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静かな退職とは?生じる原因、デメリットや対処法について徹底解説

静かな退職とは、従業員が必要最低限の業務のみを行い、仕事への熱意や関与を示さない状態を指します。​これにより、生産性の低下、職場環境や人間関係の悪化、人材流出などの問題が発生します。​そのため企業は、従業員のエンゲージメント調査や人事評価制度の見直しを行いましょう。​今回は、静かな退職が生じる原因、デメリットや対処法について解説します。

静かな退職とは?

必要最低限の業務のみをこなす働き方

静かな退職とは、与えられた業務のみを淡々とこなす働き方のことです。職場に在籍してはいるものの、仕事に対しての意欲や熱意がなく、自主的にスキルアップしたり、会社に貢献したりするといった努力をしません。加えて、仕事のメッセージに必要最低限しか返信しなかったり、積極的に発言をしなかったり、社内で行われるイベントに参加しなかったりします。昇進に関心がなく、責任が伴うポジションを避けるのも特徴です。仕事を退職はしないものの、仕事には積極的に関わらない状態になります。

静かな退職が生じる原因

静かな退職が生じる主な原因は、仕事に対する考え方の変化や働き方の選択肢の増加、企業に対して不満を抱いていることなどが挙げられるでしょう。特に若者の間で、仕事よりもプライベートの充実を重視するワークライフバランスの考え方が浸透しています。それに加えて、コロナ禍を境にさまざまな働き方ができるようになったことで、社員同士の一体感を感じづらくなったり、企業への忠誠心が薄れたりしたことも原因です。さらに、正当な評価が得られなかったり、業務量に見合った給与がもらえていないと感じたりするなど、企業に対する不満があることも静かな退職に大きく影響しています。昇進するメリットを感じられず、むしろ負担が増えてしまうと感じる場合、仕事に対して消極的になってしまうでしょう。

静かな退職が増加している背景

近年はハッスルカルチャーの考え方が衰退し、ワークライフバランスを重視して仕事をする傾向にあります。ハッスルカルチャーとは仕事に人生を捧げ、長時間労働によって生産性を上げる文化のことです。一方でワークライフバランスは私生活の充実を求め、プライベートと仕事の両立を重視する価値観を指します。重視するものが仕事からプライベートの充実へと変化し、企業のために働くという意識が薄れた結果、仕事に対する意欲が下がって静かな退職へと繋がっているのです。

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静かな退職がもたらすデメリット

生産性の低下

静かな退職を実行している人は、与えられた仕事にしか取り組みません。さらに、ミーティングで自分の意見をほとんど言わないので、新しいアイデアが生まれにくくなることもあるでしょう。また、問題に気付いても自分には関係ないと放置することもあり、イレギュラーな出来事に対処しない傾向が高いのも特徴です。自主的に努力しないため、一人ひとりの生産性が低下してしまいます。静かな退職を実行する人が増加するほど、会社全体の業績も悪化しやすくなるでしょう。

職場環境や人間関係の悪化

静かな退職を実行しており、与えられた仕事のみをこなす人は、常に誰かの指示を待っている状態です。そのため、静かな退職をしている人に仕事をさせるためには、誰かが指示を与える必要があります。一緒に働いている人は、自分の仕事に取り組むだけでなく、人に指示も出さなければならないため、とても負担が大きくなるのも問題です。場合によっては指示を出すだけではなく、周囲の人が静かな退職を行っている人の分まで業務に取り組まなければならないこともあるかもしれません。それにより、人間関係のトラブルが生じたり、職場の雰囲気が悪くなってしまったりすることがあるようです。

優秀な人材の流出

会社に対して不満を抱き、仕事に対するモチベーションが下がることが静かな退職を実行する原因となることもあります。静かな退職を優秀な人材が実行している場合は、本当に退職に至ることのないように早めに問題解決に取り組む必要があります。また、仕事ができる優秀な人は静かな退職を実行している人の分まで業務を任されやすい点も問題です。業務が多すぎると不満が募り、優秀な人材が流出しやすくなるので、生産性が低下したり企業の業績が悪化したりするかもしれません。仕事ができる人材が静かな退職を実行したり、静かな退職を実行している人の影響を受けて優秀な人材が退職したりするといった事態にならないように、待遇や業務内容を見直すことも大切です。

      

静かな退職の対処法

多様な働き方の導入

静かな退職を防ぎ、従業員を定着させるための取り組みとしては、多様な働き方を導入するという方法があります。仕事とプライベートを両立しやすいフレックスタイム制やリモートワークなどの働き方を容認し、自分に合った働き方ができるようにすることが大切です。また、育休を長期化するなどの、プライベートの充実に繋がる取り組みを導入することも、静かな退職を実行する人の減少に繋がります。従業員にとって魅力的な働き方を可能にすることで、優秀な人材の流出を防ぐことができます。

エンゲージメント調査の実施

エンゲージメント調査を実施すると、従業員の仕事に対する意欲などが分かります。静かな退職を実行する人は、企業に対して何らかの不満を抱えていることが少なくありません。企業に貢献しようという意識が低い人を減らすためには、仕事に対して消極的になっている原因を突き止めることが大切です。従業員の声にしっかりと耳を傾け、改善が必要な部分には手を加えていくことで、従業員の企業に対する満足度や忠誠心が高まります。

人事評価制度の見直し

人事評価が適切に行われているかどうかは、従業員の仕事に対する意欲を大きく左右します。努力が適切に評価されなければ、必要最低限の業務にしか着手しなくなり、静かな退職を実行する従業員の増加を招きかねません。評価する基準や項目をはっきりとさせて、評価する人の独断で不当な評価をされることがないような仕組みづくりをすることが重要です。しっかりと従業員が納得できる基準になるように制度を見直すことで、仕事のモチベーションを保ちやすくなり、積極的に業務に取り組むようになります。

まとめ

静かな退職は、従業員が仕事に対して消極的になり、必要最低限の業務にしか着手しなくなる状態を指します。静かな退職を実行する従業員がいると、生産性の低下や業績の悪化に繋がるため、そのような従業員がいる場合は原因を突き止めて改善していきましょう。

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