リスキリングとは?リスキリングが注目される背景とメリットについて解説

公開日:2023.12.13

リスキリングとは、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、業務において必要なスキルを新たに獲得することを指します。DX推進のためには、デジタルやコンピュータなどに特化した人材が必要です。そこで、デジタル人材を社内で育成するための手段としてリスキリングが注目を集めています。リスキリングによるデジタル人材の育成によって、新たな技術を開発し、業務フローの改善や正確なデータ分析といった業務の効率化を図ることが可能になります。

 

リスキリングとは?

変化に適応するため必要な知識や技術を習得すること

リスキリング(reskilling)とは、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)を始めとした、第4次産業革命に伴う社会の変化に対応するため、業務に必要な知識や技術を学び直すことです。デジタルやコンピュータに関するスキルを中心に、マーケティングやマネジメントなどその内容は多岐にわたります。目まぐるしく変化する社会経済環境に対応する手段として、近年注目を集めているワードがリスキリングです。

リカレント教育やアンラーニングとの違い

リカレント教育(recurrent education)とは、学校教育を修了した社会人が学び直し、仕事で必要な知識や技術を習得するために教育と就労のサイクルを繰り返すことです。一方アンラーニング(unlearning)は、今まで習得した知識や技術のうち不要なものを捨てて、代わりに新たなスキルを学び直すことを指します。自己実現に向けて生涯にわたって学習し続けるリカレント教育に対し、陳腐化したスキルを捨てることに重きを置いているのがアンラーニングです。どちらも学び直しを意味するワードですが、変化をキャッチアップし職業上の価値を創造し続けるため、必要なスキルを習得することに重きを置いたリスキリングとは観点が異なります。

リスキリングが注目を集める背景

リスキリングが注目を集める最も大きな理由は、第4次産業革命に伴うDXの推進です。あらゆるコト・モノがDX化される第4次産業革命では、ワークフローが大幅に変化し、従来の知識や技術が通用しなくなることが予想されています。単純作業はAIやロボットが代替するため、多くの人材が職を失うかもしれません。人間にはAIやロボットでは代替できない、より高度で知的な労働が求められるようになります。そのような環境下で、新たな価値を生み出すスキルを習得するのがリスキリングの目的です。

 

リスキリングがもたらすメリット

人材不足への対応と採用コストの削減

少子高齢化の進行に伴い、人材不足は深刻な社会問題となっています。なかでも、デジタルやコンピュータの技術を持った高度IT人材の確保は喫緊の課題です。企業活動のDX化に伴い、システムエンジニアやプログラマーといったIT関連部門だけでなく、総務や経理、営業などあらゆる部署・部門でITの知識が求められるようになります。リスキリングを奨励することで、自社内でデジタル人材を確保できることは大きなメリットです。また、社員に対しリスキリングを実施すれば、高度な知識や技術を有したデジタル人材を外部から確保する採用コストも抑えられます。

生産性の向上

リスキリングによって新たに知識や技術を習得すると、仕事の質や効率が向上します。例えば、新たなITツールやIoT機器のスキルを習得すれば、作業をオートメーション化できるため、既存業務の大幅な効率化が可能です。ロボットやAIはミスすることもないため、ヒューマンエラーを防止し仕事の質も向上します。テクノロジーを利用することで生産性が大幅に向上することは、リスキリングの大きなメリットです。従来人間が行っていた単純作業をロボットやAIに代替することで、人間はより高度で知的な業務に集中できます。

エンゲージメントの向上

企業がリスキリングを推奨し、社員に投資する姿勢を示すことで、従業員のエンゲージメントは大幅に向上します。従業員エンゲージメントは、社員が持つ企業に対する愛着と言い換えることも可能です。企業に愛着を持った従業員はモチベーションが向上するため、仕事の質や生産性も向上します。さらに、質の高い仕事は顧客のエンゲージメントを高めるのが一般的です。リスキリングによって仕事の質が向上することで顧客エンゲージメントが高まり、最終的には企業価値の向上にもつながります。

 

リスキリングを推進する3つのステップ

ステップ1:事業戦略に基づき人材像を設定する

まずは企業が推進する事業戦略と、不足している知識や技術を明確化しましょう。事業戦略の推進によって生じる変化を想定し、必要となるスキルを具体的にイメージすることが大切です。必要なスキルが明確になったら、習得の難易度や必要となる人材の規模感を確認し、人材を確保する方法を検討します。事業戦略に基づき人材像を設定することは、不確定要素も多く困難を伴いますが、必要なスキルや難易度、規模感をなるべく具体化することが重要です。

ステップ2:教育プログラムやコンテンツを決定する

求める人材像を設定できたら、事業戦略を推進し企業課題を解決するために最適な教育プログラムやコンテンツを決定しましょう。リスキリングの方法としては、集合研修やオンライン講座、資格予備校、ビジネススクールなどが挙げられます。自社内で研修等を実施するのが難しい場合は、アウトソースし社外研修などを利用するのも一つの方法です。幅広い従業員を対象にリスキリングを実施する場合は、一回限りの単一プログラムではなく、習得させたいスキルに合わせて複数コンテンツを組み合わせる方法も一般的となっています。

ステップ3:リスキリングに取り組み業務で実践する

必要なスキルを明確化し最適な教育プログラムやコンテンツを決定したら、実際に研修を実施しましょう。対象の社員とは定期的に面談を行い、研修の進捗状況やキャリアの意向などを確認してください。また、業務と並行して研修を受ける社員は負荷が高くなるため、健康に影響を及ぼしていないか確認することも大切です。研修終了後は、獲得したスキルを実践できるよう業務内容に配慮し、全社的にサポートしましょう。研修は受けたら終了ではなく、業務で実践し、必要に応じてフィードバックを受け、改善し続けることが重要です。

 

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まとめ

今回はリスキリングについて解説しました。リスキリングとは、DX化などに伴う社会の変化に対応するため、業務に必要な知識や技術を学び直すことです。第4次産業革命によって社会経済環境が大きく変化するなか、職業上の価値を創造し続けるために必要なスキルを習得するリスキリングが注目を集めています。リスキリングは人材不足への対応や生産性の向上など、メリットの多い取り組みです。記事の後半でご紹介した3つのステップを参考に、有用性の高いリスキリングを推進しましょう。

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