。毎月自ら口座を移し替えることなく貯金ができるため、管理に手間がかかりません。

 

企業にとってのメリット

労働者の福利厚生となる

社内預金は、労働者の福利厚生の一つとして活用できるため、人材確保や社員のモチベーション向上、定着率向上に役立ちます。

 

預金を運転資金等として活用できる

社内預金で預金された資金は、設備投資や事業の運転資金等として活用することが可能です。金融機関の融資審査を受けることなく、一般的な金融機関のビジネスローン金利よりも低い金利で資金が確保できるため、この点も大きなメリットだといえます。

 

社内預金制度の注意点

社内預金は、労働者の給与等が原資となることから、企業には預金の保全措置義務が課せられています。しかし、法律に違反して保全措置を講じていない企業が倒産し、破産や民事再生の手続きを採った場合、社内預金の貯蓄金は優先度の低い債権として扱われることとなります。この場合、労働者にとって、預けていた貯蓄金の全額を回収できなくなってしまう可能性が生じるため、この点には留意が必要です。

 

社内預金制度の導入にあたって必要な事項

社内預金制度を導入するにあたっては、下記の事項を満たすことが必要です。

 

労使協定の締結

社内預金制度を導入するためには、まず、使用者と労働者との間で労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長へ届けなければなりません。

社内預金制度に関する労使協定としては、制度の対象者や預金限度額、預金に適用される利率や計算方法、制度利用時の手続き方法、預金の保全方法等を明記することが必要です。

 

貯蓄金の管理に関する規程の策定

次に、貯蓄金の管理に関する規程を策定し、社内に貼り出すことなどにより、労働者に周知徹底を図ることが必要です。

 

利子の付与

社内預金制度を設けて労働者からの預金を受け入れる場合、厚生労働省令で定める下限利率以上の利子を付けなければなりません。下限利率を下回る利率を労使協定で定めた場合は無効となり、下限利率を定めたものとみなされます。

 

貯蓄金の返還

労働者が貯蓄金の返還を請求したときには、遅滞なく貯蓄金を返還しなければなりません。したがって、そのための資金を常時準備しておくようにしましょう。

 

預金の保全措置

毎年3月31日現在の受入預金額の金額について、その後1年間、保全措置を講じることが必要です。保全措置の方法としては、省令の規定により、①金融機関等による保証契約、②信託会社との信託契約、③質権または抵当権の設定、④預金保全委員会の設置のいずれかの方法によらなければならないことが定められています。自社で採用する保全措置の方法を決定し、労使協定に規定するようにしましょう。

 

預金の管理状況の報告

毎年4月30日までに、3月31日以前1年間における預金管理の状況を、「預金管理状況報告」により所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。なお、「預金管理状況報告」は、①貯蓄金に関する労使協定の内容が支社等において同一であること、②保全措置が支社等の預金につき本社において一括に講じられていること、などの要件を満たす場合、本社が支社の分も一括して報告できることとされています。

 

 

まとめ

社内預金制度は、労働者にとって福利厚生になるとともに、企業にとっては資金調達の一つの方法として活用できるため、双方にとってメリットのある制度だといえます。

一方で、社内預金は労働者の給与等の一部を社内で預かるものであることから、法令の定めに則り適切に管理することが必要です。

社内預金制度を導入する場合は、制度についてしっかりと理解したうえで、適切な措置を講じるようにしましょう。

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