シフト管理で働きやすい職場に!効果的な人員配置は経営にも好影響

公開日:2016.8.9

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24時間営業の職場など人手不足による長時間残業は、過労死などの問題を引き起こす要因の一つです。シフト管理は業務に必要な人員を配置するだけでなく、適切に行うことで社員にとって働きやすい労働環境を提供し、労働意欲を高め、生産性の向上などにも影響します。シフト管理の重要性とより簡単に行えるサービスをご紹介しましょう。

 

人手が足りない!恒常的な長時間勤務が引き起こす危険

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20代の若さで飲食店の店長となったある男性は、自ら命を絶ちました。この男性の時間外労働は200時間超の月もあるなど、店長として連日、長時間労働をしていたそうです。遺族の起こした裁判では企業側の責任を認める判決が出され、後に労災認定もされています。このように若年層が長時間勤務や過大なプレッシャーの中で働き続けた末、脳梗塞や心不全などによる過労死、あるいは、うつ病にかかり自殺で亡くなる人も少なくありません。

  • 労災の認定数にみる「KAROSHI」

厚生労働省が発表している平成27年度の労災の認定件数をみてみましょう。脳や心臓の疾患で労災と認定されたのは251人で、そのうち亡くなった方は96人でした。もっとも多い年代は40代(39人)、次に多いのは50代(32人)ですが、30代(15人)や20代(3人)の方も含まれています。

精神障害で労災認定された人は472人、うち93人が自殺を図った(未遂を含む)とされています。自殺を図った人を年齢別にみると、20代が14人、30代は22人で20代と30代でおよそ4割を占めていました。

最近では、「KAROSHI」と英語表記がされるほど日本人の長時間労働による過労死は有名なようです。脳や心臓の疾患だけでなく、精神障害による自殺を防ぐには管理・監督者の労働時間の把握も含めて適正な勤怠管理、シフト管理が必要になります。

 

過労死を防ぐ!法律遵守の必要性をしっかり押さえる!

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  • 適正な勤怠管理で長時間労働を削減!

管理・監督者には時間外や休日の労働に対する割増賃金も必要なく、一般の社員のように1日の労働時間の縛りもありません。しかし、店長といっても「名ばかり管理職」で実際には管理・監督者の要件を満たしておらず、労働基準監督署の監督において是正勧告されるケースが多いことが知られています。自社の管理・監督者が法律上の要件を満たしているのかという点にも十分に注意しましょう。また、労働時間を把握するだけでなく、深夜労働に対する割増賃金を適正に支払うことも重要です。

 

厚生労働省は長時間労働や過酷な勤務環境によって引き起こされる過重労働を削減することを最重要課題として取り組んでいます。「過重労働による健康障害防止のための総合対策」の策定や過重労働撲滅特別対策班の設置などにより、事業場に対する長時間労働削減の推進だけでなく取り締まりも強化しています。

 

  • 頻発するシフト変更にも迅速な対応が必要

また、シフト勤務の場合、急なシフト変更はできるだけ避けたいことですが、どうしても避けられないことです。すると、シフトを埋める苦労だけでなく、シフト変更に伴い割増賃金や休日について適切な対応ができてなかったという事態が起こりやすくなります。時間外労働については、1週間の合計時間数が40時間超であれば割増賃金が発生し、1か月60時間超の部分は割増率が50%になりますので注意してください。

 

割増賃金を適正に支払うにも、長時間労働を防ぐためにも、シフトの変更を反映した勤怠状況をできるだけ早く把握する必要があります。しかし、シフト変更の多い職場では、手集計では手間や時間がかかり、ミスのないように確認作業も増えるため担当者の負担が大きくなりがちです。自社で行っているシフト管理の方法が適切なのか、効率の面なども含め一度、検討するとよいでしょう。

過重労働による健康障害防止のための総合対策について

 

離職率にも影響!社員はシフト希望が通るかにも敏感?

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  • シフト希望が通るか?管理者への不満にも影響

シフト管理と離職率が関係するのかと不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。その理由について、シフト申請をした社員の側からみたシフト管理について考えてみましょう。

シフト勤務の中には4組3交替などのパターン化されたケースと、一人ひとりの夜勤のリズムが異なるケースがあります。パターン化している勤務でも、休みを取りたいと希望したときに休めるかどうかは気になるものです。

しかし、一人ひとり異なるリズムで勤務する職場では、シフト表が発表されると社員はどんなシフトになったかが気になって仕方ないようです。夜勤が何回あるのか、きつい勤務パターンになっていないか、また、休みが希望通りになったかなどが気になります。その中では、他の社員と比較して「自分だけ、きついシフトになっている」「自分ばかり、急な変更を頼まれる」と被害的な気持ちや不満感が募ることも少なくないようです。特に、シフト管理者との関係が日頃からよくない社員の場合は不満を持ちやすく、シフト表が発表されるたびに過敏に反応することもあります。

シフトの組み方が直接の離職理由ではないにしても、管理者が自分に対してどのような配慮をしてくれるのかを社員は感じ取っていることは否定できません。もちろん、社員全員が100%満足のいくシフトにするのは不可能でしょう。しかし、離職者の中には欠員などの影響できつい勤務が続いて体調不良となった、無理難題ばかりでこちらの希望は通らない、配慮のない管理者に嫌気が差したという人もいます。

 

  • 管理者も頑張っているが報われない?

できるだけ社員に無理がないように苦労してシフトを組んでも気づいてもらえず、きついシフトが続いたときだけ不満を訴えられると、管理者もがっかりすることがあるでしょう。一方、必要な人数を埋めることに必死で配慮どころではない、という声も聞こえてきそうです。確かに、管理者も気苦労が多いことでしょう。

しかし、シフト管理者としては、社員が働きやすい環境を整えることは大切な役割です。社員のシフトに対する不満は管理者への批判や「少しでも楽に働きたい」ということではなく、「負担が大きいので働きやすくしてほしい」という要望なのではないでしょうか。

 

適切なシフト管理で働きやすく生産性が高まる職場に!

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  • シフトへの不満があったら改善の契機に!

社員が「夜勤が多くて大変」というときには、体力的に負担が大きいのか、ストレスが強く心理的に辛い状態なのかなど、社員が感じている大変さを気にかけるようにしましょう。「不満ばかり言う」と片付けてしまわず、このような機会には業務が特定の人に偏っていないか、頼みやすい人ばかりに変更を頼み無理をさせていないかなどを点検してください。

また、不満をいう人に対し、「面倒だな」などの感情は言葉にしなくても、言葉のイントネーションや表情、態度などに現れてしまうことがあります。多くの場合、その人の本音は、言葉よりも感情の方に現れやすいので注意しましょう。

ところで、シフト作成の内容を考えると、配置の工夫など頭を使う部分とシフトを機械的に組んでいく作業の部分があります。シフト管理が行える勤怠管理システムを使うことで時間も手間も削減できれば、効果的なシフトの組み方や職場改善の方に時間や労力をじっくり使うことができるでしょう。

 

  • 注意!不満を口にできない人にも十分な配慮を

シフト管理に限りませんが、不満があっても口に出せずに黙々と働いている社員もいます。大切なのは、その人たちへの気遣いを忘れないことです。とかく、不満を口にする人に対しては訴えを鎮めるために対応しますが、おとなしい人には気が回らない、対応が後回しになっているということはありませんか。

表現が乏しい人は不満があるのかどうかもわかりにくいことがあります。しかし、不満を口にせず働いている社員にも労いや感謝の気持ちなどを具体的に伝えることが大切です。企業にとって必要な人材が離職してしまうことがないように、できることから実践して働きやすい職場にしましょう。

 

  • 普段から社員を気にかける!違いに気づき早期対応を

勤怠管理をすることで遅刻や急な休みが多い人に早く気づくことができます。何らかの体調不良があり、勤怠に乱れが生じているのであれば受診を勧めるなど、遅刻や急なシフト変更が続いている人を黙認せずに対処することが大切です。

また、勤怠のデータだけでなく、日頃から社員のことを気にかけていると普段と異なる様子に気づきやすく、早めの対応につながります。社員の休職はご本人の辛さだけでなく、職場にとっても大きなダメージとなるものです。欠員状態で残った社員の勤務がより一層、きつくなるといった悪循環を起こし、生産性の低下を招くことがないようにしましょう。

 

まとめ

シフト勤務の職場では休み希望が重なったり、急病などで欠員が生じたりすると必要な人数を配置するのはシフト管理者にとって頭の痛いことです。また、社員の健康を守る上で、さらに、法律に則った適切な対応をするには勤怠管理システムなどを利用して労働時間を的確に把握することも必要となります。勤怠管理システムの導入を通して適正な人員配置にすることで社員が働きやすく、しかも経営にもよい影響を与えることになるでしょう。

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