[テレワーク実態レポートVol.1]急遽始まったテレワーク~管理者の視点から「突然のテレワーク」について現状と課題を語る

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公開日:2020.3.19

新型コロナウイルス感染症対策の一環として、テレワークを導入する企業が増加しています。しかしながら、非常時ともいえる今般の状況を受け、準備が整わない中で急遽導入に踏み切った企業が大半であり、果たして本当に機能しているのかが気になるところ。

そこで今回は、3月2日より全社一斉テレワークを実施しているソニービズネットワークス株式会社(以下、SBN)の立場が異なる社員4名に取材を行い、テレワークの現状について伺いました。管理者サイド、従業員サイド双方の視点から、現場の“リアル”をお届けします。

テレワーク導入の経緯

SBNでは、テレワークの導入を事業計画のおける優先項目の一つに掲げており、実施に向けて着々と準備を進めていた。「近年の従業員数増加に伴い、より柔軟に、効率的に働ける仕組みづくりが必要になってきたという背景があり、本年4月から一部の部署で試験的にテレワーク制度を運用し、検証や改善を重ねたうえで東京オリンピック時に本格導入するというプロセスを描いていました」と、人事総務部門の責任者である渡辺さんは語る。

ところが、新型コロナウイルス感染症の発生により状況が一変。従業員の安全を第一に考え、取り急ぎの施策として時差通勤を実施するも感染拡大は止まらず、3月2日より「全社一斉テレワーク」をスタートさせるに至った。「準備不足ではありましたが、会社として社会的責任を果たすこと、お客様と従業員の安全を守ることを最優先に考え、やるしかないと決断しました」。(渡辺さん)

渡辺氏
ソニービズネットワークス株式会社
HR本部 本部長 兼 管理部 部長  渡辺敏規さん

準備が整わない中でのスタート、混乱はあったか?

渡辺さん曰く「準備万端を10とすれば、6~7割の段階」でのテレワーク導入。しかし、いざスタートしてみると「大きな混乱はなく、予想以上に上手く機能しています」とホッとした表情だ。 見切り発車であったにもかかわらずスムーズに導入が進んだ理由については、クラウド型勤怠管理システム「AKASHI」をはじめ、クラウド上でワークできる仕組みが既に構築できていたことが挙げられます。加えて、近年はChatwork、Zoom、Teamsなど、Webベースのツールを使ったワークスタイルも浸透しており、新しい仕組みに移行するのではなく、普段使用しているツールをそのまま活用できていることが大きいです」と分析。「たとえば、外回りが多い営業部のメンバーは、外出先でも仕事ができるスタイルを各自で組み立てていて、情報共有なども密に行っており、それは在宅勤務になっても変わりません。会議は、ZoomやTeamsを使ってのWeb会議に切り替えましたが、これまでと遜色ない形で展開できています」。(渡辺さん) 従業員たちの反応も「通勤時間を有効に活用できる」「自分の仕事に集中でき、効率が良い」など、好意的なものが多いという。

見えてきた課題について

とはいえ、当然ながら、こまごまとした不便さ、不自由さは発生している。「中でも、採用はテレワークで完遂することが難しく、対応に苦慮している業務です。3月に予定していた会社説明会が中止となったことに始まり、出張も不可となったため、地方での採用活動はストップ。問い合わせには個別に対応する段取りとし、面接はWeb面接を行っていますが、実際に会って話すのとは違い判断しづらい面があります」と渡辺さん。さらには、「3月に入社した新入社員については、導入研修が実施できないため自宅待機の状態。やむを得ない状況とはいえ、彼らももどかしさや不安を感じているのではないでしょうか」と続けた。テレワークを踏まえた採用フローの構築は今後の課題であり、まずは説明会用のVRやWebを活用した研修プログラムの制作を早急に進めていく方針だという。 また、経理部門など、紙ベースでの伝票処理が発生する業務についても現状では出社が必要。担当者が交代で出社して対応している。ただし、この点については「書類申請の電子化を進め、週に何日か出社をするというスタイルを組み合わせることで、解決できるはず」(渡辺さん)と、明るい見通しを立てている。

現状を乗り切り、テレワーク制度をさらにブラッシュアップさせていく

急遽導入したテレワークについて、渡辺さんは「細かいルールづくりなども含めてしっかり制度を整えたうえでスタートさせたかったのが本音。けれども、こうなった以上は一歩を踏み出す良いきっかけになったとポジティブに捉えています」とキッパリ。さらには「当社はネットワーク関連の商品を扱う会社ですから、この状況を乗り切ることで得る新たな知見は大きな財産になります。より説得力を持ってビジネスに活かしていけるはず」とも。

渡辺氏

今後については、「先行きが見えない非常事態である現状を乗り切ること」を第一とし、そのうえで「できる限りの改善に取り組み、社員が働きやすい環境整備に尽力します」と渡辺さん。そして「新型コロナウイルス感染症に関する一連の騒動が落ち着いた段階で現状のテレワークを多角的に検証し、従業員の声にも耳を傾けながら、制度をブラッシュアップしていく考えです」と力強く語った。


◎テレワーク実態レポート(ソニービズネットワークス株式会社)

◎テレワークサポートプロジェクト

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