
デジタルスキル標準とは、経済産業省が策定した、企業や個人がDXを推進するために必要なスキルを体系的に整理した指針を指します。策定の背景には、デジタル人材の不足やスキル定義の不統一があり、企業の人材育成や評価を支援する目的で設けられました。経営層から実務担当者、専門人材まで幅広く対象としており、DX推進に向けた共通基盤として活用が進んでいます。今回は、デジタルスキル標準の策定背景や対象者などについて解説します。
目次
デジタルスキル標準とは
デジタル人材育成に向けて標準化された指針
デジタルスキル標準は、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する人材を育成・採用する際の指標として活用できる、標準化された指針となるものです。全ビジネスパーソン向けに基礎的なIT知識やマインドを定義した「DXリテラシー標準」と、役割ごとに求められる専門スキルを示す「DX推進スキル標準」の2種類で構成されます。内容は特定の産業や職種に依存せず汎用性を持たせているため、各企業は自社の業種や事業方針に応じて具体化する必要があります。この指針を活用することで、組織全体のDX対応力を効果的に高められるでしょう。
デジタルスキル標準策定の背景
デジタル技術の進化により、企業は社会や顧客の変化に対応してビジネスを変革するDXの取り組みが欠かせません。しかし、多くの国内企業ではDXに必要な素養や専門性を持つ人材が不足しているのが現状です。こうした課題に対応するため、政府は「デジタル田園都市国家構想基本方針(令和4年6月7日閣議決定)」で、DX推進人材向けのデジタルスキル標準の整備を示しました。さらに、経済産業省とIPAは有識者WGを設置し、検討・議論を重ねた結果、経済産業省が主催する「デジタル時代の人材政策に関する検討会」において、令和4年12月に「デジタルスキル標準(DSS)」ver.1.0を取りまとめました。この指針は、企業がDX人材を育成・確保する際の指標となるものであり、組織全体でDXを理解し、自社のビジネス変革に活かすための重要な指標といえます。
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デジタルスキル標準の構成
DXリテラシー標準
DXリテラシー標準は、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき基本スキルの指針です。具体的には、DXが求められる社会的背景の理解、データの種類や活用技術の概要、データ利活用の実務スキル、顧客理解や変化への適応といったマインドセットが含まれます。近年はIT知識を必要とする業務を担当しない従業員であっても、業務効率化やデータ分析を目的としたITの基礎知識が求められるかもしれません。そのため、今後は社会やビジネス環境の変化に対応し、すべての社会人がDXリテラシーを身につけることが不可欠であるといえるでしょう。
DX推進スキル標準
DX推進スキル標準は、企業がDXを推進する人材の役割ごとに求められる知識・スキルを明確化した指針です。DX人材は、プロジェクトを推進する役割からシステム構築まで多様であり、それぞれ必要とされるスキルは異なります。企業は、この指針を活用することで、社内の適切な人材の把握や育成方針の策定、採用活動の支援をより効率的に進めやすくなるでしょう。
デジタルスキル標準の対象者
ビジネスアーキテクト
ビジネスアーキテクトは、DXの取り組みにおいて、事業や業務の目的を定め、関係者をコーディネートしながら目的実現に向けたプロセスを推進する専門人材です。役割は「新規事業開発」「既存事業の高度化」「社内業務の効率化」に分けられ、それぞれの分野で目的を明確化し、関係者間の協働関係を築きながらプロジェクトを牽引します。
デザイナー
デザイナーは、ビジネスや顧客・ユーザーの視点を統合し、製品・サービスの方針や開発プロセスを策定しながら、実際のデザインを担う専門人材です。役割は、サービス全体の仕組みを設計する「サービスデザイナー」、ユーザー体験や操作性を設計する「UX/UIデザイナー」、ブランドイメージを具現化する「グラフィックデザイナー」に分かれています。
ソフトウェアエンジニア
ソフトウェアエンジニアは、DXを推進する上で製品やサービスにデジタル技術を取り入れ、システムやソフトウェアを設計・実装・運用する人材です。役割は、画面や操作性を担当する「フロントエンドエンジニア」、サーバやデータ処理を担う「バックエンドエンジニア」、開発・運用環境の最適化を行う「クラウドエンジニア(SRE)」、そして物理領域とデジタルをつなぐ「フィジカルコンピューティングエンジニア」に分かれています。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、企業のDX推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現を支える人材です。役割は、事業戦略に基づきデータ活用戦略の立案・実行を主導する「データビジネスストラテジスト」、データ処理や解析を通じて有意義な知見を導く「データサイエンスプロフェッショナル」、効果的なデータ分析環境の設計・実装・運用を行う「データエンジニア」に分かれています。
サイバーセキュリティ担当者
サイバーセキュリティ担当者は、業務を支えるデジタル環境におけるリスクを抑制し、安全で信頼性の高いビジネス運営を支える人材です。役割は、リスクの評価・管理や対策の統制を主導する「サイバーセキュリティマネージャー」と、事業活動に伴うセキュリティ対策の導入・保守・運用を担当する「サイバーセキュリティエンジニア」に分かれています。
まとめ
デジタルスキル標準は、DX推進に必要なスキルを体系化した指針で、企業の人材育成や評価に活用できます。基礎的なDXリテラシーから役割別の専門スキルまで網羅し、ビジネスアーキテクトやサイバーセキュリティ担当者など、幅広い人材を対象とします。組織全体でDXの理解を深め、各人材が力を発揮することで、企業の成長や変革に役立つでしょう。
















