非正規雇用労働者の雇用対策を推進!「正社員転換・待遇改善実現プラン」とは?

カテゴリ:総務のおいしい話 投稿日: 2016.12.28 tag: ,

2d444114ce861e0611f71dbf717a0f22_s

2016年1月、厚生労働省は「正社員転換・待遇改善実現プラン」を発表しました。このプランは、非正規雇用労働者の労働環境や雇用形態等について長期的な改善を図るためのものであり、企業においてもそれに対応した取組が求められます。

今回は、正社員転換・待遇改善実現プランの内容や、非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善のために企業に求められる対応について解説します。

 

正社員転換・待遇改善実現プランとは

「正社員転換・待遇改善実現プラン」は、非正規雇用労働者の正社員転換および待遇改善を加速させるため、厚生労働大臣を本部長とする「正社員転換・待遇改善実現本部」において策定された計画です。

非正規雇用労働者の数は1994年以降現在まで緩やかに増加しており、現在では雇用者全体の約4割を占めていますが、非正規雇用については、正規雇用と比べて雇用が不安定・賃金が低い・能力開発の機会が少ないといった課題があります。

また、不本意ながらも非正規雇用として働く「不本意非正規雇用労働者」が、若年層や派遣社員・契約社員を中心に相当数存在することも課題となっています。

このような状況を踏まえ、非正規雇用労働者の希望や意欲・能力に応じた正社員転換・待遇改善を図っていくことで、雇用の質や生産性の向上に寄与していくため、「正社員転換・待遇改善実現プラン」が策定されました。

このプランは、2016年4月から2021年3月の5か年を計画期間として実施されます。また、プランの着実かつ効果的な推進を図るため、その進捗状況を毎年把握して公表することとされています。

 

正社員転換・待遇改善実現プランの内容

プランの具体的な内容は、正社員転換等についてと待遇改善についての2点に大別されます。また、各項目について、具体的な数値目標が設定されています。

 

(1)正社員転換等について

①不本意非正規雇用労働者の正社員転換等

不本意非正規雇用労働者は減少傾向にあるものの、2014年には18.1%と依然として一定数存在しています。不本意非正規雇用労働者を減少させることは、喫緊に取り組むべき重要な課題です。

◯目標

■ 不本意非正規雇用労働者の割合(全体平均):10%以下(2014年平均:18.1%)

■ 若年層の不本意非正規雇用労働者の割合:現状から半減(2014 年平均:(25-34 歳)28.4%)

■ 派遣社員・契約社員の不本意非正規雇用労働者の割合:それぞれ現状から半減(2014年平均:(派遣社員)41.8%、(契約社員)34.4%)

■ ハローワークによる正社員就職・正社員転換数:450 万人(2016-2020年度累計)(2014年度:89 万人)

■ ハローワークにおける正社員求人数:2,125 万人(2016-2020年度累計)(2014年度:414 万人)

 

②対象者別の正社員転換等

若者等に係る取組

若者の雇用状況は、新規学卒者の就職内定率の改善が進む一方で、未就職のまま卒業する学生が存在するとともに、新規学卒者の離職率は卒業後3年で大卒者の約3割、高卒者の約4割となっています。また、若年層は他の年齢層よりも不本意非正規雇用労働者の割合が高くなっています。

次代を担う若者が、安定した雇用の中で職業能力を向上させることが重要です。

◯目標

■ 新規大学卒業者の正社員就職の割合:95%(2015年3月卒:92.2%)

■ 新規高校卒業者の正社員就職の割合:96%(2015年3月卒:94.1%)

■ 新規学卒者採用枠で既卒者を募集する企業の割合:80%(2015年調査:70%)

■ フリーター数:124 万人(ピーク時:217 万人(2003年))

■ 学卒者向け公共職業訓練の正社員就職率:90%(2014年度:83.1%)

■ ジョブ・カードを活用した有期実習型訓練の正社員就職率:80%(2014年度:73.2%)

 

派遣労働者に係る取組

派遣労働者は、不本意非正規雇用労働者の比率が他の雇用形態と比べてかなり高い傾向にあります。また、労働契約上の雇用主と業務の指揮命令を行う人が異なることによって、雇用主責任が不明確になりがちという特徴があることから、より一層の雇用の安定や保護などが求められます。

◯目標

■ 無期雇用派遣の増加:現状の比率から 10 パーセントポイント増(2012年:17.3%)

■ 紹介予定派遣の増加:全事業所数の 10%(2013年度:全事業所数の 7.6%)

 

有期契約労働者に係る取組

有期労働契約は、正規雇用以外の労働形態に多く見られる労働契約の形式です。通算5年を超えて有期労働契約を反復更新しているのは約3割であり、雇止めの解消が課題となっています。

◯目標

■ キャリアアップ助成金を活用して有期契約から正規雇用等に転換した労働者の数:15 万人(2016-2020年度累計)(2014年度:7,225人)

 

短時間労働者に係る取組

短時間労働者の中には、補助的な業務にとどまらず役職に就くなど職場で基幹的役割を果たす人も増えています。したがって、このような短時間労働者についても、希望に応じて正社員化を実現していく必要があります。

◯目標

■ 正社員へ転換した短時間労働者の数:500 万人(2016-2020年度累計)(現状:1年につき70万人(推計))

 

③「多様な正社員」の推進

非正規雇用労働者は雇用が不安定とされる一方で、「正社員的な働き方」については残業が多い、遠隔地への赴任等があるなどの課題が指摘されています。働き方の二極化を解消する観点から、「多様な正社員」の制度の普及を推進していくことが必要です。

◯目標

■ 短時間(勤務時間限定)正社員制度を導入している事業所の割合:29%(2014年10月現在:14.8%)

 

(2)待遇改善について

非正規雇用労働者の正社員転換は重要ですが、ワーク・ライフ・バランス等の観点から、自らの希望により非正規雇用で働くことを選択している人もいます。そうした人たちが将来への不安を抱えることのないよう環境整備をしていくことも重要な課題です

◯目標

■ 正社員と非正規雇用労働者の賃金格差の縮小を図る。

■ 社会保険が適用拡大される短時間労働者の数:60 万人

■ ユースエール認定企業の数:1,000 社(2014年度若者応援宣言企業:8,335 社)

■ 優良派遣事業者の数:500 社 (2014年度:85 社)

■ 均等・均衡待遇等に取り組み、「パートタイム労働者活躍企業宣言」を行った企業の数:180 社 (2015年12月現在:30社)

■ 職務分析・職務評価のコンサルティングを受けた事業所のうち、短時間労働者の均等・均衡待遇の実現のため賃金テーブルの改定等に取り組んだ事業所の割合:各年度において 80%(2014年度:約40%)

 

正社員転換・待遇改善のために企業に求められる取組

ここまで、正社員転換・待遇改善実現プランの目標を紹介してきました。これらの目標が設定された狙いとしては、「不本意非正規雇用労働者が正社員転換できるような環境整備を図ること」と「自らの希望による非正規雇用労働者についても、将来への不安が無いように環境整備を図ること」の2点があり、各企業においても、これらを実現するために積極的に取組を進めていくことが求められます。

以下では、企業に求められる具体的な取組について紹介します。

 

正社員雇用・正社員転換の積極的実施

新規学卒者として新しく雇い入れる人や、すでにパートやアルバイトとして雇っている人などを正社員として雇用することは、正社員転換・待遇改善実現プランに即した対応だといえます。

正社員として雇用するためには、労働者側にもある程度の技術が必要になってくることから、職業能力開発のための教育を社内で行い、労働者のスキルをボトムアップしていくことも有効な手段だといえるでしょう。

 

均等・均衡待遇の確保

雇用形態が異なっていても、同じ職務・職責においては適正な待遇を確保するという考え方は、様々な雇用形態が存在する近年の社会において極めて重要です。

また、このような考え方に加えて、非正規雇用労働者が育児休業・介護休業などを社内で取得しやすいような環境にしていくことも必要となります。

育児・介護休業法の改正により、2017年1月以降、パートや派遣社員、契約社員などの有期契約労働者が育児休業や介護休業を取得できる要件が緩和されます。法律の趣旨を踏まえ、適切な措置を講じることが大切です。

 

・【2017年1月~】育児・介護休業法が改正されます

https://www.somu-lier.jp/goodstory/child-care-family-care-leave/

 

関連法令の着実な実施

正社員転換・待遇改善実現プランには、労働に関する様々な法律が関係しています。これらの関連法令を熟知し、それに従った取組を行っていくことが大切です。

 

若者雇用促進法

若者雇用促進法では、若者の雇用促進を図るため、新卒者の募集を行う企業に対して職場情報を積極的に提供することなどを促しています。法律の趣旨を踏まえ、若者の雇用促進を図っていくことが重要です。

 

・【徹底解説】新卒者の求人には、固定残業代の表示が必要?|若者雇用促進法について

https://www.somu-lier.jp/column/youth-employment/

 

労働者派遣法

労働者派遣法では、派遣元に対して計画的な教育訓練や希望者へのキャリアコンサルティングを義務づけるとともに、派遣先への直接雇用の依頼等の雇用安定措置を講じることが定められています。また、派遣先についても、正社員の募集情報提供義務等が課せられています。法律の趣旨を踏まえ、派遣労働者の正社員転換を進めていくことが重要です。

 

・徹底解説! 労働者派遣法

https://www.somu-lier.jp/goodstory/worker-dispatching-act/

 

パートタイム労働法

パートタイム労働法では、パートタイム労働者から通常の労働者への転換を推進するため、通常の労働者を募集する場合に、既に雇っているパートタイム労働者に対してその募集内容を周知するなどの正社員転換推進措置を講じることが義務づけられています。法律の趣旨を踏まえ、パートタイム労働者の正社員化を実現していくことが重要です。

 

・徹底解説! パートタイム労働法

https://www.somu-lier.jp/goodstory/part-time-workers-act/

 

労働契約法

労働契約法では、同一の使用者との間で有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合に、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換する「無期労働契約への転換ルール」などが規定されています。法律の趣旨を踏まえ、有期契約労働者の無期雇用への転換を図っていくことが重要です。

 

・労働契約法改正!5年以上働くと無期労働契約が可能に

https://www.somu-lier.jp/column/column20120911/

 

 

まとめ

政府は、プランに従って正社員転換・待遇改善を強力に推し進めていくこととしており、各企業においても、プランに即した取組を進めることが期待されています。

非正規雇用労働者の正社員転換や待遇改善を進めていくことは、企業にとっても、企業イメージの向上や生産性の向上といったメリットがあります。ぜひこの機会に、積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

こちらも読まれています:

*somu-lier(ソムリエ)では書き手を募集しています。

この記事に関連する記事

【あしたのチーム総研レポート】なぜ人は会社を辞めるのか? 離職の原因は「給与と頑張りの連携がないこと」への不満か!? ~中小企業の人事に関する調査~

おしゃれに敏感な女性に! こだわり社員証ケース5選

【あしたのチーム総研レポート】サイバーエージェントの成長を10年間支え続ける人事評価制度の裏側を大公開!サイバーエージェント人事部長×あしたのチーム社長が特別対談

過重労働の予防は企業の義務!勤怠管理を通して予防を図る