職場のトラブル、解決してみませんか? ―個別労働紛争解決制度を活用しましょう!

カテゴリ:コラム 投稿日: 2017.5.15 tag:

解雇やパワハラなどの労働問題をめぐり、企業と労働者の間で個別労働紛争が生じることがあります。当事者双方の話し合いによる労働紛争の解決が難しい場合、都道府県労働局が整備する「個別労働紛争解決制度」を活用することで、早期解決を図ることができます。

今回は、個別労働紛争の解決のために利用できる制度の内容や、各制度の利用手続きについて解説します。

 

個別労働紛争解決制度とは

個別労動紛争解決制度は、労働条件等をめぐって個々の労働者と事業主との間で生じた個別労動紛争について実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とした制度であり、(1)総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談、(2)都道府県労働局長による助言・指導、(3)紛争調整委員会によるあっせん、という3つの紛争解決援助制度からなります。

個別労動紛争解決制度は、雇用形態の変化等に伴う個別労動紛争の増加を受けて2001年に制定された「個別労動関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、各都道府県労働局において整備されており、各制度はすべて無料で利用することができます。

個別労動紛争解決制度の利用は労働者・事業主どちらからでも可能であり、労働者がこの制度を利用したことを理由として事業主が労働者に対して不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています。

 

各制度の特徴と利用の流れ

個別労動紛争解決制度では、3つの紛争解決援助制度が用意されています。ここでは、各制度の特徴と利用の流れについて説明します。

 

(1)総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談

個別労働紛争の多くは、紛争当事者が法令を知らなかったり、誤解していたりすることにより生じることから、まずは当事者が労働問題に関する情報を入手したり、専門家に相談したりすることで、紛争の未然防止や早期解決を図ることが重要です。

このため、各都道府県労働局は、局内や労働基準監督署内に「総合労働相談コーナー」を設置し、専門の総合労動相談員による労働問題に関する情報提供や個別相談のサービスを実施しています。

 

対象となる紛争

解雇・配置転換・賃金の引き下げなどの労働条件、募集・採用、いじめ・嫌がらせなどの職場環境など、あらゆる分野の労動問題が相談の対象となります。

 

利用の流れ

個別労働紛争が発生し、当事者の話し合いによる解決が図れない場合、総合労働相談コーナーにおいて専門の相談員による情報提供や個別相談を受けることができます。

利用にあたって事前の予約は不要であり、総合労動相談センター内での面談もしくは電話によって情報提供や個別相談が行われます。

総合労動相談コーナーでは、相談者のプライバシーの保護に配慮して相談が行われます。また、相談内容によって女性相談員を希望する場合は、女性相談員のいるコーナーを利用することができます。

 

(2)都道府県労働局長による助言・指導

都道府県労働局長は、紛争当事者からの求めがあった場合、民事上の個別労働紛争について当事者に対して問題点を指摘し、解決の方向性を示すことができます。

この「都道府県労働局長による助言・指導」制度は、当事者間の話し合いによる自主的な解決を促すものであり、当事者になんらかの措置を強制するものではありません。

 

対象となる紛争

解雇・配置転換・昇進・労働条件の不利益変更などの労働条件、いじめ・嫌がらせなどの職場環境、労働契約、募集・採用、損害賠償などに関する個別労働紛争が、都道府県労働局長による助言・指導の対象となります。

 

対象とならない紛争

労働組合と事業主間の紛争や労働者と労働者の間の紛争、裁判中であるなど他の制度において取り扱われている紛争、当事者間で話し合いが進んでいる紛争などは、都道府県労働局長による助言・指導の対象にはなりません。

 

利用の流れ

(1)の総合労働相談コーナーにおいて助言・指導制度に関する説明を受けたのち、都道府県労働局長による助言・指導を希望する場合は、助言・指導の申出を行います。

都道府県労働局長は、紛争に関する事実関係を整理したうえで、法令や判例等に照らして問題点を指摘したり、解決の方向性を示したりすることにより、助言・指導を行います。

都道府県労働局長による助言・指導を受けても問題が解決しない場合は、他の紛争解決機関の説明・紹介を受けるか、(3)の紛争調整委員会によるあっせんへと移行します。

 

(3)紛争調整委員会によるあっせん

個別労動紛争について当事者から申請があり、都道府県労働局長が必要と認めた場合は、弁護士・大学教授・社会保険労務士など労働問題の専門家によって組織された「紛争調整委員会」が「あっせん」を行います。

紛争調整委員会によるあっせんでは、委員の中から指名される「あっせん委員」が、第三者として双方の主張の要点を確かめ、調整を行ったり話し合いを促進したりすることになどにより紛争解決を図ります。

あっせんの手続きは非公開で行われ、当事者のプライバシーが保護されます。また、あっせんは原則一回で行われることから、裁判に比べて迅速な解決を図ることができます。

 

対象となる紛争

解雇・配置転換・昇進・労働条件の不利益変更などの労働条件、いじめ・嫌がらせなどの職場環境、労働契約・損害賠償などに関する労動紛争が、紛争調整委員会によるあっせんの対象となります。

 

対象とならない紛争

募集・採用に関する紛争や、労働組合と事業主間の紛争、労働者と労働者の間の紛争、裁判中であるなど他の制度において取り扱われている紛争、当事者間で話し合いが進んでいる紛争などは、紛争調整委員会によるあっせんの対象にはなりません。

 

利用の流れ

総合労働相談コーナーにおける相談や都道府県労働局長による助言・指導では問題が解決しなかった場合、総合労働相談コーナーで紛争調整委員会によるあっせんについての説明を受け、あっせんを希望する場合は、あっせんの申請を行います。

申請が受理された場合、都道府県労働局長が紛争調整委員会にあっせんを委任し、当事者にあっせんの開始が通知されます。このとき、一方の当事者があっせんに参加しない旨を表明した場合は、あっせんは実施せず、打ち切りとなります。

当事者双方があっせんに参加することとなった場合、あっせん期日(あっせんを行う日)が決定し、あっせんが実施されます。あっせんでは、あっせん委員が双方の主張を確認し、当事者間の調整をしたり、話し合いを促したりします。また、あっせん委員は、当事者双方が求めた場合には、事案に応じた具体的なあっせん案を提示します。

当事者双方があっせん案を受諾した場合や、その他の合意が成立した場合には紛争解決となり、双方が合意した内容は民法上の和解契約の効力が認められます。一方、あっせんの結果、双方の合意に至らなかった場合、あっせんは打ち切りとなり、他の紛争解決機関が紹介されることになります。

 

 

まとめ

無料で利用できる個別労動紛争解決制度を活用することで、裁判よりも迅速かつ簡便に個別労働紛争の解決を図ることができます。企業と労働者の間でトラブルが発生し、当事者双方の話し合いによる解決が難しい場合は、ぜひ個別労働紛争解決制度を活用し、トラブルの解決を図るようにしましょう。

こちらも読まれています:

*somu-lier(ソムリエ)では書き手を募集しています。

この記事に関連する記事

不合理な労働で疲れている会社員

【改正】労働契約法(3)不合理な労働条件の禁止

中小企業退職金共済制度を活用し、退職金制度を充実させましょう!

「まだ間に合う!ストレスチェック制度の理解とメンタルヘルス対策」~その3 メンタルヘルス対策はストレスチェック制度だけではない!~

天秤を持つ手の写真

【改正】労働契約法(2)無期労働契約への転換