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レイオフとは?リストラとの違い、目的や実施時の注意点について徹底解説

​レイオフとは、企業が業績悪化などを理由に、業績回復後の再雇用を前提とし、従業員を一時的に解雇する制度を指します。​リストラ(整理解雇)との主な違いは、再雇用の有無にあります。​レイオフの目的は、人件費の削減とともに、優秀な人材やノウハウの流出を防ぐことにあります。​実施に際しては、正当な手続きと従業員への十分な説明が求められます。​今回は、レイオフの概要やリストラとの違い、実施時の注意点などについて解説します。

      

レイオフとは?

業績回復後の再雇用を前提に従業員を一時的に解雇する制度

レイオフとは、経営状況が改善し業績が回復したあとに再雇用することを前提に、一時的に従業員を解雇する制度です。労働関係法規で雇用が守られる日本では馴染みがないかもしれませんが、欧米の企業では一般的に行われている手法でもあります。業績不振などで一時的に経営が悪化した企業が、人員整理によって人件費を削減することを目的に実施するのがレイオフです。一般的なリストラなどとは異なり、人員整理などで業績が回復したら、解雇された従業員は再雇用により復帰することになります。

リストラや解雇との違い

雇用契約を一方的に解除するという意味では、リストラとレイオフは同義です。どちらも、業績が悪化した企業が業績の回復を目指して行います。経営状況が改善したら再雇用するのがレイオフですが、リストラは人員整理などによって業績が上向いても再雇用はしません。新たな人材が必要になったら、採用活動を行って人員補填をするのが一般的です。また、対象者の選定方法も異なっており、年長者が対象となる可能性が高いリストラに対し、レイオフは一般的に若い従業員が対象となります。

レイオフが行われる理由

レイオフが行われるもっとも大きな理由の一つが、人件費の削減です。業績が悪化した企業は、ウエイトの大きな固定費でもある人件費を削減して、業績の回復を目指します。人件費の削減という目的は、リストラや解雇も同様です。二つ目の理由はリストラや解雇とは異なり、再雇用が前提のレイオフを実施することで、貴重な人材や重要な技術の流出を防ぐという理由があります。例えばリストラを実施した場合、競合他社に人材や技術が渡ってしまうケースも少なくありません。レイオフを実施する企業は従業員に対し競業避止義務を課す場合もあり、人材や技術の流出を最小限に防ぐことが可能です。

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レイオフのメリット

企業側のメリット

企業側のメリットは、人件費を削減しながら貴重な人材や重要な技術の流出を防げることです。レイオフはあくまで再雇用を前提としているため、企業の業績が回復したら解雇された従業員は復帰することになります。一方、リストラの場合、一旦解雇した優秀な人材を取り戻すことはできません。場合によっては、同等以上のスキルを持った人材を獲得するのに、より多くのコストがかかる可能性もあります。深刻な人手不足が叫ばれる昨今、人材の確保にかかるコストを抑えられるのも大きなメリットです。

従業員側のメリット

従業員側のメリットは、レイオフが好条件で転職できるよい機会になったり、職場を離れて働き方を見直すよい機会になったりする点です。再雇用が前提となっているものの、レイオフの対象となった従業員の転職は当然認められています。優秀な人材であれば、より良い条件や待遇で転職できるケースも少なくありません。また、忙しい職場を一旦離れることで、働き方やワークライフバランスを見直し意欲の回復につながる可能性もあります。

     

日本ではレイオフは整理解雇の一種にあたる

日本における「解雇」は3種類

解雇とは、何らかの理由で企業が従業員との雇用契約を一方的に解除する意味があります。我が国日本においては、以下の3種類が一般的です。

  • 普通解雇
  • 懲戒解雇
  • 整理解雇

普通解雇は、能力の不足や就業規則の違反などを理由に雇用契約を解除する解雇を指します。懲戒解雇とは、問題行動などに対し罰則の意味合いで行われる解雇です。整理解雇は、業績の悪化などを理由に人員整理を目的として実施されます。今回のトピックでもあるレイオフは、日本では整理解雇の一種です。

整理解雇を行う4つの要件

労働関係法規で雇用が守られている日本で整理解雇を行うには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

  1. 人員整理の必要性
  2. 解雇回避努力義務の履行
  3. 被解雇者選定の合理性
  4. 解雇手続きの妥当性

上記の要件は法律などに定められているものではありません。しかし、過去の判例などから慣例的に定められているもので、上記4つの要件を満たさない場合は不当解雇などに該当する恐れがあります。日本では解雇に対して厳しい制限が課されているため、「日本はレイオフが認められていない」などといわれているのも事実です。

     

レイオフを実施する際の注意点

解雇の理由を丁寧に説明する

やむを得ずレイオフを実施しなければならない場合は、解雇の理由を丁寧に説明し、従業員の理解を得ることが重要です。従業員が十分に納得していない場合は、企業はレイオフを実施できません。前述のとおり、日本では解雇に対し厳しい制限が課されています。レイオフを実施する場合は、解雇を回避するための努力を怠らず、人員整理の必要性を納得が得られるまで丁寧に説明し、対象者を合理的に選定しなければなりません。十分な説明をしないままレイオフを実施し訴訟問題に発展してしまった場合、裁判では不当解雇として無効と判断される可能性もあります。

正当な解雇手続きを踏む

労働者を守る労働基準法には、解雇に関するルールが明記されています。具体的には、少なくとも解雇の30日前には解雇予告通知を行い、予告期間が30日に満たない場合は不足日数に応じて解雇予告手当を支払わなければなりません。正当な手続きを踏まない解雇は不当解雇に該当する可能性があり、企業は罰則を科される恐れがあります。日本でレイオフを実施する場合は、前述の4つの要件を満たすだけでなく、労働関係法規に則った手順を踏むことが重要です。

まとめ

今回は整理解雇の一種であるレイオフについて解説しました。レイオフとは、再雇用を前提に、一時的に従業員を解雇する制度です。雇用が守られる日本ではあまり馴染みのない制度かもしれませんが、レイオフを実施する場合は4つの要件を満たし、正当な手順を踏むことが求められます。

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